⭐️迷子の迷子のニワトリちゃん🐓 929
鶏肉は胸肉を選ぶ。
大抵2〜4枚入ったパックを買う。
私の料理を食べるのは修(仮名、長男)だけだから、一度に食べ切れることはない。
……ということにしているだけで、修なら食べ切れる筈、知らんけど。
ラップを外したら、大きさにもよるけれど1枚につき小さじ1杯弱程度の塩を両面に振って暫く放っておく。
室温が高い季節なら冷蔵庫に入れる。
そのときもラップはかけない。
塩気が染み込み水分が出てくる。
下味がつくし旨みが凝縮し臭みが取れる(と思い込んでいる)。
1枚ずつ袋に入れて冷凍する。
「鶏肉でも食べようか」と思ったら、パリパリに焼きたいとき以外はとりあえず茹でてしまう。
解凍してから茹でることもあるし、カチンカチンのまま茹でることもある。
解凍し忘れると、時間はかかるけれど大して手間はかからない。
茹でている間に他のことをすればいいだけだから。
大き過ぎないお鍋にフニャフニャかカチンカチンの胸肉を入れる。
小さじ1/2程度の塩と適量(=テキトー)の水を入れる。
空いた隙間にニンジンやジャガイモやキャベツなどを「食べる為に」入れる。
もちろん香り付けに土生姜やネギを入れても良い。
買って直ぐに塩をして水気を抜いてるので、臭みは殆どない。
サラダチキンとかチキンハムとか茹で鶏とか蒸し鶏とか、名前は違うけれどまぁ似たようなもの。
パサつかせない裏技がいろいろある。
砂糖やマヨネーズを揉み込んでおくとか、アイラップで低温調理するとか、炊飯器を使うとか、完全に冷めるまで茹で汁に浸けておくとか。
裏技は使わない、必要を感じないから。
お鍋に蓋をして弱火にかけるだけでいい。
急ぐときはお鍋を触ってアチと思う程度まで強火にしてから火を弱めることもある。
「触ってアチ」は真似しない方が良い。
お勧めはしない。
弱火であっても、時間が経てばお湯は沸くし鶏肉にも野菜にも勝手に火が通る。
必要なのは気長に待つ気持ちだけ。
灰汁取り?
終始弱火だと灰汁は殆ど出ない。
嘘だと思うのならお試しください。
鶏肉がユラユラし始めたらもう少し。
小さくフツフツとしてきたら更に火を弱めてから、お箸で鶏肉を中心までプスリと刺してみる。
感触?弾力?で判るじゃない?
火が通ってるかどうかって。
OK?
それなら火を消して蓋をして暫く余熱で火を通す。
冷めるまで置いておく必要はない、そこもテキトー。
鶏肉をお鍋から引き上げたら触れるくらいまで置いておく。
茹で汁が出てくるから、俎板やお皿じゃなくて器に立て掛けておく。
茹で汁は勿論お鍋に戻す。
野菜が軟らかくなっていなければ、好みの軟らかさになるまで茹で続ける。
ほの温かい鶏肉をスライスすると、しっとり軟らかくパサつきは全く感じない。
鶏肉にも野菜にも塩味がついているので、そのまま食べられる。
胡椒やマスタードや柚子胡椒やかんずりやコチュジャンを添えてもいいし、ドレッシングをかけてもいい。
茹で汁には、水を足して野菜や海藻を入れてスープに仕立て直す。
溶き卵もいい。
味見をして、塩か醤油を少々足すことも偶にある。
大きな大きな胸肉のときは、一度で食べ切「ら」ない。
本当は食べ切れるけれど、あえて食べ切らずにブロックのまま取っておく。
翌日、切り方を変えて変身させる。
下味はついているし火は通っているので楽勝。
野菜とソテーすることもあるし、中華にすることもあるし、親子丼の具にすることもある。
10月のある日、俎板の上の鶏肉のブロックを冷蔵庫に入れておこうと思った。
いい?明日の晩ご飯になるんだよ。
冷蔵庫に入れるのなら、もう少し冷ましてからの方が良いよね。
そう思って、スライスした修の鶏肉の上にゴロリと置いた。
修が帰ってくるまでに鶏肉を回収して、盛り付けをチョイチョイと直せばバレないでしょう?
洗い物は増やしたくないもんね。
翌夕、親子丼を作ろうと玉ねぎをスライスして出汁で煮ていた。
三つ葉がないから代わりに青ねぎを切っておく。
鶏肉には火が通っているから、最後に切ったって間に合うよね。
……え?嘘‼︎どこ?ない‼︎
鶏肉がない‼︎
間違えて冷凍しちゃった?
野菜室に入れちゃった?
うっかりと捨てちゃった?
カバンの中も机の中も探したけれど、見つからない。
てか、ようやく本題⁇
とりあえずメニュー変更。
結局、何を作ったんだっけ?
お肉もお魚も解凍していなかったから、ツナ缶を使ったんじゃなかったっけ?
その間も頭の中は「迷子の迷子のニワトリちゃん、あなたの居所どこですか」とグルグルグルグル。
前日の様子を思い出しながら、ツナ缶と野菜のナントカをひとりでモグモグと食べる。
時々、あそこかな?と立ち上がってウロウロする。
鶏肉を冷ます→スライス→ボイル野菜やトマトと共に盛り付け→そのときは未だ俎板の上にあった。
確かにあった。
もう少し冷ましてから冷蔵庫に入れようと思ったんだよね?
冷めたらラップで包もうとしたんだっけ?
ポリ袋に入れようとしたんだっけ?
蓋付きの容器に入れようとしたんだっけ?
包んだっけ?入れたっけ?器、器、うつ……
入れた‼︎修の器に入れた‼︎
そうだった。
洗い物を増やしたくなくて無精したんだった。
修が帰ってくるまでに回収すればバレないわと思いながら、晩ご飯を食べたんだった。
食べ終わったらスッカリ忘れていて、ノンビリしてしまったんだった。
いや、めまいがしてゴロリと横になったんだったっけ?
修は、基本的に私の料理に文句を言わない。
量も味付けも盛り付けも「そういうもの」だと思って食べている。
単に私とは喋らないだけなんだけど。
スライスされた鶏肉と野菜の上に、脈絡もなくゴロリと載っかった鶏肉のブロックっておかしいでしょ?
パッと見ただけで変でしょ?
気づくでしょ?
不思議に思うでしょ?
何か理由があるのかと思うでしょ?
ケチな私が作る料理としては、ボリュームがあり過ぎるでしょ?
修は食べた。
黙って食べた。
全部食べた。
痩せの大食いだから、ボリュームについては無問題。
切り方による食感の違いを堪能したのか?
迷子の迷子のニワトリちゃんの居所が判った。
黙って食べてしまった修にも自分のアンポンタン加減にも、笑いが止まらない。
修は私と喋らないから、一緒に笑えないのが残念すぎる。
仕方がないから事の次第をメモにしたためて、修のツナ缶と野菜のナントカに添えてみた。
メモを読みながらニヤリとする修を見逃したのが残念すぎて、長々と書いてしまった。
教訓なんて何もない。 (11/5)
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