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古典文法講義1 勉強する必要はない

まず、大事なことだから最初に言っておく。古文を読むのに、古典文法を勉強する必要はない。古典文法を勉強しなければならない理由はあまりないが、勉強しなくとも良い理由はたくさんある。

「古典文法を勉強しなければならない」と思う筆頭は高校生だろう。

高校生の中でも、1年生が多いんじゃないかと思う。なぜなら、古典文法に最初に出会うのが1年生で、大抵がその1年で十分に古典文法に嫌気がさし、古文が疎ましくなり、古典という科目から離れていくからだ。

だから、まだかろうじて古典文法に歩み寄ろうという気持ちが残っている1年生が多いのではないかと予想するのである。

これが2、3年生だとしたら、よほどの覚悟があるのではないだろうか。例えば、大学入試でどうしても古文を勉強しなければならないとか、定期試験をクリアしなければならないとか、やむにやまれぬ理由が窺える。

まともな学校であれば、2、3年生の定期試験などで古典文法を出題することはほとんどないだろうと思う。それよりも、読まなければならない古文がたくさんあるはずだ。

大学入試にだって、ほとんどの大学は古典文法を出題などしない。万が一したとしても、ほんの一問である。そこに力を入れるよりも、他の問題の対策に力を入れた方がずっと効率がいい。

一方で、この古典文法というものに向き合いたいという奇特な方もいらっしゃるようである。それは高校生だけではなく、大学生や社会人にも多い。

その多くが、古典文法に苦手意識を持ちながらも、その苦手意識を乗り越えたいという意志をお持ちである。そして、その先に古文や古典文学と接したいという思いがある方もいらっしゃる。

最初にも申し上げたように、古文を読むのに古典文法は必要ない。だが、どうにもこの古典文法と仲直りしないことには、古文とも和解できないとの思いを持たれている方も多いのである。

そんなさまざまな事情をお持ちの方が、古典文法に接することのできる読み物を用意したいとの思いで、記している。

とはいえ、繰り返し述べていくが、古典文法は特異な魅力を持ったものである。その魅力にとりつかれてしまう研究者も多く生まれる分野でもある。そんな、あなたに刺さるか刺さらないかもわからない、というか、多くの人にとって刺さらないものであることはことわっておく。

だから、どうぞ気軽に。なんとなく、ふんわりと、触れていただければ十分だと思う。


執筆者:古原大樹/1984年山形県生まれ。山形大学教育学部、東京福祉大学心理学部を卒業。高校で国語教師を13年間務めた後、不登校専門塾や通信制高校、日本語学校、少年院などで働く。2024年に株式会社智秀館を設立。智秀館塾塾長。吉村ジョナサンの名前で作家・マルチアーティストとして文筆や表現活動を行う。古典を学ぶPodcast「吉村ジョナサンの高校古典講義」を公開中。学習書に『50分で読める高校古典文法』『10分で読める高校古典文法』『指導者のための小論文の教え方』がある。


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