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小説まとめ

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僕の書いた小説の類いをまとめました。
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#掌編小説

真野さんと吉田くん 1話 晴れのち雨、夕陽のち虹。【短編小説】

「雨ですね、真野さん」 僕が言った。 「雨だね、吉田」 真野さんが言った。 朝の天気予報で…

camyu
2年前
100

AIって難しい 【ショートショート】

「自動運転システムってすごいよな」 僕は言った。 「すごいよねっ」 アイが言った。 2045年…

camyu
2年前
75

僕なりのXmas Story

クリスマスも間近に迫った12月20日。 トナカイ長のトニーは、サンタクロース長のサントスとの…

camyu
3年前
53

向日葵に見下ろされて

僕の思い出せる一番古い記憶は、高々と僕を見下ろす向日葵畑だ。 初めては物心が付く前だった…

camyu
3年前
70

深夜1時、食堂にて。

実家の父から、ショートメールが届いた。 「今年で引退しようと思ってる」 たった一行だった…

camyu
3年前
93

マリリンに色が付いた日

今日はここ最近で一番嬉しい出来事がありました。 noterのアリエルさんが、私の『きっかけはロ…

camyu
3年前
40

マリリンと僕5 ~マリリンの憂鬱~

「本当ですか!?」 「ウソだよ」 「え…、ウソなんですか…」 「いや、ほんとほんと。本当だよ。」 劇団の主宰である小山さんに呼び出され、僕らは中野の片隅にある、古びれた喫茶店にいる。築40年越えの木造建築、店内はランプの灯りのみで薄暗く、天井は低いし床は歪んでいて、メニューもブレンドコーヒーのみ。かろうじてホットかアイスは選べるけれど、作っている主人の顔は見えないし、声も出さない。コーヒー以外の持ち込みは全て自由で、店内には小さな音量でクラシックが流れている。小山さんの若い

助手席の神様

「降りてくれません?」 「無理を言うな」 「いや、こっちこそ無理なんですけど」 「なんで…

camyu
3年前
52

リストラ注意報

ふぉんふぉんと、不穏な音がフロアに鳴り響く。 “リストラ注意報”のサイレンだ。 丸閥不動…

camyu
3年前
38

しゃべるピアノ

「ピアノを弾くということは、ピアノを愛するということだ」 ピアニスト佐村亘はそう語る。 …

camyu
3年前
60

続・神様カフェ

「ねぇ、君、往生際が悪過ぎますよ。そろそろ諦めなさい」 「嫌ですぅ。だってアタシ死にたい…

camyu
3年前
37

空飛ぶバナナ

私の名は谷中正蔵。 東大卒業後、U銀行に入行した。50歳まで支店長を勤め、グループ会社に転…

camyu
3年前
53

夢の失恋

不思議な夢を見た。 見慣れない校庭には、制服姿の僕と恋人のエリ。 具体的な会話の内容まで…

camyu
3年前
41

全部、大吉。

子どもの頃、よく近所のお寺さんに遊びに行った。大きな赤い鳥居があって、2匹の狐が出迎えてくれる。 お墓もたくさんあって、人が死ぬなんて全然意味がわかっていない頃だから、いろいろな形や大きさのお墓を見るのが楽しかった。兄と一緒に走り回ったり、バチが当たりそうな悪いことも、思いついたらなんでもやっていたと思う。 特に秋が好きだった。 どんぐりや松ぼっくりを拾って集めたり、「くせーっ、くせーっ」って叫びながら、落ちてる銀杏を投げたりした。銀杏が美味しいなんて知ったのは大人にな