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古典文法講義

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古典文法講義6 単語

古典文法講義6 単語

品詞とは、単語の種類のことである。それでは、単語とは何か。

これが英語であれば、明瞭である。英語では単語ごとにスペースを空けることになっているので、書き言葉であれば、一つひとつの単語がはっきりしている。

例えば、「I Love you.」であれば、三つの単語に分けることができる。

それでは、日本語の場合はどうか。日本語では、単語ごとにスペースを空けることは基本的にはしないので、ぱっと見ただけ

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古典文法講義5 なぜ品詞に分けるのか

古典文法講義5 なぜ品詞に分けるのか

古典文法で最初に学ぶのが品詞だが、品詞に分けることは一つの到達点である。

文法といっても、音に注目するとか、構造に注目するとか、働きに注目するとか、地域や時代による違いに注目するとか、いろんな観点がある。

そんなさまざまな観点を背景として、学校文法では、文を品詞に分けることを一つの到達点としている。なぜなのか。

文を品詞に分けたところで、文を理解できるわけではない。

例えば、「犬を飼う」を

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古典文法講義4 中古文法

古典文法講義4 中古文法

古典文学といったときに、その作品は平安時代のものもあれば、江戸時代のものもある。明治時代や2000年代の作品は古典文学とは通常言わない。

特に学校教育では古典文学とは、江戸時代までの作品を指す。

だから、福沢諭吉の『学問ノスゝメ』や森鴎外の『舞姫』が、いくら現代人の我々にとって馴染みの薄い文体であっても、これらを古典文学とはあまり言わない。

それでは、「古典文法」はどの時代の文法なのか。

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古典文法講義3 学校文法

古典文法講義3 学校文法

古典文法、古典文法と言っているが、古典文法とは何なのか。

そもそもこの世の中に、絶対不変の、普遍的な文法などはない。当然英語と日本語は違い、英語の文法と日本語の文法は違う。

そして実は、同じ日本語を対象としていても、いろいろな「文法」が存在する。同じ言葉について考える時にも、さまざまな捉え方がある。その捉え方によって、いくつもの「文法」が生まれる。

だからこれまで、少なくとも近世、江戸時代頃

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古典文法講義2 五つの項目

古典文法講義2 五つの項目

私は、高校で勉強する古典文法として、次の五つの項目を想定している。

1 品詞
2 活用
3 音便
4 助動詞
5 敬語

テキストや模試の問題に取り組んでいると、その解説にぎょっとすることがある。聞いたこともない文法用語らしき言葉が出てきて、「そういうことになっているので、答えはこれです。」と断定されるのだ。

この問題を解くためには、この文法的な知識が必要だったのか。これは聞いたこともない。こ

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古典文法講義1 勉強する必要はない

古典文法講義1 勉強する必要はない

まず、大事なことだから最初に言っておく。古文を読むのに、古典文法を勉強する必要はない。古典文法を勉強しなければならない理由はあまりないが、勉強しなくとも良い理由はたくさんある。

「古典文法を勉強しなければならない」と思う筆頭は高校生だろう。

高校生の中でも、1年生が多いんじゃないかと思う。なぜなら、古典文法に最初に出会うのが1年生で、大抵がその1年で十分に古典文法に嫌気がさし、古文が疎ましくな

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