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まほろば流麗譚

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2024年9月の記事一覧

まほろばが終わったら、まほろばが始まります

前回書いた通り、物語を地続きにする為
四連作を三部作に魔改造しております。

「で、タイトルどすんのよ?」

ですよねぇ、、、

タイトルは仮なんですが

「まほろば始末譚」にしようと思ってます。

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こういうのって僕の特権かもしれない。

いい大人が嗜む時代劇でこんな柔っちいもんを
偉そうな事言いながら書けてるのは
あくまでこのnotoという媒体

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老獪望郷流れ小唄 1

「えっさ!」

「ほいさ!」

「爺さんや!」

「ほいよ、婆さんや!」

「少しばっかぁ、休まんかねぇ。」

「ほりゃ、こりゃいかん、うっかりしとった!
 婆さんは足が悪いんじゃからの。」

手を繋ぎ仲良く歩いてきた小柄な老夫婦がいる。
その足並みはまるで跳ねる様に軽やかに見えたものだが、そうでもないらしい。

二人は川沿いの大きな石に腰を降ろした。

「婆さんや、折角だからここで握り飯を食うか

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第四話 あとがき

いやあー終わりましたねえ!
いやあーびっくりですよね!

作者の第一声がこれでいいのか!?
とは思いますが、、、

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第四話は意外に重要な要素がてんこ盛りでした。
まほろば全体が進んでいく方向の為のキーワードが、
てか四連作のキーワードになる事がここにありました。

松方澪の月に濡れる。の部分を出したのは
読者様的には不親切な作りなんですが、今回は

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邂逅罪垢火焔演舞 13(完)

火車が残った右腕の車輪を振う。
炎は刃となり澪を襲う。
澪はニヤリと笑って、その炎を唐竹に斬る。

「この刀何だろうね。
 やっと慣れたけど、造りが違う。」

「物の怪の炎を斬れる。
 並の刀では無いな。」

「だったら、物の怪も斬れる。」

「あり得るな。
 俺が囮になる。」

「旦那。」

「後は任せた。」

宗矩が駆ける。
大きく弧を描き火車の注意を惹きつけながら、斬りつける隙を窺う。

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邂逅罪垢火焔演舞 12

「周りにいる者全てが己が道具か、、
 武士が陥りやすい事かもしれぬ。」

「旦那ぁー!
 今は物思いに耽ってる場合ですかねぇ。」

「お父ぅ、、痛いよぉ、、」

「うるさい!黙れ!
 お前は物の怪だ!
 とっと此奴らを始末せえ!」

「物の怪、、お父ぅ、、」

「その形を見よ。
 娘の顔をした火の物の怪、それがお前だ!」

「あたしは、、物の怪、、」

「死んだ娘は戻らぬ!
 何故、娘の真似をする

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邂逅罪垢火焔演舞 11

「これが柳生宗矩か、、」

足元を無様に乱した大杉烈行が唇を噛む。
柳生宗矩は微動だにしていない。
では、何に弾かれたのか?
それは宗矩が纏う剣気に違いなかった。

もう少し踏み込んでいたら?
烈行の予想を遥かに超える幾多の手が、命を奪いにきたと思える。

柔軟にして自然体。
護るべきものを持った時に策なぞはいらぬ。
その時に感じた事、身体が反応するに任せるがいい。
本気になった柳生宗矩には、力み

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邂逅罪垢火焔演舞 10

夜はまだ震える寒さを感じる。
美代は勇也にしっかりと抱きついて眠る。
二人がお互いを求めた後の残り火と若さが
身体と心を豊かに温めてくれる。

「ん?何だ、、」

勇也の手が美代の緩んだ懐に差し込まれる。
その膨らみがじっとりと汗ばんでいる。

「うっ、、勇也、、暑い、、」

吐き出される言葉混じりの吐息に
勇也は自分の指に力を込め
美代の突起を感じた。

「やれやれ、今夜は眠れそうにねぇか。」

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