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【現代詩】『 らびりんす 』


『 らびりんす 』 赤黄緑紫


家を持ち運びたいー。家を着飾ったのに何処へも持ち運べなくて私はひとりだ独りぽっちだ、こんなら砂漠の真ん中で落とされてきたランプシェードとおんなじ、寝室の頭元に置いていたあのランプシェード、あああんたあれは肝臓の代わりに据えた私の命綱だったのに、鳥肌の代わりにカラスが一気に飛び立ち動悸が怒るー、それならいっそだれひとり要らない場所へ行ってしまおふ。家を持ち運ぶ・弄び・たいね・家を家を家を下さいー。あの壁紙は荒れ果てたぼろぼろになった胃の粘膜 それなら一層家を家を下さいー。トイレの壁が地震か何かで溶けて崩れ落ちてしまう時、はい喜んで私が逝きます本望なのです、一緒になって壊れて逝きます棺桶の中で焼かれて肩等爛れさせながら貴方が別れにくださった家を食べます、お煎餅よりもきっと美味しい家を下さいお抹茶ください√そうでなければ今この瞬間頭を優しく撫で回しながら家に住まわす意味もへったくれも用もなくなってしまふでしょう?今をどうか生かさせてくださへ


あかきみどりむらさき
2024ねん


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