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私が読んだ本の記録です。
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#カウンセリング

「こころの科学」特集号「心理臨床と政治」について

「こころの科学」特集号「心理臨床と政治」について

まず、#東畑開人 氏の緒論、「心と政治 ーーー善く生きることへのふたつのまなざし」だが、よくもまあここまでクレパーに日本の心理臨床史を巨視的に総括したという印象。

ただしロジャーズ 派については 単純化されすぎている嫌いもあると、インサイダーとしての私は感じる。

更に言えば、#下山晴彦 先生(私の先輩である)のお書きの部分、先生、公然たる #佐治守男 門下だと思うのだが、ロジャーズ的な「カウン

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親鸞の「歎異抄」の精神とパーソン・センタード・アプローチ

親鸞の「歎異抄」の精神とパーソン・センタード・アプローチ

 私は実際に浄土真宗の家に生まれていますけど、親鸞については、ほんとうに日本史の教科書的な記述以上のことはほとんど何も知らなかったんです。「他力本願」「悪人正機説」、僧の妻帯を認めた、一向一揆と、その後の本願寺への権力者による弾圧、ぐらいのことで。

 ところが、日本人間性心理学会のシンポジウムで、シンポジストとのひとりの山折哲雄先生がいわれたことで、不思議と気に入った(実は、この言葉を聴いた瞬間

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壺イメージ療法の技法の実際

壺イメージ療法の技法の実際

現在九州大学で奉職されている、田嶌誠一先生の開発した「壷イメージ療法」について取り上げてみたいと思います。

この技法は、重篤な精神病水準のクライエントさんにも安全な技法です。

田嶌先生は、私が若い頃から一番尊敬してきた臨床家の一人と言ってよく、最近に至るまで、酒席も共にさせていただき、先生の最近のライフワークである「児童施設内暴力に対する安全委員会アプローチ」を含めて、その臨床的叡智を学ばせて

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インタラクティヴ・フォーカシングについて

インタラクティヴ・フォーカシングについて

カウンセリングの学習においては、「傾聴」や「共感的理解」ということがひたすら強調される。そして、ロジャーズの来談者中心療法のオリエンテーションが強いロールプレイや事例検討会の場で、「それであなたは十分に相手に共感しているのか?」的な叱責がなされたり、「私は十分に相手に共感できない」ことに思い悩む、カウンセリングの初学者は未だに少なくないのではないかと思う。

正直に言って、カウンセラーの側は「理解

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「『信』なき理解」

「『信』なき理解」

「看護のための精神医学 第2版」(中井久夫 /山口直彦 共著)についての、私なりの感想と、そこからの連想をつづることにします。 

「『信』なき理解」に

    ある種のクライエントさんはさらされている」

という言い方が著作の中に出てきます。

 まずは「この言葉が私の目にとまっただけ」の時点での私なりの感想をお書きします。

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「『信』なき理解」とは何か?

いろいろな言い方がで

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