港区(勤務)女子の「発心」その44@高知お遍路 禅師峰寺/桂浜
何のためにやるのか、という話を一つ。
高知お遍路2日目です。
前日は高知駅に戻り、ツーリストイン高知という立地抜群のビジネスホテルに宿泊。激混みしているひろめ市場で春鰹のタタキと刺身を、コンビニでビールやアイスを買い込んで、ホテルでひとり晩酌。顔パックやシップ、ムヒも塗布し、備えたおかげで何とか歩けそう。
高知お遍路の課題として、圧倒的に宿がない!と感じました。高知駅周辺には点在しているのですが、へんろ道中には全くと言って良いほど見当たらないため、野宿でない限りは一旦中心部に戻らなければならないのです。これは同じく、お会いした歩きへんろさんも頭を抱えていらっしゃいました。高知駅から再びMY遊バスで昨日来た道を戻り、竹林寺の先のバス停で降ろしてもらいます。そこから禅師峰寺へは徒歩40分ほど。海からほど近いへんろ道を行くのですが、南海トラフ地震に備え、海抜や避難場所の標識が道を歩けば目に入ります。打ちっぱなしのコンクリ造りの「津波避難タワー」も初めて目にしました。
禅師峰寺は、いざという時には避難場所にもなりそうな小高い山の上にあり、土佐湾を一望することができます。この美しい眺望に境内は賑わっていましたが、一歩外に出ると、孤独との戦いが始まります。今回は一瞬、健脚のおじいさんと同行ニ人となりましたが、どこからか姿を消されてしまいました。反対に、逆打ちをしているお遍路さんはちらほらといて……。調べてみると、閏年に逆打ちをするとご利益増になる?とのネットニュースが。なるほど、みなさん今年は逆打ちされる方が多いのかもしれません。
雪蹊寺へは、恐らく本来のへんろ道ではないのですが、高知に来たからにはやはり桂浜に訪れたいと思い、海岸沿いの道をひたすら進みます。海を見ながら歩くのはさぞ気持ちが良いだろうと期待に胸を膨らませていましたが、津波を防ぐための巨大な堤防が築かれていました。浦戸大橋の細すぎる歩道を何とか突破し、2時間ほどかけて桂浜に到着。龍馬像を拝み、水族館で腹を満たします。
桂浜では多くの言語が飛び交っていました。海外の方からしてみると、まことに奇妙な出で立ちであっただろうと想像します。スペインなど、巡礼の文化は日本に限ったことではありませんが、巡礼の原動力は、信仰からくるものが強いと思います。しかし、もはや無宗教に近い日本人が、その中の特に無知な私が、お遍路をやる意味とは?正直、徳を積めているのかは定かではありません。しかし、前出しているかもしれませんが、何も考えない時間を作るには、お遍路はピッタリだと感じます。また、今回の旅の中で、何度か知己の顔を見たような気がしました(もちろん全くの別人なのですが)。無意識の内に忘れてしまいそうになっている誰かを想う。そんな機会にもなる気がしました。
桂浜を後にし、再び海岸沿いを歩いていきます(桂浜以後は海が見えました)。強い日差しに焼かれながら何とか雪蹊寺に到着。そして今回の旅の最後の札所・種間寺を目指します。種間寺までは山間の田園風景が続きます。田植えが終わり、ぐんぐんと育つ稲を、農家の方々が手入れをしていました。GWに訪れましたが、農家に休みはありません。幾度か車と歩きで道順が異なる場所があるのですが、誤って車の標識につられて行くとかなり遠回りになってしまうので要注意です。
予定通り種間寺に到着。最寄りのバス停(種間寺から徒歩40分)からバスに乗り、高知駅までは爆睡していました。この日の夜は四万十の鰻を堪能し、終了しました。
今回は2日間で7箇所、約60キロの行程を歩きました。残す札所は30箇所です。