絵本を作ることが、夢でした。#noteでよかったこと
黄色く、ほやほやにふくらんだ風船が
茶色いいぬのあたまにまっすぐ
くっついていて。
その姿が、めにもあざやかにとびこんで
きてしばらくページをめくる。
むかし出会ったへんてこな話。
「ふうせんいぬ ティニー」。
ティニーは、飼い主のケンと散歩中に、突風に
吹かれて空へそらへと飛んでいってしまう。
その雲の上には<ふうせんどうぶつ>たちがいる。
彼らひとりずつと知り合ったになったティニーは、
空の上の知らない世界へと引き込まれてゆく。
ページを開くと空の青と、雲の白と色とりどりの
ふうせんどうぶつ達が、浮かんでる。
ふうせんいぬティニーが、これからどこへいって
だれに出会うのかは、まだわからないけれど。
ちょっと気にかけたいなっておもうはじめての
キャラクターだった。
書店に行くと、ふらふらと足が向いてしまうのは
絵本のコーナーだったりする。
一冊をよんでしまうのに、さほど時間はかからない
けれど、読み終えた後のこころのなかの様子は
すこし、絵本以外の本を読んだ後と違ってる。
哀しかったり
可笑しかったり
わらったり
ほほえんだり
ぎゅっとしたかったことが
ふいに現れてきて、じぶんの根っこ
めいた場所が、穏やかにゆさぶられる。
読む前には、どこなとくもやもやしていた
ものが最後のページをぱたんと閉じた
ときに、健やかな呼吸がもどってくる
みたいに、晴れてくる感じがする。
忘れてばかりのふうせんうさぎや、
ふたごのペンとギンがいつも
けんかしていたり、おなかがいっぱいで
やる気のでないピギー、
そしていばりんぼうのリオン。
そこにいる彼らは、ありえない動物たち
だけれど気がつくと、それでも彼らの誰か
やみんなに、じぶんをあてはめて、
同じ地平に立っている距離感で読んでいる。
絵の中に何かささやかな情報が隠されて
いないかなと、文字をゆっくりと眼で
追いながらひとはみな。
みんなふうせんをつけた迷子のどうぶつ
なのかもしれないと、思った。
ほんとうはそれぞれに帰るべき場所があるのに、
いまはそこにいる仲間たちと何処かへと
向かっている。
もうなにもないなって思ってしまうとき、
ふと絵本に出会うと、最後の砦のように
まだここにこれがあったんだって気持ちに
なるときがある。
絵本は、ひとつのジャンルというよりも、
あしたもきっと大丈夫でいるための
たいせつな処方箋に似ているのかも
しれない。
わたしはずっと昔からじつは絵本を書き
たかった。
色々挑戦したけれど。
絵本の文字はわたしにとって一番難しくて
なかなかうまくいかなかった。
でも風船ティニーみたいな絵本のお話しを
書きたくて、書いていた。
書いたらそれを誰かに絵にしてもらいたくて。
わたしは今、noteで出会った同じお誕生日の
如月桃子さんと絵本を作っている。
タイトルは、『ことりん と ことりこ』
です。
①
ぼく ことりん
きょうは とばないで あるくんだ
しましまの こうさてん
とことことんとん
どこまでも びっくりするほど しましまで
②
どこが おしまいか わからなくなった
そのとき ぐるりと かおがこっちを みたの
それは それは こうさてんじゃなくって
たくさんの しまうまさんの せなかでした
こんなふうに続いていく。
ことりんという小鳥がことりこという小鳥を
探す物語です。
桃子さんから送られてきた一枚の絵は
モノクロだったわたしの言葉に色がつき
彩られ、そこにちょこんとことりんが
いるだけで物語の始まりを感じるような
とてもすてきな世界だった。
テキストはもうさいごまで出来上がっている
ので、桃ちゃんが好きな時に描いてくれたら
うれしいなって思ってる。
noteにいなかったら、絵本なんてつくれなかった
だろうなぁ。
桃ちゃんと同じ日に生まれたことをとても
幸せに思ってます。
絵本のことりことことりんも桃ちゃんに絵に
して命を吹き込んでもらってとても喜んで
くれているそんな気がしています。