マガジンのカバー画像

◇読書記録

27
スローペースで読み進めているので更新少なそう。
運営しているクリエイター

記事一覧

241107◇ 『鼻:芥川龍之介』を読んだ

241107◇ 『鼻:芥川龍之介』を読んだ

芥川龍之介の有名な作品として知ってはいたものの読んだことがなかった。調べてみると短編小説であり、また青空文庫にもあるという手軽さも後押しし、読んでみることにした。

『鼻』という小説は、五~六寸(約15~18センチ)の鼻をもつ内供という僧侶のお話だった。

私の鼻がそんな大きさの鼻だったら、全てを投げ打ってでも、その鼻を通常のそれにするだろうなと思った。ご飯を食べるのにも誰かの助けがいるし、周りの

もっとみる
241106◇『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む:かまど・みくのしん』を読んだ

241106◇『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む:かまど・みくのしん』を読んだ

◎きっかけ

YouTubeでオモコロチャンネルを観ていて、みくのしんさんやかまどさんのことは知っていた。本を読んだことが無い人がいることは衝撃だった。だって、学校の授業とか、図書館とか、本に触れる機会はあるはずなのに。気になってしまった。

◎あらすじ

「生まれて一度も読書をしたことがない男が本を読んだら、一体どうなるんだろう」
そんな素朴な疑問がきっかけで生まれた「本を読んだことがない32歳

もっとみる
241103◇『走る道化、浮かぶ日常:九月』を読んだ

241103◇『走る道化、浮かぶ日常:九月』を読んだ

◎きっかけ

九月さんを知ったのはバキ童チャンネルで拝見したから。タイトルで衝撃を受けた。こういう人がいるんだという驚きと共に、話し方が綺麗だなと感じた。内容はどうあれ、話筋が丁寧というか、分かりやすいというか。これが相手に伝える力なんだと思う。

◎概要

青森県八戸市出身、京大大学院卒業
事務所無所属、生活密着型のピン芸人・九月
全編書き下ろし!待望の初エッセー、刊行!!!

Twitterの

もっとみる
241010◇『盤上の夜:宮内悠介』を読んだ

241010◇『盤上の夜:宮内悠介』を読んだ

◎きっかけ

たぶん河村さんが連載で紹介してたやつだったはず。ずっと気になってたけど、単行本で出会えたのでお迎え。

◎概要

彼女は四肢を失い、囲碁盤を感覚器とするようになった──。若き女流棋士の栄光をつづり、第1回創元SF短編賞で山田正紀賞を贈られた表題作にはじまり、同じジャーナリストを語り手にして紡がれる、盤上遊戯、卓上遊戯をめぐる6つの奇蹟。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋……対局

もっとみる
240907◇『ナナメの夕暮れ:若林正恭』を読んだ

240907◇『ナナメの夕暮れ:若林正恭』を読んだ

◎きっかけ

若林さんのファンというほど熱烈ではないが、テレビで見かけると面白い番組なんだろうなと思うくらい好印象だ。勝手に若様と脳内ではお呼びしている。エッセイってその人が何を考えているのか、覗き込める感じがして好きだ。

◎概要

オードリー若林、待望の新エッセイ集!
『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』から3年。雑誌「ダ・ヴィンチ」での連載に、大幅に書き下ろしエッセイを加えた、「自分

もっとみる
240630◇『エレファントヘッド:白井智之』を読んだ

240630◇『エレファントヘッド:白井智之』を読んだ

◎きっかけ

12:07のシーン。多重解決と言っていたが…?まだ読んだことないジャンル。止めなよ!と恐山氏に言わせるだけのナニがあるんだろう。

◎あらすじ

精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを——。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。 謎もトリックも展開もすべてネタバレ

もっとみる
240629◇「キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々:品田遊」を読んだ

240629◇「キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々:品田遊」を読んだ

◎読む前

帯にデカデカと書かれた「毎日、思考してますか」という言葉。耳が痛いな。仕事も生活もノー思考でできることが増えてしまっている気がする。エッセイって人の考えを覗き見ている感じがして楽しい。わくわくで読み始めた。

◎概要

作家でライターの品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)さんが、1000日以上欠かさず発表してきた日記「ウロマガ」の書籍化が決定。品田遊さんの思考回路の軌跡を辿るぜいたくな一冊! 

もっとみる
240615◇『表現を仕事にするということ:小林賢太郎』を読んだ

240615◇『表現を仕事にするということ:小林賢太郎』を読んだ

◎読む前

ラーメンズが好きで。現代片桐概論なんて最高なんだから。演じ手としての活動を終えた小林賢太郎に対してはとても残念な気持ちでしかない。彼の思うことを知ることができたらと読むことにした。

覚書を書いていくが、これは、なかなか長文になるな。

◎作品紹介

やるやつは、
やるなと言われてもやるんです。

表現を仕事にする上で大切にしたいこと。
起こりうる様々な困難の乗り越え方。
表現の表裏に

もっとみる
240506◇『東京都同情塔:九段理江』を読んだ

240506◇『東京都同情塔:九段理江』を読んだ

◎読む前

第170回芥川賞。タイトルが気になり読むことにした。

◎あらすじ

日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版「バベルの塔」。

ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かな

もっとみる
240418◇『不器用で:ニシダ』を読んだ

240418◇『不器用で:ニシダ』を読んだ

◎ 読む前

Twitterで小説の書き出し1文目だけ書いているのを見て、とても興味が湧いた。タイトルと文章を見て、続きが読みたくなるんだよな。YouTubeやテレビでは相方のサーヤ氏の優秀さが目立つが、物書きにおいてはニシダ氏のセンスに脱帽だ。

◎覚書

★「遺影」
中学1年の夏休み、ユウシはクラスでいじめられている女子の遺影を作らなくてはいけなくなった。
貧しい親のもとに生まれてきたアミと僕

もっとみる
240312◇『人間標本:湊かなえ』を読んだ

240312◇『人間標本:湊かなえ』を読んだ

◎読む前

表紙の蝶がとても印象的で。ジャケ買いした本。「イヤミス」って「読後、嫌な気持ちになるミステリー」なんだ。知らなかった。最高傑作と本人もおっしゃっているみたい。楽しみ。

◎覚書

・最初の数ページ、口絵として少年の標本が何点か載っている。この時点で怖い。でも、美しい彫刻のようだ。

・多数の中の少数が、やはり可哀想な存在になるのか。

・捕まえてから墓を作るまでが一連だった僕に、標本を

もっとみる
これが今年の一冊

これが今年の一冊

大人になってから、なる前からも、読書習慣は正直無くて。推し・QuizKnockの企画として、読書会LIVEというものがあり、そこから本を読むようになった気がする。読まなくても参加できるとは謳っているものの、参加するからには自分も読んである程度の感想を持って臨みたかった。仕事の休憩時間やお風呂に浸かりながら読むこともあった。

そんなにたくさん読んできたわけではないけれど、今年の一冊を選ぶとするなら

もっとみる
『ハンチバック:市川沙央』を読んだ

『ハンチバック:市川沙央』を読んだ

◎読む前
芥川賞受賞のニュースを見て、すぐに書店に買いに行った。7月の話。すっかり積読になってしまっていた。やっとこさ手を伸ばせた。

◎覚書
・ハンチバックの意味
背骨が弓のように大きく曲がっていること、またそうした人のこと。自身の経験が作品に盛り込まれているのは30%ほどとインタビューで答えていらっしゃったが、もっと盛り込まれているんじゃないかと思うくらい重たい話だった。

・こたつ記事ライタ

もっとみる
『噛みあわない会話と、ある過去について:辻村深月』を読んだ

『噛みあわない会話と、ある過去について:辻村深月』を読んだ

積読になっていた本を引っ張り出し、電車移動のお供にさせてもらった。カガミの孤城とかツナグはタイトルは知っているものの読んだことや映画で観たこともなかった。

ホラー小説を読んだような恐ろしさを終始感じていた。

誰かに傷つけられた人達の思いや恨み辛みを長い年月をかけて煮詰めたものを目の当たりにした。私は第三者としてその物語を見つめているだけなのに、心がギュッと締め付けられるような感じがした。重たく

もっとみる