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2024年7月の記事一覧
(第5話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第5話「心の闇」梅雨の晴れ間に恵まれた朝、桜井由香は警視庁に向かっていた。事件発生から数日が経ち、捜査は新たな局面を迎えようとしていた。
警視庁に到着すると、中村警部が由香を呼び止めた。
「桜井、藤原さんの自宅から日記が見つかった。内容を確認してほしい」
由香は頷き、証拠品保管室に向かった。そこには、藤原美樹の日記が置かれていた。表紙には「私の心の記録」と書かれている。
由香は慎重に日記を開
(第6話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第6話「表層の裏側」梅雨明けを告げる蝉の声が響く朝、桜井由香は警視庁に向かっていた。事件発生から一週間が経ち、捜査は新たな局面を迎えようとしていた。
警視庁に到着すると、中村警部が由香を呼び止めた。
「桜井、田中美咲さんが新たな証言をしたいと言っている。彼女の話を聞いてほしい」
由香は頷き、取調室に向かった。そこには既に田中美咲が座っていた。彼女の表情には、何か重大な決意が見て取れた。
「田
(第7話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第7話「深まる疑惑」真夏の日差しが照りつける東京の街。桜井由香は汗を拭きながら警視庁に向かっていた。事件発生から10日が経ち、捜査は新たな局面を迎えようとしていた。
警視庁に到着すると、中村警部が由香を呼び止めた。
「桜井、村上健太のアリバイに疑問点が出てきた。彼の証言と防犯カメラの映像に食い違いがあるんだ」
由香は眉をひそめた。「どのような食い違いですか?」
「村上は事件当夜、21時から2
(第8話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第8話「崩れゆくアリバイ」真夏の熱気が立ち込める東京の街。桜井由香は汗を拭きながら警視庁に向かっていた。事件発生から2週間が経ち、捜査は新たな展開を見せようとしていた。
警視庁に到着すると、中村警部が由香を呼び止めた。
「桜井、重要な新証拠が見つかった。事件当夜、被害者の藤原さんが最後に目撃されたとされる喫茶店の防犯カメラ映像だ」
由香は目を見開いた。「それは大きな進展ですね。早速確認させてく
(第9話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第9話「明かされる真実」真夏の太陽が容赦なく照りつける東京の街。桜井由香は額の汗を拭いながら警視庁に向かっていた。事件発生から3週間が経ち、捜査は新たな局面を迎えようとしていた。
警視庁に到着すると、中村警部が急ぎ足で由香に近づいてきた。
「桜井、大きな進展があった。佐藤美香が自主的に警察に出頭してきたんだ」
由香は驚きの表情を浮かべた。「佐藤さんが?何か話してくれたんですか?」
「ああ、吉
(第10話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第10話「善意の果て」真夏の暑さが和らぎ始めた9月初旬の朝、桜井由香は緊張した面持ちで警視庁に向かっていた。前日の吉田理沙との取り調べで明らかになった衝撃の事実が、彼女の頭から離れなかった。
警視庁に到着すると、中村警部が由香を呼び止めた。
「桜井、吉田理沙のアリバイ偽装が完全に崩れた。逮捕状を請求する」
由香は頷いた。「昨日の取り調べで、吉田さんと藤原さん、そして吉田さんの元恋人である高橋誠
(第1話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第1話「歪んだ善意」東京の閑静な住宅街に初夏の陽気が漂う朝、女性支援グループ「レインボーハート」の事務所から悲鳴が響き渡った。早朝に出勤したボランティアスタッフが、同僚の藤原美樹(35歳)の遺体を発見したのだ。
警視庁捜査一課の新人刑事、桜井由香(18歳)が現場に駆けつけた。長い黒髪と澄んだ瞳を持つ由香は、その美貌で周囲の注目を集めていたが、鋭い洞察力と冷静な判断力で上司からの信頼も厚かった。
(第2話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第2話「揺れる信念」朝日が東京の街を照らし始める頃、桜井由香は警視庁に到着した。昨夜の事件の余韻が未だ残る中、彼女の頭の中では様々な疑問が渦巻いていた。
事務所に入ると、中村警部が由香を呼び止めた。
「桜井、昨日の殺人事件の容疑者を絞り込んだぞ。村上健太と田中美咲だ。二人とも任意で事情聴取に応じると言っている」
由香は頷きながら、昨日の現場を思い返していた。藤原美樹の冷たくなった体、散乱した書
(第3話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第3話「対立する正義」朝もやが晴れ始めた東京の街。桜井由香は警視庁に向かう途中、昨日発見した藤原美樹の日記の内容を思い返していた。DV被害者の復縁支持という藤原の信念と、それに対する周囲の反対意見との間の緊張関係が、鮮明に浮かび上がってくる。
警視庁に到着すると、中村警部が由香を呼び止めた。
「桜井、支援グループのメンバーたちから、もう少し詳しく話を聞きたい。特に、藤原さんと意見が対立していたと
(第4話)心理の迷路 〜善意と狂気の境界〜【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/31公開
第4話「揺らぐ真実」東京の街に初夏の陽気が漂う朝、桜井由香は警視庁に向かっていた。昨日の取り調べで明らかになった支援グループ内の対立が、彼女の頭から離れなかった。
警視庁に到着すると、中村警部が由香を呼び止めた。
「桜井、村上健太のアリバイに疑問点が出てきた。もう一度、詳しく話を聞きたい」
由香は頷き、取調室に向かった。そこには既に村上健太が座っていた。彼の表情には、昨日よりも不安の色が濃くな
(第7話)言葉の力 - 弁護士の交渉が照らす社会の闇【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/30公開
第7話「新たな容疑者」東京警視庁の片隅で、18歳の新人刑事・佐藤麻美は山積みの資料に目を通していた。山田健太殺害事件と高橋信也殺害事件の捜査は難航を極めていたが、麻美の鋭い直感が新たな展開をもたらそうとしていた。
「高橋部長の通話記録...この加藤裕次という人物との連絡が頻繁すぎる」麻美は眉をひそめた。
上司の田中警部に報告すると、田中は頷いた。「よく気づいたな、佐藤。加藤裕次...山田健太の
(第8話)言葉の力 - 弁護士の交渉が照らす社会の闇【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/30公開
第8話「揺らぐアリバイ」佐藤麻美は、加藤裕次との面会を終え、重い足取りで法律事務所に戻った。彼女の頭の中では、加藤の言葉が何度も反芻されていた。
「確かに高橋さんとは親しかったです。でも、それは単なる取引関係です。殺人なんて、とんでもない」
麻美は、加藤の表情や態度に違和感を覚えていた。彼の言葉は滑らかすぎるように感じられ、どこか作り物めいた印象を受けた。
事務所に着くと、先輩弁護士の伊藤雅
(第5話)言葉の力 - 弁護士の交渉が照らす社会の闇【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/30公開
第5話「容疑者の主張」高橋信也の死後、事件はさらに複雑さを増していた。山田直樹と鈴木博文、それぞれの弁護団が捜査段階で激しく主張を戦わせていたのだ。
山田直樹の弁護人である伊藤雅彦は、警察との面談や報道陣に対して、直樹の無実を訴えていた。
「我々の依頼人である山田直樹氏は、父親との確執はあったものの、殺害には及んでいません。彼にはアリバイがあります」
伊藤は、事件当日の山田直樹の行動を詳細に
(第6話)言葉の力 - 弁護士の交渉が照らす社会の闇【創作大賞2025ミステリー小説部門応募作】2024/07/30公開
第6話「不正経理の証拠」東京の喧噪が落ち着き始める夕刻、佐藤麻美は法律事務所の一室で資料と格闘していた。山田健太殺害事件と高橋信也殺害事件の真相解明に向け、彼女の闘志は日に日に増していた。
ノックの音が静かに響き、ドアが開いた。経理部の社員・小林美智子が恐る恐る顔を覗かせる。
「佐藤先生、お時間よろしいでしょうか」
麻美は小林を招き入れ、緊張した面持ちの彼女に温かい微笑みを向けた。
「小林