アイスキャンディー【ショートショート】
あれは暑い夏の日の夕暮れ時のことだった。
まだ日の長い季節のことだから、多分夜の7時を回ったくらいだろうか。
当時小学5年の私にとって、週に数回の銭湯通いは、面倒以外の何ものでもなかった。
もう少し幼かった頃は、親に連れられて行って入浴し帰宅するその行為に、特に疑問も不満も何もなかった。だけど小学校へ入学して、学年が上がるにつれて友人も増え、互いの家へ遊びに行ったり来たりするうちに、私は気づいたのだ。多くの家は、自分の家にお風呂があるのだということに。
それまでも、夏休みや