渋谷で若者500人に声をかけて分かったこと
タイトルを見て僕をナンパ師かなんかだと勘違いしないでほしい。
僕が渋谷で声をかけているのは「ナンパ」のためではなく
「研究」のためである。
僕は社会学部に所属していて、
「都市と若者の社会学」について研究しているのだ。
この研究では、「人が他者に対して〈寛容〉になるときの条件」を解明する。
そしてこの研究の成果は、下記に役立つだろう。
「結局ナンパかい!」と思って記事を閉じないでほしい。僕は至って大真面目なんだ。
ではそんな僕がどんなことをしているのか、片手で卵を割るくらい簡単に説明してみよう。
調査のために、僕は写真を撮る。
でも風景や被写体モデルさんを撮るわけではない。
見ず知らずの他人を撮らせてもらう。
(そこら辺にいる人、と言えば分かりやすいだろうか)
街中にいる方に声をかけて「あなたの写真を撮らせてほしい」との旨を伝えて、彼ら/彼女らの写真を撮るのだ。
どうだろうか、なかなか刺激的な写真だと我ながらに思う。
快く撮らせてくれたみなさんには本当に感謝している。
もっと見てみたい方はこちらの記事へどうぞ!!
ちなみに、フィールドワークで声をかける時の文言は決まっている。
伝え方という前提条件を揃えて、あらゆる場所にいる、あらゆるタイプ、様子の方々に声をかけてゆく。
すると、だんだん分かってくるのだ。
どんな人がお願いに対して快諾し、どんな人が拒否するのか。
いきなりゴツいカメラを持った変な大学生に声をかけられて、写真を撮らせてくれ、SNSに使わせてくれ、と言われて「YES!」というのは、なかなかハードルが高いものだろう。
だが、ある一定の条件を満たした人に声をかけると、
ほぼ100%の確率で「いいっすよ!」と快諾してくれるのだ。
その条件を明らかにするために、僕は写真を撮りながら、彼らが今何をしているのか、どんな状況なのか、これからどこに行くのか、学生なのか社会人なのか、などいろいろなことをヒアリングする。
こうしたフィールドワークを重ねることによって、
「写真を撮らせてほしい」という要求に対する、人々の「寛容になる条件」が浮き上がってくるのだ。
そして〈寛容になる条件〉は、
主に〈主体的要因〉と〈環境的要因〉に分けて考えられることが判明した。
下記に明らかになった要因を明記する。
例えば、宮下パークにいる若者たちは、上に挙げた〈主体的要因〉と〈環境的要因〉をほとんど全て満たしていることが多い。
ちなみに、「宮下パーク」について、まだよく知らないという方は、こちらの記事を見ると、面白おかしく宮下パークの説明がされている。
宮下パークで時間を過ごすほとんどの若者は、ただ友達と話すため、恋人とまったり時間を過ごすために、あの場所に来ている。
つまり、彼らは大した目的もなく〈Chillな気分〉に浸っているのだ。
まったり気分で、ゆっくりほろ酔い、なんて人も多い。だから他者からの介入にも、寛容的になれる余地がそこにはあるのだ。
すなわち、そこには〈イベント性への許容の余地〉が存在する。
宮下パークのように、若者たちがまったりしていて、時間に追われているわけでもなく、かといって何か明確な目的があってそこにいるわけでもない。
そんな〈Chillな気分〉が蔓延している空間では、ナンパや声かけに応じてくれる可能性が高い。
ちなみに面白いことに、宮下パークという特異な空間は、僕が上記した人が寛容になるための〈環境的要因〉をも満たしているのだ。
宮下パークは、渋谷のど真ん中にありながら、治安も比較的よく、変な人が少ない。それに、公園内の照明は薄暗く、ジェントルな雰囲気が漂っている。しかも嫌な喧騒が聞こえない。
つまり、あの公園は主体的にも環境的にも、人が寛容になるための条件をかなり多くの項目満たしていることになる。
これは、僕の質的社会調査で明らかになっていることだ。
しかし、これらの条件が、必要条件か十分条件かは、未だ調査中なためはっきりとしたことは分かっていない。
それに、まだまだ条件の精度を上げる余地がある。
今後の研究では、さらにフィールドワークの領域を拡大し、〈寛容になる条件〉の精度を上げていこうと思う。
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