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自由律俳句

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自由律俳句とそれにまつわるエピソードです。
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記事一覧

自由律俳句51

自由律俳句51

雲に覆われているが月の在処はわかった

雨上がりの夜空を見上げると
まだ雲が空を覆っていた

広がる鈍色の雲の一部が
ぼんやりと月色になっていた

この雲の上に
月が存在している

今は見えなくても
確かにある

なんだか安心した

自由律俳句48

自由律俳句48

覚えたてのスピカ見つけ心躍る

久しぶりにプラネタリウムに行った。
誕生日とも関連の深い12星座。
実際にその星座が見頃になるのは、実際の誕生星座の2〜3か月前なんだと初めて知った。

今回プラネタリウムに映し出された夜空は、今夜20:00の渋谷の空。
当たり前だが渋谷であっても、街の全ての電気が消えたなら、こんなにたくさんの星が見えるのかと思うと、年に一度は電気をつけない日を作ってもいいんじゃな

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自由律俳句47

自由律俳句47

届かないおめでとうを伝えたい

おめでとう。
そしてありがとう。

自由律俳句46

自由律俳句46

黙っていても頭の中ではずっと喋っている

先日、フレッシュなグラッパと樽熟成したグラッパを飲み比べる機会があった。

フレッシュなものももちろん美味しいが、熟成したものは、角が取れて丸みのある味わいだと感じた。

人間にも同じことが言えるのかもしれない。

自分の中にしっかりとした質の良い樽を作り上げて、その中で穏やかに過ごし熟成していく。
そうして出来上がる人間は落ち着いていて、味わい深い。

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自由律俳句45

自由律俳句45

誘い笑いにまんまと誘われている

今年の1月に姪っ子が生まれた。
遠方に住んでいることもあり、先日初めて会うことができた。

昔から赤ちゃんと対峙した時、必ずすることがある。

今回も姪っ子に仕掛けてみる。

すると姪っ子はまんまと誘い笑いに誘われてきゃっきゃと笑っている。

かわいいーーー💕

自由律俳句44

自由律俳句44

金木犀 何処 喧噪の狭間

忙しくて騒がしくて
疲弊していく心とからだ

そんな毎日の中で
ふと金木犀が香る

姿は見えねど季節を感じ
心に一滴の休息をもたらす

生きるとは難しくも美しい

自由律俳句43

自由律俳句43

静寂の中に瞬きの音がする

明け方にふと目が覚めた。
薄明るい空間にひとり静かに横たわっている。
外の音は何も聞こえず
世の中の時が止まってしまったかのように
天井を見つめている。

どこかからパチ…、パチ…、パチと
音がした。
自分の瞬きの音だった。

音が聞こえたから
大丈夫だと思った。

自由律俳句42

自由律俳句42

麻婆豆腐にシールは入っていない

 先日、自転車通勤中に交差点の信号待ちをしていた時のこと。交差点の脇にあるお店の軒先からこんな会話が聞こえてきた。会話の主は幼稚園児くらいの女の子とお父さんだった。

女の子:「これがい〜い!これ!これ!」

女の子は駄々をこねている。

お父さん:「でもこれ…、麻婆豆腐だよ?」

女の子:「これ!こ〜れ〜が〜いいのぉ〜!(半泣き)」

お父さん:「でもこれ、シー

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自由律俳句41

自由律俳句41

雷鳴った 夏が来る

雷が鳴ったら夏が来るって
昔はよく言ったもんでね。

学生の頃、友達と夏休みに遊んでた時に、
ものすごい雷が鳴って大荒れの天気になったんだよ。

で、その友達と
「夏が来るぞ!!」って言って
スケボー持って電車に乗って
なんだかわからないけど
日本海に行ったんだよね。

という東京生まれ東京育ちの
おじさまの話を聞いて
青春と夏を感じて
幸せな気分になった。

自由律俳句40

自由律俳句40

一杯で帰るつもりが三杯目を頼んでいる

休日の夜。
舞台を観に行った帰りに
軽く一杯だけ飲みたくなった。

途中の駅で降り、いい感じのバーに入る。
レコードでジャズが流れ、メニューは無い。
カウンターの角の席に案内され座る。

蒸し暑い夜だ。
ジンライムを一杯飲んでスッキリと帰ろう。

オススメのジンでジンライムをいただく。

おいしい。

何も考えずにぼーっと1人飲む。

飲み終わってしまった。

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自由律俳句39

自由律俳句39

壁の黒 蝿か蜘蛛か カメレオン

先程から、視線の先の壁に黒い何かがいるのだ。
染みか?とも思ったが、なんとなく立体感がある気がする。
自分の家ならば、何かしらの方法で外へ逃すのだが、ここは公共の場所なのでそういうわけにもいかぬのだ。
蝿か?蜘蛛か?
丸っこい何かがじっとしている。
カメレオンを連れてきたい。

自由律俳句38

自由律俳句38

風に乗りどこからか手持ち花火の香り

茹だるような暑さの残る夜の住宅街。
纏わりつく空気を破りながら
自転車で駆け抜ける。
いつも少しだけ風が通る十字路に差し掛かる。
いつも通り風が吹いていた。
いつもと違う香りがした。
音も聞こえない。
光も見えない。
それでもどこかで誰かが
手持ち花火をしているとわかる。
夏を楽しんでいるようだ。
いいなぁ。

自由律俳句37

自由律俳句37

靴下の色 二択を間違える

久しぶりの休日。
少しおしゃれをして、
映画、散歩、ショッピング、食事を
一日中楽しむぞ。

そうだ、新しいブーツサンダルを履いていこう。
足の甲の部分に穴が開いていて
靴下が見えるからここもおしゃれポイントだなぁ。

何色の靴下にしよう。
今日の服の感じだと、
からし色かモスグリーンのどちらかだな…。

悩む。

そうこうしてる間に映画の始まる時間が近づく。
早く家を

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自由律俳句36

自由律俳句36

詳しく知らなくても好きでいいじゃない

なんとなく好き。
好きなものは好き。
そうやって生きていきたいんだけど。
ダメなのかね?