(i-miner)つけたい

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最近の記事

帰愁

無くしたようなあの陽を見て 忘れたように時が過ぎた 見えないものばかり浮かんできて こぼれた雫を眺めている 夕陽の奥に、神様がいて。 ノート破って、ペンを持った。 それは大きすぎて、書ききれないけど。 忘れないように、思い出せるように。 暗がり落ちて、夜の目を浴びた。 紙を折って、ペンを置いた。 夏が鳴る 瞼を落とす 無くしたようなあの陽を見て 忘れたように時が過ぎた 濡れた内側が乾かぬように 溢れた露を集めてる 転調 歩いていました昨日までは。 今日も少しは進め

    • 鋭利な夜に許しを、流れる景色に免罪を

       神なんか信じちゃいない。苦し紛れに、思考の外にどうしようもないことを放り出すために僕らが作った偶像だと信じている。それはよく言う思い出、さらにはそこに刻まれた自分自身に他ならない。大したもんじゃない、ただ都合のいいように切り取られた一瞬の思考過程を祀り上げた物でしか無い。  それならばと。ひたすらに思考から逃げ続けただけの藍色の日々を、「死」の甘い香りに絆され心まで売り渡した長い夜の数々を、削ぎ落とす勇気くらい出してみたい。明日からの真白な日々に「生」のヴァーミリオンを引

      • 抗うように晴れ

         情動の在処を探していた。  前情報はそれがどこからともなくやってきて、僕に羽を与えてくれること、一度空に発って着地した後は跡形もなく消えてしまうということだけ。  どこを探しても見つからない。  などと世迷言をほざくのはもうやめだ。情動?ふざけたことを言うな。ただの責任転嫁だろ。ひたすらに、曖昧に御託を並べてはその度に悩む振りをする。僕はだめだと自分を落とす真似をする。そうして見かけの矮小な人形を作っては、手のひらで転がせられるくらいに立たせておいて時に縋り、時に踊らせる

        • 月光浴を聞いて

          曲名について  月の光を浴びる。イメージするのは夜の散歩でしょうか。しくしくと降り注ぐ月の明かりを身に受けながら歩く、日光浴とは違って冷たい感じがします。変わらないのは月も太陽も私達に影を落とす事。一心に光を受ければ受けるほど影もより濃さを深めます。  私達は月の中を生きているそうで、そこで過ごす時間を月光浴と形容していると。日々気付かぬうちに光を蓄え、同時に影を深めながら月日を重ねていくのですね。どうにも救いがないように聞こえます。 音について  静と動が強調されているよ

          わからないの踏み外し

           一つの月を重ねその間怠惰を貪った。  駄食を貪った  惰眠を貪った   無駄の髄まで貪った。  この身を刺す陽光はいささか機嫌が悪いようで執拗に私の活力を欲しがっている。なくなく舗装路に影を落とし、少しばかり生き血を吸うことを許す。  要らないのは無駄。  必要なのは充実した時の流れ。  いつの時からか己の存在を否定できるまでに知恵を蓄えた私たちはどうも生き辛いらしい。  この人生に早く結びを送りたい私と。  他人に縋ってただ無為に織り続ける臆病な私と。  理想を饒

          わからないの踏み外し

          まだ、青い

           立ちすくむ私をただ揺らす揺籠。  ふと、思い返す。日々のこと。忘れぬ日のこと。  それは染まり切る心地よさを知らなくて。  人の言う乾ききらないあどけなさを抱えている。  今日ばかりは明日を願って。  そんなつまらぬものをいつからか、繰り返している。  時を風として、人を川とするならば。  それらを阻む石一つになりたかったのか。  青い。

          シボ

          喉の奥 青の遠く 撫でる声と 吐かない口 立てない今と 忘れないもの 消えてしまうならば 消えてしまうならば いつか どうやったって閉じるこの目を 塞ぐ耳を 結ぶ過去を もう一回て 鳴かないで  待つ 夕凪の岐路に立つ 「嫌」の詰まった頭に 届かぬ空から溢れる雨 煩わしいと傘をさす いつかあなたがくれたっけ 浮かぶ顔の向こうに 声の一つも届かなくて 新緑の窓辺 煌めく瓶 陽の匂い 見上げた背と 咲かぬ花 消えてしまうならば 消えてしまうならば いつか どうやったって

          幻燈

           数年前までは感情が露わになった歌が嫌いだった。今ではどうだ、自らの声に感情が宿ることを求めている。日が過ぎるごとに今を守る隠れ蓑ばかり代謝して、変わらない膿を温め続けている。「許容」の味はどうも慣れないが舌先を程よく甘さで満たしてくれる。しかし、1000メートル先の美しい桜が見通せるようになってもそこにたどり着くための足が変わらず愚図なままでは結局何も変わらない。蜃気楼の先に微かに見える桃色の散らばった木には私の脳裏を刺激する作用はない。空っぽの体を通る無垢な空色の水流で生

          迷える月

           見上げると霞む月が一つ。粗い目から細々と蜘蛛の糸を垂らす。その光は降り積もった白い絨毯に弾かれて今日も足元に散らばる。  落ちた視線の先には道が続く。帰り道。歩みを進める。行く先は無意識に知っている。光に逆らって歩く。  錯綜する。光の粒は私を惑わす。一瞬夜に耽る。  見上げると霞む月が一つ。一心に道を照らす。それこそが迷いの渦中であることを彼はまだ知らない。

          衝動

           叶わない妄想を少しばかり記す。  水面に映る電線の美しさを描きたい。  瓦屋根に映ゆる陽光の残酷さを歌いたい。  人のいない車両の座席に差し込む影の気ままさを知りたい。  無数の葉と葉を埋める漆黒の繊細さを包みたい。  愛の滲む自販機を見たい。  落とし所のない輪廻に一矢報いたい。 

          少しの踏み台、滲むのは感傷

           幾つの日が経ったのか、相変わらずの泥を胸に塗りたくって、今日は少しいつもより重い。  雨上がりのアスファルト、煌々と降り注ぐ陽の光は少し寒い足元をほんのりと暖め、少しばかりの慈悲をくれる。寝坊の主人を待つ線路は気だるそうに黒光る。  こんな日でもやはり音楽は聴きたくない。僕の上澄みは音楽が好きだと過信してその形を装っているが事実一人では、一人の生活の中では何も聞かない。人に障られて、人波に当てられてナチュラルハイを患った午後、夕方、その帰り道惰性で聴くのが常だ。  ど

          少しの踏み台、滲むのは感傷

          達観した感じ 君へ

          拝啓  何もかも嫌になった君へ、少しばかりの文を送ろうと思う。僕が何ものかなんて詮索しないほうがいい。与える側と与えられる側、今ばかりはそこに落ち着いて、しばし雨に打たれて欲しい。  嬉しい、悲しい、寂しい、楽しい。これらが煩わしく思うのはなぜだろうか。どこに行っても体ばかり成長したじゃがいもに馬鹿にされるのは、頭も心も握りつぶされるのはなぜなのだろうか。好きなものもわからない。嫌いなものもわからない。頭の中に一筆たりとも輪郭が描かれていないのはどうしてなのだろうか。ここで

          達観した感じ 君へ

          波へ帰る

           某月某日、私も隊列に加わろうと思う。変わらぬ世の中だとは思うが別の景色を見てみたくなった。ただ、同じものを見上げるか見上げないかの違いだが。あの天蓋へ登るには列車に乗らねばならないらしい。金を払う必要はないが、代わりにこの肉体は一度手放さなければいけないとのこと。あちらへ登り切ればまた返してもらえるのだそうだ。早速切符を買おう。私は駅へ向かう。  いつもと違う時間に駅へ着いた。いつもより少し高く日が上って、また今日も夏の残骸を降らすのだと言うかの如く、チリチリとした空気を

          さらわれぬ空

           9月某日。半端な雨に残暑ありの無駄な暑さに、気持ち悪さを感じる。街路樹を撫で回す初秋の風は、やっと盛りに盛った季節を枯らそうとしている。心地よい。  ふと目に入ったのは駅前まで犬と散歩に来ていた人。犬はトイプードル。茶色い。頭はポップコーンみたいな膨らみ。それに不釣り合いな体躯と四肢を軽やかに踊らせ飼い主を先導する。飼い主が立ち止まる。すると、振り返った毛むくじゃらは何がそんなに嬉しいのか、大きな黒豆みたいな2つの眼球を一心に飼い主に向け、舌を出して毛むくじゃらのウィーリー

          葛藤、相反する衝動

           まただ。またこの感覚。何度繰り返すのだろうか。忘れたいのに忘れられない。知りたくないのに知ろうとしてしまう。言葉では言い表せないほどにもどかしい。もういい。もういいんだ。何もかも捨ててしまおう。一体何千回心に唱えただろうか。  もういい!彼をなぞれ!道を辿れ!走れ!知れ!そして死ね!  何もかも捨ててしまって、焦がれた想いを食べ続けて微睡に飲まれていたい。口にするのも憚られる。  踊る街を見下ろして。何を思ったか僕も踊り出して。腐った明かりに当てられて、躁の気持ちをた

          葛藤、相反する衝動

          呑気

           移り変わり照り映ゆる。寄ってたかって凪を揺らぐ。 伝う波紋は当たって砕けて無き足を引きずる。尾を引き羽ばたかせてあてのない旅を続ける。  ぽつりぽつりとまた一つ。主を失った鳥は落ちることも知らずに上へ上へと飛ぶことをやめない。尾を振り雲を切って、全身を削ぐように注ぐ風を目一杯受け止め続ける。  傍観する者一つもあらず。只空と雲だけの世界で歩むことを強いられる。終わることのない旅路にどうか賞賛の言葉を。