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短編小説&ショートショートあれこれ

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創作作品。たまに身近なモデルがいたり、身近な出来事が混ざったり混ざらなかったり。
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#ショートショート

ゆびきり【ショートショート】

「おおい、ちょっと。誰か、おいちょっと!」 休日の朝のまどろみは、義父の呼び声でいきなり…

律子
1年前
94

こがねいろの願い(金)/【ショートショート】

※企画「あなたとぴりか」の参加作です。 前半は詩乃さんの書かれたお題作品、 後半が私の書い…

律子
2年前
55

【ピリカ文庫】あの日みつけた君は【ショートショート】

夢を見ているのかと思った。 9月半ばを過ぎたとは言え、晴れた日の昼間はまだ陽射しがそれなり…

律子
2年前
96

刺したのは私【ショートショート/夏ピリカグランプリ】

ただの気のせいだなんて、どうしたって思えない。 バス停からずっと誰かに後を尾けられている…

律子
2年前
123

気分は焼きそば【ショートショート】

4人がこうして顔を合わせるのは、もういつぶりのことだろう。 顔を合わせると言っても、あくま…

律子
2年前
97

3月の雪【ショートショート】

この冬の雪は特別だ。 出だしの12月はかなり控えめで、やっぱり温暖化だねなんて呑気に構えて…

律子
3年前
59

残りワインがゆらめくせいで【ショートショート】

このボトルを開けたのは、もう何週間前のことだろう。 あの日はいつも通り2人で映画を観て食事をし、その後ちょっとだけ私の部屋で飲み直そうということになった。 「就職おめでとう」グラスを軽く傾けながら、屈託のない笑顔で君は言う。 「ありがとう。でもめでたいかどうかは、正直まだわからないけどね。すごく厳しいお局様が仕切ってる職場かもしれないし」 「またそういうひねくれたことを言う。あなたなら大丈夫。のん気さと図太さは俺が保証するよ」 「ああそれはどうも。って、全然嬉しくないし」

その灯りはピンク【ショートショート/冬ピリカグランプリ】

年末近いこの季節なら、出勤時刻の16時には間もなく夕闇のカーテンが下りてくる。 パート先は…

律子
3年前
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サンドイッチ❨日曜の朝編❩【ショートショート】

昨夜のお母さんには、ムカついた。 煮物の人参に手をつけない僕に気づいて「すごく甘いから」…

律子
3年前
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サンドイッチ❨深夜編❩【ショートショート】

時計の針がてっぺんに揃う頃、ホテルの部屋で彼と2人、見るともなくテレビを見ていた。 画面か…

律子
3年前
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【ピリカ文庫】ピクニック【ショートショート】

「サンドイッチ、もう1つ食べる?お父さん」 子供達が家を出て今は2人きりなのに、つい作り過…

律子
3年前
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ラッキーな1年生【ショートショート/絵から小説】

もうずっと前から、演劇部の強豪として地元では名の通った高校だったけど、私達が入学したあの…

律子
3年前
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向日葵が眩しすぎたから【ショートショート】

容赦なく照りつける日差しが、夏の訪れを知らせていた。 一体どうして、こんなに暑くて明るく…

律子
3年前
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アイスキャンディー【ショートショート】

あれは暑い夏の日の夕暮れ時のことだった。 まだ日の長い季節のことだから、多分夜の7時を回ったくらいだろうか。 当時小学5年の私にとって、週に数回の銭湯通いは、面倒以外の何ものでもなかった。 もう少し幼かった頃は、親に連れられて行って入浴し帰宅するその行為に、特に疑問も不満も何もなかった。だけど小学校へ入学して、学年が上がるにつれて友人も増え、互いの家へ遊びに行ったり来たりするうちに、私は気づいたのだ。多くの家は、自分の家にお風呂があるのだということに。 それまでも、夏休みや