ぶん/都筑文火

港区で働くアラサーが、日々のストレスに打ち勝つべく、神社仏閣巡りでゆる〜く「発心」していくエッセイです。 まずは四国お遍路一周を目指します。 monogatary.comで小説も書いています。 講談社『小説現代』主催 第二回羊文学賞最終候補作「そう、ただの、情景」

ぶん/都筑文火

港区で働くアラサーが、日々のストレスに打ち勝つべく、神社仏閣巡りでゆる〜く「発心」していくエッセイです。 まずは四国お遍路一周を目指します。 monogatary.comで小説も書いています。 講談社『小説現代』主催 第二回羊文学賞最終候補作「そう、ただの、情景」

最近の記事

港区(勤務)女子の「発心」その45@香川お遍路 雲辺寺

タイミングが大事だと思った話を一つ。 弾丸で香川に行ってきました。 再び仕事終わりに空港へ向かったものの、台風の接近により、もしもの場合は飛行機が引き返すやもといったアナウンスが・・・ 不穏な気配が渦巻く中、なんとか離陸・着陸しました! これが翌日の朝出発、なんてスケジュールにしていたら、遅延に遅延を重ねて1日棒に振ったことでしょう。 本当にタイミングに恵まれました。 この日は空港近くのアパホテルに宿泊し、明日に備えます。 悪天候のため、今回はレンタカーで周ります。 熱帯

    • 港区(勤務)女子の「発心」その44@高知お遍路 禅師峰寺/桂浜

      何のためにやるのか、という話を一つ。 高知お遍路2日目です。 前日は高知駅に戻り、ツーリストイン高知という立地抜群のビジネスホテルに宿泊。激混みしているひろめ市場で春鰹のタタキと刺身を、コンビニでビールやアイスを買い込んで、ホテルでひとり晩酌。顔パックやシップ、ムヒも塗布し、備えたおかげで何とか歩けそう。 高知お遍路の課題として、圧倒的に宿がない!と感じました。高知駅周辺には点在しているのですが、へんろ道中には全くと言って良いほど見当たらないため、野宿でない限りは一旦中心

      • 港区(勤務)女子の「発心」その43@高知お遍路 竹林寺

        迷うのだって楽しいじゃん?と思えた話を一つ。 かなり地道ではありますが、アラサー会社員の現実可能な範囲でお遍路を進めています。 今回は高知に初上陸し、丸二日間の歩き遍路予定。仕事が終わってから羽田空港に行き、19時発の便で前乗りします。金剛杖を手荷物預かり所に持っていくと、「こちらはどうしましょうか」とグランドスタッフに笑われてしまいました……これはただの棒ではない、空海なのに、と心の中で思う。シールを直貼りされた空海がレーンで運ばれていく姿を想像し、なんだか忍びない気持ち

        • モロッコ巡行記⑥おまけ@ドバイ/ラマダンについて

          格差の話を一つ。 タイトルがモロッコなのかUAEなのかわからない感じになってしまいましたが……。 日本〜モロッコ間は直行便がないため、私は今回かの有名なエミレーツ航空でドバイでのトランジットを選択しました。エミレーツに乗ってみての感想としては、 ・食事に気を遣っている(全てハラルフードの上、ベジタリアン用など色々選択できる) ・映画の数が多い ・キブラ・コンパスが付いてる! といった具合でした。 行きは良い良い帰りは怖い……カサブランカ発の便が大幅に遅れたことにより、

          モロッコ巡行記⑤@マラケシュ/リヤド・ハマム体験/マジョレル庭園

          頭を空っぽにすることの大切さを一つ。 いよいよレッドシティ・マラケシュへ。今まで訪れた街の中で一番の賑わいを見せていました。空気もなんだか煙たい。それもそのはず、マラケシュは起伏の少ない土地のため、メディナ内の細い路地でもバイクがじゃんじゃん通ります。 様々なスークを抜けた先、視界が開けたところにジャマ・エル・フナ広場があります。かつては公開処刑場であったこの場所は、屋台だけでなく大道芸など見世物が今でも行われています。 しかし、そんな喧騒も一歩道を入るだけでパタリと止む

          モロッコ巡行記⑤@マラケシュ/リヤド・ハマム体験/マジョレル庭園

          モロッコ巡行記④@ワルザザード

          もっと知っておかなければならないことの色々。 メルズーガを後にし、ひたすら西へ。ワルザザード及びその先にある世界遺産・アイト・ベン・ハッドゥを目指します。アイト・ベン・ハッドゥは、家々が集まり1つの要塞のようになった村。17世紀にカスバと呼ばれる東西南北に4つの見張り塔を設けた砦のような建造物が多く建てられましたが、それはアイト・ベン・ハッドゥだけでなく、道中にも数多く点在していました。しかし、その多くは空き家になってしまっており、それをリノベしてホテルやレストランに生まれ

          モロッコ巡行記④@ワルザザード

          モロッコ巡行記③@メルズーガ/サハラ砂漠

          ノマドから学んだことを一つ。 フェスを後にし、ミドルアトラス山脈を越えてサハラ砂漠へ。はじめに通りがかったのは、「モロッコのスイス」とも呼ばれる街・イフラン。イフランはじめ三角屋根の西洋風な建築が目立つこの一帯には、りんご畑が広がり、冬には雪が降るそう。なかなか想像がつきにくいですが、近くにはスキー場がありました。私が行った時は季節は春でしたが、降り立つとひんやりと涼しい。モロッコではじめて創設された私立大学も遠目から見えましたが、年間の学費は、日本の私大文系学部のそれより

          モロッコ巡行記③@メルズーガ/サハラ砂漠

          モロッコ巡行記②@フェス

          犬も猫も鳥も人も、なんだかんだ、なんとか生きていけているのだと感じた話を一つ。 シェフシャウエンから4時間、世界遺産の迷宮都市・フェスへ。メディナ(旧市街)には9600もの路地が入り組んでおり、一歩中に入った途端、高い壁に囲まれてひんやりと涼しい。眩しい日差しと熱を一気に忘れさせる、先人たちの知恵が詰まっています。迷路のような小径の両側には、5000もの店舗がひしめくスーク(マーケット)が。香料、皮、金属、食料などで通りが分かれています。 特に、タンネリと呼ばれる皮工房地帯

          モロッコ巡行記②@フェス

          モロッコ巡行記①@シェフシャウエン

          目に映る全ての景色に興味が湧いた話を一つ。 久方振りの投稿で且つ神社仏閣から話題が逸れてしまいますが…… ドバイを経由し、空路でおよそ丸一日、モロッコに赴きました。 初めてアフリカ大陸の地を踏み、胸が高鳴ります。 ドライバーさんと合流し、ムハンマド5世国際空港から伸びる高速道路をひたすら北へ。カサブランカ、ラバトは大都市なだけあって、近郊にどんどん新しい住居が絶賛建設中でした。田舎に行けば行くほど古い空き家が目立ち、日本と同じく、過疎化が進んでいるようです。高速からでも大

          モロッコ巡行記①@シェフシャウエン

          縁切り

          会社に老害がいる。都内にある大手企業に勤める入社三年目の相島康太の精神は、もう限界に来ていた。定年後も居座り続ける役員の江口和夫に何故か目をつけられてしまってから一年。叱咤激励という名の罵声を浴びせられることから始まり、幾度も繰り返される過去の栄光話を酒の席で聞かされて一日が終わる毎日。おかげで体重は2キロ落ち、若白髪が一気に増えた。江口のパワハラを訴えた社員は権力のもとに返り討ちに遭い、みな姿を消した。次は相島康太の番だ。みなそう囁いている。 そんな中、SNSでバズってい

          初めて‘受け入れた’日

          2019年4月4日、私は保護猫を受け入れました。 元々動物は好きでした。特に猫は大好き。しかし、いざ育てるとなると、時間的・金銭的な問題に加え、「命を預かる」という重責から私も家族も中々踏み切れず…幼少の頃からこれまで「動物と共に過ごす」という経験をしてきませんでした。(あってもお祭りで掬った金魚くらい?) そんな私たち家族が保護猫を譲り受けることになったきっかけ。それは、保護猫カフェです。ペットショップや保護施設などのようにはじめから購入・譲渡を目的とせず、単純に遊びに

          初めて‘受け入れた’日

          港区(勤務)女子の「発心」その42@高野山 金剛峯寺

          古いものと新しいものとの調和が美しかった話を一つ。 宿坊を出て、真言宗の総本山・金剛峯寺を目指します。その途中、前のお遍路で念珠を失くしてしまったため、元禄より続く「数珠屋四郎兵衛」にて新しいものをようやく購入しました。 以前、記事にも書いたような気がしますが、煌びやかな装飾が施された寺院よりも、個人的には素朴で木の匂いが薫るような、いわゆる「山寺」の雰囲気が大好き。故に、金剛峯寺も非常に落ち着く場所でした。 寺の内部は、狩野派や雪舟の後を継ぐ絵師たちにより描かれた襖絵で

          港区(勤務)女子の「発心」その42@高野山 金剛峯寺

          港区(勤務)女子の「発心」その41@高野山宿坊体験 恵光院

          とても楽になった話を一つ。 高野山でのお宿は、奥之院の程近くにある恵光院(えこういん)。明智光秀の菩提寺でもあります。何故恵光院さんの宿坊に決めたかというと、雑誌『BRUTUS』に「人生変えちゃう、1泊旅。」という特集で紹介されていたからです。もはや旅館かと思うほどの美しい内装と、景観の素晴らしさに圧倒され、即決しました。 実際に訪れてみてもその感動は変わらず、見た目にも美しい精進料理もとても美味しかったです。 恵光院さんでは3つのプログラムに参加。 1つ目は瞑想体験。「

          港区(勤務)女子の「発心」その41@高野山宿坊体験 恵光院

          港区(勤務)女子の「発心」その40@高野山 奥之院

          勘違いしていた話を一つ。 真言宗の総本山・高野山に未だにお参りを済ませていない中、お遍路を続けていて良いものだろうか。そう思い立ち、大阪から2時間以上もの道程に気後れしつつも行ってきました。 難波から南海鉄道に乗り、橋本駅にて乗り換え待ち。その間に一度改札を出て、「柿の葉すし本舗 たなか」さんにてお昼を購入。13時に一度休憩で店を閉められるギリギリのところでした。お店の方にお茶までいただき、ゆっくりとベンチでいただきました。サバが一般的なイメージとしてありましたが、他にも鯛

          港区(勤務)女子の「発心」その40@高野山 奥之院

          港区(勤務)女子の「発心」その39@野毛山 横浜成田山

          普段は表に出てこない物の話を一つ。 映画『死刑にいたる病』を観てきました。白石監督の持ち味のバイオレンスな要素はありつつも、特に死刑囚との面会時、ガラス越しに映ったり映らなかったりする互いの表情までも細微に描かれていました。社会に蹂躙される弱者たちの、その逃れられない宿命を表面化した作品だと解釈しました。 鑑賞後、どんよりとした気持ちとは裏腹に、外はは快晴。休日ということもあり、みなとみらいのショッピングモール内の飲食店はどこもいっぱい。少し遅めのお昼にありつくため、野毛

          港区(勤務)女子の「発心」その39@野毛山 横浜成田山

          港区(勤務)女子の「発心」その38@築地 築地本願寺

          得した気分になった話を一つ。 noteを始めてあっという間に1年が経ちました。丁度昨年の今頃にも健康診断で築地を訪れていて、その時は波除神社を参拝し、場外でお寿司をいただいていました。 今年は築地本願寺へ。築地の駅に降り立ったら必ず目にする施設にもかかわらず、足を踏み入れたことがありませんでした。というのも、あの荘厳な佇まいに今までちょっとビビっていたところがあったのですが、入ったらちょう楽しい。(笑)他には中々見られないデザインの本堂はガンダーラ様式に則っているそう。入

          港区(勤務)女子の「発心」その38@築地 築地本願寺