読書人間📚『乙女の港』川端康成
『乙女の港』少女の友セレクション / 川端康成
2011年、初版発行
2018年、第4刷発行
川端康成(1899-1972)
昭和12〜13年に少女雑誌「少女の友」(実業之日本社)に連載され一大ブームを巻き起こした超人気作品の初の文庫化。
『伊豆の踊子』大正15年、『雪国』昭和12年を刊行し確固たる地位を既に築いていた、川端康成の百合小説。戦争のはじまりに失われつつマニアに知られ、瀬戸内寂聴、田辺聖子の愛読書だったとも言います。
「エス」が主題となっている作品。
"エス"とは、夫婦や恋人に近い関係ですが、性的関係を伴うものでも、同性愛でもないと言います。男女交際が禁じられた時代に、実際は個々の事ですから厳密にはわからない事ですが、学校卒業と共に終わっていくもの。私も音楽学校では女性が多く、そうでなくても、この雰囲気は私にもあったので、懐かしさがあります。
お姉さま、妹たち女学生の麗しいむつみあいの日々。川端康成がこんな少女達の世界をどうして描けたのか?と不思議に思いますが、そこはなんと原案者の女性作家がいました。
中里恒子(1909-1987)、連載終了の翌年、芥川賞受賞(女性初)。
モデルとなった人物は存在し、その描写は実体験によるもの。川端康成は新人作家を世に送り出す事にも意欲的で、指導しながら原稿料を支払っていたと言います(大物の懐の深さに惚れてしまいそう)。
▶︎文庫版発行に寄せて
『乙女の港』を恥読したころ / 瀬戸内寂聴
▶︎解説 内田静枝
この装丁を見るなり、即購入。中原淳一(1913-1983)さんの描く少女達は、お人形の様に美しく魅力的でうっとりします。川端康成を少女小説界での確固たる位置づけに押し上げたのが中原淳一さんの絵でしょう。今、こうやって挿絵と共に読めるとは思わず大感激です。
読書感想ではなく、解説のようになってしまいました。もはや、美術本です。素晴らしい!ただただ見せびらかしたい!単行本も気になりますが、文庫本でも十分に楽しめました。
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