アニメ平家物語を解説する 3話
前回までの記事は↑です。
というわけで平家物語アニメ第3回の解説に入っていきましょう。今日は史実や古記録寄りの話もちょっと多めかもしれません。文字数も結構多くなってしまいました。今回もガッツリ先についてのネタバレあります。
冒頭で、船酔いする琵琶ちゃん。それに対する小松家の兄弟の反応は三者三様です。優しく看病してくれる維盛、「これが船酔いなんだ〜」とめちゃくちゃ他人事の清経、からかう資盛。ちょっとした描写の中に、それぞれの個性が出ていていいですね。
船に乗ってたどり着いたのは厳島神社。重盛は1話で清盛と話した内容を思い出します。
OP明けは維盛の舞!!! です。琵琶ちゃんが食い入るように見ていますね。清経は横笛、資盛は篳篥で音楽を奏でています。時忠によって、去る年の後白河法皇の50才を祝う安元御賀で青海波を素晴らしく踊ったことがサクッと語られます。
実際小松家の兄弟たちは音楽に優れていたようです。音楽の方面で最も多才だったのは、やはり維盛。いちばん有名なのはアニメでも披露している舞ですが、実は最も上手だったのは竜笛=横笛とも言われています。それから付歌と言う「歌うこと」も優れていたそうです。貴族日記の記録を見ると、参内し始めの頃は付歌を、だんだん笛を担当することが多くなったようですね。宮中の音楽会では、大体最も得意とする楽器を担当することが多いので、複数の役割をする人はそれぞれ等しくレベルが高いということ。
資盛は、筝の上手で有名な藤原師長が音楽の師匠だったそうなので、筝を担当することも多かったようです。清経はやはり笛ですね。安元御賀の際は、舞もしていたそうなので、清経もまた音楽に関しては広くできたのかもしれません。
そもそも、重盛も音楽では笛を担当していたようなので、父の重盛が得意だったからこそ、息子たちも幼少期から音楽教育を施されたのかなーとも思います。
アニメの話に戻りましょう。
維盛が誉められた際、「武士が武芸じゃなく美しさで讃えられるのはどうかと思いますがな!」と堂々とケチをつけてきたのが平宗盛。
私語をする三人を叱る清盛。(ちょろっとしか喋ってない重盛も怒られているのはちょっと可哀想)この厳島詣は、徳子が子を授かるようにという願いを成就してもらうためのものだったんですね。音楽を奉納しているわけです。
清盛は「平家納経」という「えっこれがお経…!?」と二度見してしまいそうになる程きらびやかな絵まで付いてるお経を一族の繁栄のために奉納したりもしています。清盛、信心深いですね。神様に縋っているようにも見えるけれど、仏教に縋って燈籠を集めて読経している重盛とちょっと似てるかも、なんて思ったり。
個人的にはこの人たち「伊勢平氏」なので、三重県のほうでやっても良いのでは? 海もあるし……と思うのですが、三重県には皇室の伊勢神宮があるので、あえて離れたのかなあ。
舞の後で重盛と琵琶ちゃんが話していると、ここにもまた宗盛が。体調の心配してくれる重盛は優しいですね。
挨拶する重盛に宗盛は「母は違えどー弟ですからー」と、むしろ敢えて「僕のママは正妻ですから」とマウントしてくるところがキャラが立ってていいですよね。わかりやすい……。大河の「清盛」でも、宗盛の母の方が正妻だから! と言われることが多かったですけど、重盛の母も普通に正妻ではあったんですよね。死別しただけで……。維盛の母と清経の母のケースとは話が違うので、正妻マウントされるとちょっと気になる。
「徳子も6年経って子供できないのは、もう子供無理かもですね」的なことを普通に言ってしまう宗盛。同母妹だけど、ちょっと折り合いは悪そうですね。
今度は潮が引いた鳥居のあたりで、維盛が琵琶ちゃんの体調の心配をして話しかけてきます。同じ優しさを見せてくるとこ、親子っぽくていいですね!
宗盛が嫌味を言ってきたことについて、琵琶ちゃんが不満げにしていると維盛がサクッと説明してくれます。優しい語り口ながら、何気に「宗盛殿は父上にコンプレックスあるんだよね」ということを遠回しに言っちゃってる。
今回のように宗盛は清盛の次男のように表現されることが多いですが、実際には宗盛の上に基盛(もともり)という重盛の同母弟がいました。この人は病死したとも、事故(※頼長の祟りという噂もある)で溺死したとも言われていて、どちらにせよ早世してしまっています。この同母弟が生きていたら、重盛もだいぶ精神的に楽だったかもしれませんが……。基盛には行盛という子供がいて、壇の浦まで資盛たちと行動していたようです。
さて、そこへやってきたのは資盛。「出来のいいまじめな長男は、弟からすると目の上のコブなんだよ」なんて言ってくる。「おいおい、それ君も当てはまるって話じゃないかい」って思っちゃいますが、全く同じことを清経が言ってくれますね。
「兄上にとっても維盛兄上はコブなのですか?」と尋ねる清経に「そんなことはないさ!」と否定する資盛。「兄上は美しいけど怖がりだから、武士としての出来はなー」とカニを維盛にポイ。維盛は普通にビビって、言い返しもせず苦笑しています。おとなしい性格がよく出ていますね……。資盛も本気でdisっているわけじゃなくて、「俺は兄上に負けてると思ってないから、そこまでコンプレックスはないよ」と主張するために言ってるって感じですね。
でも琵琶ちゃんに「宗盛に似てる」と言われて傷ついた風。やっぱ宗盛に似てるの嫌なんだな!
二人を宥めて岸まで行ってみようと提案する維盛に、「ならば果てまで言ってみよう」と言う清経。維盛が「果てはどうだろう……」というと、「そういうところが怖がりなんだ」とまたからかう資盛。仲の悪い重盛と宗盛との関係と比較して、小松家の兄弟は仲良しだということがよくわかる場面ですね。
海で「果て」というと、維盛の行く末が彷彿としてしまうんですよね。また後半で語ることになると思うのでここでは掘り下げませんが、「補陀落渡海」のイメージなので……。
琵琶ちゃんが重盛邸で琵琶を奏でていると、徳子がきます。厳島に行った目的について思うところがある様子。心配する琵琶ちゃんに、「子供ができなくても大丈夫」と言う徳子。そうは言いながらも「生まれたらかわいいでしょうよ」という一言で、子供が欲しくないわけではないことを優しく言い添えているのが個人的には好きでした。
『平家物語』の中では徳子という人の人物像はなかなか掴みづらいのですが、このアニメの徳子は、抗えない運命に翻弄されながらも芯が強く、優しい感じが出ていていいですね。
さて、資盛が徳子にわざとらしく話しかけにきて、一緒に宮中に行くと言います。資盛には思い人がいるのよ、と琵琶ちゃんに耳打ちする徳子。
あ〜〜〜建礼門院右京大夫ですね〜〜〜!!!
建礼門院右京大夫は平家を語るには外せない重要人物です。徳子に仕えていた歌に優れた女房で、資盛より年上で、維盛の奥さんと親友だった人。重衡とも仲が良かったみたいです。
建礼門院右京大夫集では、資盛をはじめ、小松家の兄弟や平家の公達について書かれた日記的な記述が多いです。資盛は恋人になる予定……のはずなのですが、今はまだ片思いなようですね。
資盛の真っ赤な直衣は、平家カラーだし勝負服なのでしょうか。かわいいですね。
四人でいると、そこへ高倉帝が登場。ぼーっと見ていた琵琶ちゃんの頭を強制的に下げさせる資盛。これに関してはGJかもしれない。いくら徳子のお気に入りとはいえ、些細な不敬もやっぱりよくないですからね。
これから後白河法皇が来るのに、会いたくないからということで敢えて出かける帝。空気を読んで……というか、帝の心を汲んで「わかりました」と言う徳子。
出かける先は別の女のところなわけですが、そんな徳子に「すまぬな」と言う帝はどういう気持ちでの発言なのでしょうね。
「心が慰められる場所があるのは良いことだわ」と言う徳子も、本心ではどう思っているのでしょうか。夫婦なのに、愛されないことへの寂しさか。子供を産むという「つとめ」から離れられる、後ろ向きの安心感か。
さて、ここでようやく『平家物語』!
今回出てきた別の女こと「小督(こごう)」。『平家物語』だと少し先で、巻6の四番目の章段になります。『平家物語』ではなんと、徳子から天皇を慰めるためにわざわざ紹介したと言う記述があります。一応これについては「流石に実際はそんなことはない」と言うのが定説ですね、まあさすがに……。でも、これを受けて、アニメでも「容認している」と言う描写になったのかなと思います。
『平家物語』では、小督は高倉帝のほか、藤原隆房という平家の婿である貴族にも思いを寄せられており、清盛が「婿を二人もたぶらかされた!!!ぶっ殺す!!」と大激怒していたので、自主的に宮中から逃げたと言う話がメインになります。帝は仲国という部下に逃げた小督を探させ、再会します。が、それも清盛にバレて小督は……というところは今後アニメで出るかもしれないので、一旦伏せておこうかな。特に出なかったら、後日追記するかもしれません。
アニメに戻りましょう。帝に代わって自分が法皇様のお相手をする! と立候補する資盛。右京大夫へのアピールもあるかもしれませんが、ふつうに法皇様の覚えをよくする意図もありそう。資盛、史実でも後白河法皇にアピールしていたようで、私は嫡男奪還の布石なのかなと思ったりしてます。資盛は後白河法皇に頑張って頑張ってアピールするのですが、後々手痛いことになると思うので、この努力もちょっと物悲しく見えてしまう。
またしても「今様しようぜ!!」と言われたらご機嫌になる後白河法皇、完全にチョロ院です。かわいいですね。でも本当に取り巻きの「院近臣」たちも今様しまくってたので仕方ないですね。このチョロさはむしろ史実寄りなのです。
踊りながら流し目でアピールする資盛。こちらもまたかわいいですね。
場面変わって重盛邸。「徳子が来てたのか、会ってやりたかったな」とどこか疲れた様子でいう重盛。延暦寺に仕事で言っていた事情をこんこんと語り出します。この辺りの寺との揉め事は、『平家物語』だとぽろぽろ書かれています。
正直に言って、この寺とのバトルは私もちょっと理解が浅いところなのですが、わかる範囲で紹介していきますね。
お風呂入らせてもらえなかったから寺を焼くってのは流石にクレイジーだな……って感じがしますが、『平家物語』によると、もっと複雑かつ最低な事件だったようで。巻1「俊寛沙汰 鵜川軍」という章段にこの事件についてもう少し詳しく書かれています。
鵜川という山寺の僧たちが湯を沸かして浴びていたのを、師経一行が乱入して先に入ってた僧たちを追い出し、召使たちを下ろして馬まで洗わせたから、僧たちが大激怒。口論の末、僧たちは師経一行を追い出そうとし、師経たちは寺に入ろうとし、最後は師経たちの馬の足を折ってしまったと。全くもって馬が最大の被害者である。
それでお互いに弓矢を持ってドンパチし、その末に寺が焼き払われたらしい。
まあ、アニメで説明されていたよりだいぶ派手にやり合ってたみたいだけど、湯浴みに乱入じゃなくて断られたバージョンを発見できてないので、もし見つけたら追記します。アニメのソースはどこなのだろうか……。
重盛はことの次第を後白河法皇に報告。後白河法皇は歌いまくって喉が痛そうです。「うちの子がご迷惑を……」と言う重盛にフォローなし。法皇様、あんなに楽しそうにしていたのに、一夜開けてみるとあんまり楽しくなかったのかな……と不安になる反応ですね。予想以上に喉を痛めちゃったんでしょうかね。
そして強訴に来る山法師達。朝廷に押し寄せる僧兵に焦って、重盛に威圧的に命令する後白河法皇。これ以下、琵琶の音と共に進む重盛vs僧兵の平曲は、巻1の後ろから二番目の章段「神輿振」です。
僧兵の強訴って本当にもう傍若無人だったみたいで、「出仕してみたら職場に神輿持った奴らが乗り込んできてそのままぐるぐる練り歩いてたから仕事にならなくて休みになった」みたいな貴族日記も読んだことあります。ちょっとシュール。
その後、場面は俊寛の別荘に移りますね。
始まりました! 今回の表題「鹿ヶ谷の陰謀」! 『平家物語』では巻1「鹿谷」の章段です。順番としては資盛がやらかした「殿下乗合」の次に当たります。
最初に話題に出された火事は、「神輿振」に続く章段である巻1のラスト「内裏炎上」にまつわるエピソードです。呆然とする重盛の描写は『平家物語』にはありません。
ここで後白河法皇に話を振られて藤原成親登場! この人も何気に史実イケメンなんですよ。顔で出世したと言っても過言ではないレベルで容姿を武器にしていたそうです。実はこの時点での成親は39歳。芸能人で言うと、小栗旬と同じくらいです。全然若いので、きっと美中年ですね。ぜひ覚えてあげてください。
「そちの妹は重盛の奥方であったな」という問いには、「はっ」と答えるけれど、「さらに娘は維盛の妻と」という言葉には「はあ……」とちょっと汗かいてるのが非常にいいですね!!!
何がいいかって、成親は娘を後白河法皇のところに送るつもりだったので、維盛との結婚はよく思っていなかったはずなのです。その感情をこの一瞬に深読みできる。
成親の娘(名前はわかっていない)は、後白河法皇のところに行かされそうになった時、すでに維盛のことが好きだったので、成親に反抗して蔵に閉じ込められます。思い人のことは、父の成親には一切言わず一人で泣いていたのですが、娘付きの女房がなんとか聞き出し、維盛に連絡して迎えにきてもらったそうです。
なんというロマンチックさ!!
そりゃあおじいちゃんみたいな法皇のところにやらされるより、イケメンで優しくて華やかで人気のある血の繋がっていない従兄弟の方がいいに決まっている……。わかる……。
まあその後、後白河法皇の近臣たちによる平家への愚痴が続いていきます。
何気に俊寛が話し方も流し目も色気がありますね。僧侶とは。
平家をそろそろ倒そうぜ! と煽る俊寛に「倒せると思うか?」と聞く法皇。それに対して成親が「なーに、こちらの立派な瓶子(ヘイシ)も倒すことなど容易いこと!」と瓶子を転がします。「成親殿はぬるいなあ」と言って、瓶子の首を割り落とす西光。
で、でた〜〜〜これが『平家物語』の中でも指折りの駄洒落、悪ノリです。敢えて言うけれども、これは「掛詞」じゃなくて「駄洒落」だと思う。
おそらく、過去に忠盛が「伊勢平氏(瓶子)は眇目(すがめ→素瓶)なりけり」と替え歌で悪口言われてたのも汲んでるんだと思います。(巻1「殿上闇討」)
お前ら、クーデターの話しとるんやぞ!!! ってツッコミたくなる。もうみんなお酒入りすぎ! 目を覚まして!
というのも、あの汗かいてた人の密告によってこの計画発覚するんですよね。馬鹿騒ぎの中一人ドン引きしてた人にチクられるという、絶妙な恥ずかしさ。鹿ヶ谷のシーンは個人的に大好きです。やってることと計画していることの重みが釣り合ってない……。
これは私の解釈ですが、成親はね、多分あんまり深く考えてないんですよ。その場の空気を読んで、「法皇様にウケればオッケー」みたいなノリでやったんだと思うんですよ。一方の西光は、やりすぎる傾向があるんだと思うんですよ。語られた内容についての歴史資料はおそらく無いのでセリフが史実かどうかは置いといて、少なくとも『平家物語』ではそういうフラグを立ててたのかもしれない。
そう言うわけで速攻でバレて西光たちは清盛に捕まった、と維盛が重盛に報告します。
西光に大激怒する清盛。清盛を前にして真正面から平家を否定する西光を蹴り倒してボコボコにする清盛。ここは『平家物語』でいうと巻2「西光被斬」でセリフに多少の違いはあれ描写もほぼ同じかな。清盛の「武士としての」荒さが出ていますね。粗暴な行いなので褒められることではないですが、隠居して年を取っても武士らしい部分の表れっぽい。
途中でパパパと差し挟まれた場面は、他の面々(成親の息子成経や康頼、俊寛)が流された部分ですかね。
維盛が「妻の父である成親殿もお祖父様のお屋敷に」と続けて報告すると、頭を抱える重盛。二人とも不憫。維盛の顔を清経が覗き込んでいます。ちょっとしたシーンですが、実は清経の妻も成親の娘なんですよね!!! 結婚したのは維盛が結婚した後のようですが。
ただアニメでは資盛もまだ結婚していないので、おそらく清経も独身設定なんじゃないかなと思いますが……。なんとなく、それを踏まえて見るとこのツーショットも意味ありげに見えますね。
重盛は、清盛が法皇も捕らえるつもりだと聞いて、兵に呼びかけておくように維盛に命じて席を立ちます。維盛は嫡男なので重盛の名代として色々仕切ってるんだなあというのが察せられる。
維盛が震えているのを、いつものようにからかって和ませようとする資盛と清経ですが、維盛は普段とは違って弟たちの軽口を笑って流すことはせず「これからは今までのようにはいかない」と深刻な様子で呟く。
重盛を追いかける琵琶ちゃん。珍しく厳しめに止める重盛。それを押して琵琶ちゃんは重盛についていきます。最終的に同行を許しちゃうのが優しいところ。
ここからの場面は『平家物語』でいうと巻2「教訓状」に当たる部分ですが、同じ巻2の「小教訓」で成親の助命嘆願に行くとき維盛を連れて行ったのを琵琶ちゃんに変えた感じですかね。成親が牢で頭抱えてるところが出てきますが、これは「小教訓」に近いですね。
成親は本当は西光と同様処刑される予定だったんですが、重盛の取りなしで流罪になります。でもそれは表向きで、清盛の命で流された先で殺されます(巻2「大納言死去」)。死にとうないって言ってるのに可哀想。
清盛が服の下に鎧を着ていますが、『平家物語』では鎧を着ているのが重盛にバレないように、コソコソ隠すんですよね。これも「教訓状」の場面。隠す清盛もいいですね。『平家物語』の清盛は、重盛には頭が上がらない感じ……。
アニメの方では兵を集めていると宣言する重盛に「面白いのう」と言いかけますが、それが自分を討つためだと聞いて怒ります。
そして今回のクライマックス、「忠ならんと欲すれば孝ならず。孝ならんと欲すれば忠ならず」という、『平家物語』きっての重盛の名言です。
「ここを動かれるならば私の首を刎ねてからにしてください」
と、重盛が訴えたところで、3話は終了します。すごい良いところで終わりましたね……!!
さてお待たせしました(?)。今日の維盛のコーナーです。今日は出番が多かったですねー。本編の方でもだいぶ触れましたが、改めて振り返ってみましょう。
・冒頭
船酔いする琵琶ちゃんの背中を「ヨシヨシ」とさすってあげているのが最高です。「ヨシヨシ」っていうお兄ちゃん感。もしかしたらもう子供もいるかもしれない。そしてちゃんと前方も確認して「父上、見えました」と報告もしている。看病しながらも、やることはちゃんとやる真面目さ。維盛のいいところが詰まったシーンですね。
・舞
舞の場面が美しいですね!! まさかアニメで舞が見られると思っていなかったので、本当に感動しました。桜の枝を持って、冠にも桜を挿しているのもいいですね。舞うたびに桜の花がひらりひらりと舞って、維盛の美しさに文字通り花を添えているわけです。
微笑んで優雅に舞うようなイメージがあったんですが、真剣な顔で流れるように舞っているのもすごく好きでした。奉納の舞なのもあるかもしれません。
・鳥居の下
琵琶の体調を心配してくれるところ優しいですね。この時までずっと気にかけていたんでしょうか。宗盛の話をする時の話し方や表情は、それについては自分も思うところがあるっていう感じがする。
資盛にカニを投げられて「ぉわ」ってなるの、非常にかわいいですね……。「武士としての出来はな〜」って言われて何も返さずに苦笑しているのは、自分でも自覚があるからなんでしょうね。そして、からかわれてもムキにならないおとなしい性格……。
自分のことがきっかけで喧嘩する二人を「おやめ、二人とも」と止めるのお兄ちゃんポイント高いですね。「おやめ」っていう言い方がまたいい。その後三人で歩いている時も「気をつけろ」って言ってるし、昔から弟達のこと気にかけてるんだなっていうのがよくわかる描写……。本当に理想通りの推しがいるので、アニメの維盛を作ってくれている人に感謝したいですね……。
・鹿ヶ谷の報告
ちゃんと調査報告をする維盛。重盛が忙しいから独自に調べたのか、重盛が調べさせてその報告を維盛が受けたかってところですかね。とにかく「父に報告する」という行動が長男らしくて好きです。報告中ずっと言いにくそうにしている。報告中は怒るでもなく、焦るでもなく、怯える様子も見せません。重盛の命を聞いて目を見開くところは、兄弟の中で最も正確にこの事態を把握していると言うこと。維盛が率直に言う「怖い」は、「変化」に対する恐れ。
駆け出す琵琶の名を必死に呼ぶのも良いですね。「そなたらは出てはならぬ」と言われたから、屋敷から出るわけにも行かず、呼んで止めようとしたんでしょうね……。父の邪魔をしてはいけないという義務感と、純粋に琵琶の身を案じる優しさとって感じを受けました。
さて、今回は以上です。9000字近くなっていました。
どんどん盛り上がって参りました。まだまだ平家優位ですが、ちょっと地盤が危うくなってきた感じですね。また来週もぜひよろしくお願いいたします。
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