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お茶ってなんで「点てる」なの?


「お茶を点てる(たてる)」という言葉を耳にされたことがある方も多いと思います。茶碗に入れた粉末状の抹茶に湯を加え、茶筅という竹の道具でかき混ぜる。この一連の行為を「お茶を点てる」と言います。



お茶のお稽古に行くより前、祖父母のところで、おやつの時間に時々抹茶が出てくることがあったのですが、その時に「お茶を淹れる」「コーヒーを淹れる」「お茶を点てる」という言葉を大人たちが使っているのを何となく耳にしていたのです。その時は、そういった言葉は私の少し遠くをふわりと流れていくような、そんな感じでした。



それがお茶のお稽古に行き始めるようになると、お点前の準備をして抹茶の粉の上からお湯を入れて茶筅でかき混ぜる、その全部が「お茶を点てる」なのかな……とぼんやりと感じるようになりました。というのも、ここからここまでが「お茶を点てる」なんてどこにも書いていないので。




一方で家の台所にある泡立て器の存在は知っていましたが、同じ「たてる」でも、これとは違うみたいだなというのはうっすらと感じていました。




では、どうしてお茶は【点てる】というのでしょうか。




あるとき、お稽古でお席に入らせて頂いていた時に先生から『それはお茶がもともと薬だったからよ』とうかがいました。少量を薬として服用していた。なるほど、そういうことだったのか……。



ふと頭には「点眼薬」「点鼻薬」という言葉が思い浮かびました。ほんの数滴だけ使うもの。



少し前に友人と老舗和菓子屋さんの茶寮で抹茶を頂いたら、結構たっぷり入っていました。最近旅先のお宿で頂いた抹茶もお茶碗にたっぷりと入っていました。



時代が移り変わり、お茶を頂く状況が変化すると、お茶の量や合わせるお菓子も少しずつ変わっていくのかも知れないと思いながら、先日旅先で美味しく頂いた時のことを思い出しました。



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光森ちづこ@茶道家/仏語翻訳家
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