太郎

写真家の端くれ。エッセイとか。

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マガジン

  • hazi-sarashi【エッセイ】

    このエッセイ集は、僕がこの世界に確かに存在していたことを証明する。

  • 都市と若者の社会学【愛すべき渋谷のすべて】

    写真承諾率から考える 若者の「寛容さ」の正体とは? 現在は、渋谷でフィールドワークをしながら研究を進めています。

  • 読書日誌

    2022年に読んだ本を、ここに記録する。

  • マッチングアプリ放浪記【ノンフィクション小説】

    コミュ障でモテない地味男子がマッチングアプリデビュー?! 「ヤリモク男子」となった僕は、奥手な自分を変えるため、 コミュ力を磨き、女性を口説き、新しい自分を謳歌する。 寂しがりOLの〈凛花〉 タトゥーを彫れたアニメオタクの〈美月〉 自分に厳しいハーフ系美女の〈ジュリア〉 彼女たちと出会い、関わり、ときに交わり、 しかし誰しもが、軽薄な僕からは離れていった。 そんなある日、 僕は不思議な魅力を持つ「遥」に出会ってしまうのだが・・・? 笑えて泣けて、たまにエモい。 渋谷という名の荒野を歩くマッチングアプリ冒険譚。

  • 現代アート入門

    現代アート鑑賞を「趣味」と言えるようになるために。

最近の記事

  • 固定された記事

渋谷で若者500人に声をかけて分かったこと

タイトルを見て僕をナンパ師かなんかだと勘違いしないでほしい。 僕が渋谷で声をかけているのは「ナンパ」のためではなく 「研究」のためである。 僕は社会学部に所属していて、 「都市と若者の社会学」について研究しているのだ。 この研究では、「人が他者に対して〈寛容〉になるときの条件」を解明する。 そしてこの研究の成果は、下記に役立つだろう。 「結局ナンパかい!」と思って記事を閉じないでほしい。僕は至って大真面目なんだ。 ではそんな僕がどんなことをしているのか、片手で卵を

      • 〈理知的陶酔〉よりも〈刹那的青春〉を。|曖昧で文学的な最高純度の大学生活

        興醒めな葉桜の木の下で本のページをめくっていた4月下旬。 僕はカントを読みながら、理知的な陶酔の極地に到達していた。 ずっと暗い部屋の中でジグソーパズルをするような読書を通して、全てのピースが揃うような快感。 下手をしたら射精よりも快感なのではないだろうか。 そんな最高の瞬間を邪魔してきたのが、羽鳥だった。 「基礎ゼミ、一緒のクラスだよね?」 身長の低くて太っているのに、やけに上品な男が僕に向かって話しかけた。 「ごめん、あんまりメンバーの顔を覚えてなくて。僕は

        • [徒然]努力は、「地獄の瀬戸際」ですればいい。

          僕の悩みといえば、努力ができないこと。 なんてことを言ったら、「じゃあつべこべ言わずに努力すればいいじゃん」と言いたくなると思う。 でも、本当に努力ができないんだ。怠惰なんだ。 とても情けない。新しいことを始めるのが好きだ。だから行動力はある方だと思う。ワクワクしたことは、なんでもやってみる主義だ。 でも、面倒なこと、苦痛を伴うこと、これらを毎日コツコツとできるかと言われると、率先してできる自信がない。 実際、これまではそういうものから逃げてきた。 その代わり、人

        • 固定された記事

        渋谷で若者500人に声をかけて分かったこと

        • 〈理知的陶酔〉よりも〈刹那的青春〉を。|曖昧で文学的な最高純度の大学生活

        • [徒然]努力は、「地獄の瀬戸際」ですればいい。

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        • hazi-sarashi【エッセイ】
          38本
        • 都市と若者の社会学【愛すべき渋谷のすべて】
          11本
        • 読書日誌
          5本
        • マッチングアプリ放浪記【ノンフィクション小説】
          15本
        • 現代アート入門
          8本

        記事

          「結婚って、実際どうなん?」|曖昧で文学的な最高純度の大学生活

          「なあお前ら、俺は将来結婚はしないつもりだ。なぜならいつまでも多種多様な女と寝たいからなっ!フハハハハ!!!」 なぜ僕は、こんな野蛮な奴と友達になってしまったのだろう。恥ずかしいことこの上ない。きっとこいつは、来世はバッタか何かだろう。 ミツヤがそんなことを突然叫んだのは、僕ら文学部の必修授業である「近代文学入門A」が終わった後、廊下で3人で駄弁っていた時だった。 「やっぱりさ、結婚しちゃうと浮気が不倫になっちゃうわけで、法的にも面倒なことになっちゃうじゃない?慰謝料と

          「結婚って、実際どうなん?」|曖昧で文学的な最高純度の大学生活

          [徒然]ロングホープ・フィリアって曲には励まされる

          amazarashiのロングホープ・フィリアという曲は、僕が前へと一歩踏み出すための曲だ。 何か挑戦するとき、何かに恐れているとき、挫折を味わったとき。 こういう時に聞いて元気が出る曲は、生涯大切にしたいね。 お爺さんになった時、その曲を聞いて、アツい気持ちになれるような人生を送りたいね。

          [徒然]ロングホープ・フィリアって曲には励まされる

          [徒然]CoCo壱の2辛は僕には早すぎた。

          京王線ユーザーは、千歳烏山駅のことを「ちとから」と呼ぶらしい。 初めて聞いた時から、その生活感溢れる響きが気に入った。 そして今、僕は空腹の状態で美味しい飯屋を求め、ちとからを彷徨っている。 最近は、僕は頑張っている。自分史上チョイむずのことに挑戦をしている。いや、チョイどころじゃないかもしれない。人生を賭けた挑戦をしようとしている。 だから精神的にも体力的にもちょっと疲弊している。 たまに弱気になることもある。やはり安心して挑戦できる環境とは幸せなものだが、今の僕

          [徒然]CoCo壱の2辛は僕には早すぎた。

          性欲が強い女の子についての議論 | 曖昧で文学的な最高純度の大学生活

          「なあ、性欲が強い女ってどう思う?」 ミツヤが急に神妙な面持ちでつぶやいた。学食でカレーをかっ喰らいながら考えることがそれなのか、と僕は思った。 「それは最高だろう!俺の彼女も性欲強めだけど、もう最高だよ」 羽鳥はチビデブのくせに可愛い彼女がいる。その彼女は不思議と羽鳥にぞっこんで、もちろん羽鳥も彼女にぞっこんだった。 「いやでもさ、さすがに男の性欲を上回ってきたら引かないか?」とミツヤが言った。 「なあ、ミツヤなんかあったのか?」と僕が尋ねる。 「いや、特に何か

          性欲が強い女の子についての議論 | 曖昧で文学的な最高純度の大学生活

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          夜桜を見上げていた時に吹いた、あの風のように儚く過ぎ去ってゆく。

          夜桜を見上げていた時に吹いた、あの風のように儚く過ぎ去ってゆく。

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          「ルパン三世・愛のテーマ」って、大人の子守唄だ。

          人の琴線に触れる歌は数少ない。 不思議と気持ちが安らいだり、歌声の揺らぎに涙が出る。 まず、歌詞を見てほしい。 なんだか優しい。そして哀しい。 独特な曲調で感情が揺さぶられ、瞼を閉じれば不思議と眠くなってくる。 無条件の愛を母親から受け取っていた頃のような、安心感で深い深い眠りがやってくる。 僕には、この歌は大人のための子守唄のように感じるのだ。 「愛を胸に抱いて ふるえて眠」ることができなくなった哀しい大人たちが、やさしい気持ちで眠るための歌。 眠れない夜は

          「ルパン三世・愛のテーマ」って、大人の子守唄だ。

          【読書日誌】村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』

          希望のない話は好きだ。なんだか聖書を読んでいるような気分になる。(聖書なんて読んだことないのだが) つまり、絶望的な話は、ときとして「救い」にもなりうるということだ。 『神の子どもたちはみな踊る』という短編集は、6つの短編から構成されている。 初めの方は、光のない暗い世界を漠然とした不安を抱えながら歩き続けるような、そんな感じ。人間が抱える「内なる廃墟」が滔々と流れるように描かれている。地上から深い闇を覗き込むような短編集なんだ。 でも、最後の話の方になってくると、少

          【読書日誌】村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』

          【特集】山田詠世のエモい記事5選

          ①山田詠世が誕生した日この記事は、僕の自己紹介のようなものだ。 なぜnoteで毎日投稿を始めたのか、自分がどんな人間を目指しているのか。そういったことが「日高屋」をサブテーマに語られている。 まず読んでもらえると、とっても嬉しい。そんな記事だ。 ②マッチングアプリ放浪記シリーズ(全14話)コミュ障でモテない男子大学生(僕)が、遊び人になって自分を変えるために、マッチングアプリを冒険する物語。 初めて、しっかり書いた連載ノンフィクション小説だ。 詩的な文体で描かれるの

          【特集】山田詠世のエモい記事5選

          【SS】誇り

          サッカー部キャプテンの彼女としての意地をかけて、ひとり持久走を本気で走っていたあの子は幸せになっただろうか。 本来、1番幸せになるべき人間が不幸になる世界だ。 自分の彼氏が恥をかかないように、極寒の校庭を半袖で走り続けた彼女のような人間は、絶対に幸せになるべきだった。 3月、JK剥奪式が執り行われ、多くの女子が下品な咽び泣く中、彼女だけは毅然とした態度で前を向いていた。 僕は彼女とは一度も話したことがなかったけれど、いつも彼女を目で追っていた。 美人なのに周りに媚び

          【SS】誇り

          [徒然]毎日投稿50日目で1万PVを頂きましたっっ!(感謝)

          明朝5時に起きて、あ〜、眠ぃな、なんてふと開いたnoteのダッシュボード。 普段は見ないから久しぶりに見てびっくり。 10,000PVを超えてるじゃありませんか。 本当に読んでくれている皆様のおかげですね。 ありがとう。 ちなみに、伸びている記事はやっぱり『マッチングアプリ放浪記』が多いですかね。 マッチングアプリ関連はタイトルも過激にしてみたので、それで興味を持ってくれた方が多かったのかもしれません。 でも、それに対してスキ数が伸び悩んでるのは、やはりコンテン

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          [徒然]誰にも甘えずに生きる

          僕はこれまで実家に頼りすぎていた。 大学在学中は、色々なことに挑戦してきたが、どれも全部、「実家」という安心して帰れる場所があり、その分お金があったからできたことであった。 だが社会人になったらどうか? もう親のお金や実家に頼れない。頼りたくもない。 だが、それは生半可なことではないと気づいた。 いざというとき、誰も守ってくれない。誰もご飯を作ってくれない。これは恐ろしいことだ。 自分が未成年というぬるま湯に浸かってきたことを痛感した。 親に反対される仕事をする

          [徒然]誰にも甘えずに生きる

          みたらし団子ちゃんは、性欲が強め。|曖昧で文学的な最高純度の大学生活

          大学に行くといろんな奴がいる。 訳もわからず雑草を掻き集めるひと、ひたすら淫粉を振り撒くひと、歌舞伎町のゴミになったひと。 誰もが何かを求めて生きていて、でもその正体は一生分かりそうもない。 そして僕でさえも、観察者では終われない。 ずっと何かを求めているのかもしれない。 『相互作用の社会学』という選択授業がある。僕は大学2年からこの授業を取ったんだけど、やけに大きな講堂には、3年生がほとんど、ちらちらと4年生もいた。 いつも1人で、窓際の前の方の席に座り、気弱そ

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