マガジンのカバー画像

皐月あやめの古典語り

20
古典大好きな筆者が、毎週火曜に古典について広く語るコーナーです。現代との共通点を探したり、知人を紹介するノリで人物紹介をしたりと、学問と趣味の中間な感じで語りたいと思います。 古…
運営しているクリエイター

記事一覧

平安貴族が現代に来たら、案外うまくやるかもしれない

平安貴族が現代に来たら、案外うまくやるかもしれない

はじめに 平安時代といえば、今から約1000年前の時代だ。実際には400年くらい期間があるので少々乱暴な言い方だけれども、おそらく平安時代で一番有名な貴族、藤原道長の活動期間がおおよそ1000年前くらいなので、イメージとしては間違っていないと思う。
 そんな時代の平安貴族が現代に来たら、と想像してみてほしい。

 その状況に近いマンガはある。たとえば、「ヒカルの碁」の藤原佐為や、「いいね!光源氏く

もっとみる
アニメ平家物語を解説する 7話

アニメ平家物語を解説する 7話

 前回の記事はこちら。

 今回のタイトルはズバリ「清盛、死す」。「城之内死す」を彷彿とさせるドストレートタイトルですね。毎度ながら、ガッツリアニメのネタバレも入っているので未視聴の方はお気をつけて。また、『平家物語』のこの先の展開についても言及しています(史実や古典にある展開についてはネタバレにカウントしてません)。もし気になる方は一通り御視聴のあとでご覧になっていただいた方が良いかと思います。

もっとみる
維盛推しの私が「富士川の戦い」を解説する(前編)

維盛推しの私が「富士川の戦い」を解説する(前編)

はじめに 先日の大河ドラマで、「富士川の戦い」が出てきましたね。平家物語アニメの方にも勿論出てきます。アニメ解説記事はこちら。アニメの内容ガッツリネタバレしてますので、未視聴の方はご注意を。

 この戦いをごく簡単にまとめると、源頼朝率いる源氏と、平維盛率いる平家とが富士川で向かい合うも、結局水鳥の羽音に驚いた平家軍が敗走して呆気なく終わってしまった……というものです。

 その情けなさが当時の平

もっとみる
アニメ平家物語を解説する 6話

アニメ平家物語を解説する 6話

 前回の記事はこちら。
 今回はいつも以上に私の「感想」部分が多い気がします。

 福原遷都にあたって引っ越しの準備。遷都のことは『平家物語』巻5「都遷」にあります。貴族たちからはかなり不評だった遷都です。『平家物語』では「遷都の先例というのはないわけではない」として、これまでの歴史の遷都事情についてつらつらと書き連ねられております。「ある」じゃなくて「ないわけではない」ってのが渋々肯定してる感あ

もっとみる
アニメ平家物語を解説する 5話

アニメ平家物語を解説する 5話

 ちょっと年度末バタバタしておりまして、更新が送れました。今日は第五話「橋合戦」ですね。さて、前回の記事はこちら。

 冒頭、小松家の燈籠から始まるのが、重盛を連想させて寂しいですね。

 琵琶の目の色が変わったのが話題になり、デリカシーどこ置いてきた? って感じにからかった資盛が琵琶に手ひどくやられます。
 維盛と清経が慌てて止めに入ったところで嫌味っぽい宗盛登場。重盛がいなくなって明らかに嬉し

もっとみる
アニメ平家物語を解説する 4話

アニメ平家物語を解説する 4話

 前回の記事はこちら。
 今回もアニメのネタバレありきで進んでいきますので、気になる方はお気をつけて。今日は結構『平家物語』にあるエピソードが詰まっていた印象です。

 今回は臨月の徳子が苦しんでいるところからスタート。『平家物語』では巻3「赦文」にあります。重盛は鹿ケ谷の陰謀に関わった人々の怨念を見ます。霊だけじゃなくて生霊も見えてそうですね。「赦文」の中では、崇徳上皇、頼長、成親、西光の怨霊と

もっとみる
アニメ平家物語を解説する 3話

アニメ平家物語を解説する 3話

 前回までの記事は↑です。

 というわけで平家物語アニメ第3回の解説に入っていきましょう。今日は史実や古記録寄りの話もちょっと多めかもしれません。文字数も結構多くなってしまいました。今回もガッツリ先についてのネタバレあります。

 冒頭で、船酔いする琵琶ちゃん。それに対する小松家の兄弟の反応は三者三様です。優しく看病してくれる維盛、「これが船酔いなんだ〜」とめちゃくちゃ他人事の清経、からかう資盛

もっとみる
アニメ平家物語を解説する 2話

アニメ平家物語を解説する 2話

 前回の記事はこちら。

 本日は2話。さっそく行ってみましょう。
 このコーナーで参考にしている『平家物語』のテキストは、「覚一本」という琵琶法師が語っていた内容に近い種類の本を使用しています。教科書に載っている内容に近いのもこれですね。

 冒頭は、伊勢に一人流される資盛と、それを見送る家族たち。幼い弟はいませんね。別れ際に駄々をこねると大変だからでしょうか。涙目の資盛ですが、琵琶ちゃんと目が

もっとみる
アニメ平家物語を解説する 1話

アニメ平家物語を解説する 1話

 今日から古典語りでは、アニメ「平家物語」を解説していこうと思います。
 公式サイトはこちら↓

 こちらのアニメ、ネットニュースなどでも話題になっており、かなり評判が良いようですね。実際、私も推しが大活躍しているので毎週五体投地する勢いで見ております。

 具体的には、アニメで描かれている内容について、古典の『平家物語』や史実に触れながら、私が解説できる範囲で掘り下げていきます。
 歴史・古典モ

もっとみる
若い貴族の盗賊ごっこ

若い貴族の盗賊ごっこ

 今回は、暇を持て余した貴族の遊びをご紹介。

 時は、平家が全盛期だった時代。源氏に倒される前、平家は宮中の要職を占め、貴族として楽しく過ごしておりました。平家が所有していた土地は最大で日本の半分ほどであったともいわれています。
 今年の大河は鎌倉時代ですが、受験生暗記必須の基本システム「御恩と奉公」は平家の没収した土地があったから成り立っていたというのも覚えてってくださいね。

 平清盛の子や

もっとみる
新年狂歌

新年狂歌

今日は新年最初の古典語りということで、お正月にまつわる狂歌をご紹介。
特に注記がないものは、小学館の新編古典文学全集の解説を参考にしています。

まずは、元木網の作品。

※解説
 こちらの元ネタ(本歌)は「開けて悔しき玉手箱」ということわざです。最近ではあまり聞かないような気がしますが、ご存じ『浦島太郎』からの言葉で「期待して開けてみると、中身がなかったり、期待はずれで、落胆すること」という意味

もっとみる
年越しの大ドジ(醒睡笑)

年越しの大ドジ(醒睡笑)

 今年最後の更新ですね。というわけで、今日は大晦日にまつわる古典を。

 今回はちょっと時代が下って江戸時代。落語の元ネタもたくさんある『醒睡笑』からの逸話。

怪しからず物毎に祝ふ者ありて、与三郎といふ中間に、大晦日の晩いひ教へけるは、「今宵は常より疾く宿に帰り、明日は早々起きて来たり門を叩け。内より『誰そや』と問ふ時、『福の神にて候ふ』と答へよ。すなはち戸を開けて呼び入れん」と、懇ろにいひ含め

もっとみる
私の推し貴族紹介(簡易版)

私の推し貴族紹介(簡易版)

 大学時代教室で貴族日記を読んでいたら「貴族日記って面白いの?」と聞かれたので、「貴族に萌えられれば面白いと思うよ」と答えたところ、ドン引きされた過去を持つ女です。こんばんは。

 今日は何を書こうかな~と、昔のデータを漁っていたら、大学在学中、身内に紹介するために書いた「私の推し貴族紹介」が出てきたので、ちょっと修正加えてまとめてみました。
 ちなみに平家は外してあるのと、大学在学当時はまだ公任

もっとみる
和歌を即レスできないときの対処法

和歌を即レスできないときの対処法

貴族A「ちょっと聞いて」

貴族B「なになに?」

貴族A「それがさー、この前、宮中で上司もいるところで、女房に突然歌を詠みかけられちゃって、すっごい気まずかったんだよね」

貴族B「あー、たまに空気読めない女の子いるよね。下手に断ると、『あいつには即レスする歌才がなかった』とか言われかねないし」

貴族A「それな。それに返歌したらしたで、『何を公衆の面前でいちゃついてんだ』って、チャラいやつだと

もっとみる