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モロッコ巡行記③@メルズーガ/サハラ砂漠
ノマドから学んだことを一つ。
フェスを後にし、ミドルアトラス山脈を越えてサハラ砂漠へ。はじめに通りがかったのは、「モロッコのスイス」とも呼ばれる街・イフラン。イフランはじめ三角屋根の西洋風な建築が目立つこの一帯には、りんご畑が広がり、冬には雪が降るそう。なかなか想像がつきにくいですが、近くにはスキー場がありました。私が行った時は季節は春でしたが、降り立つとひんやりと涼しい。モロッコではじめて創設された私立大学も遠目から見えましたが、年間の学費は、日本の私大文系学部のそれより高いのです。
杉などの針葉樹林帯を抜けると、次第に植物は背丈が低くなっていき、イメージする「アフリカ」へ近づいていきます。目を奪われるのが、辺り一面に広がる巨大な岩山。剥き出しになった断層面から、何千年と前、火山活動によりいかにこの地が隆起を繰り返してきたかが伺えます。中には今の地表面から45度ほど傾いた地層も見受けられました。
谷間には、大地を削り取りながら川が濁流し、それに見事に沿う形でオアシスが生成されていました。オアシスの周りにぽつぽつと現れる家々は、赤土でできたものになっていきます。仮にワザードやシェフシャウエンのような白系統の壁にしてしまうと、強烈な日差しが反射し、目がやられてしまうそう。
さらに進むと、次第に大地はなだらかに。そこには遊牧民(ノマド)が連れている羊やヤギたちが草をはんでいました。荒野の砂粒が、みるみる小さくなっていき、メルズーガに着く頃には砂漠となっていました。
フェスから9時間。遂にサハラ砂漠へ!ラクダに跨り、ゆったりと砂丘を登っていきます。ラクダはとても大人しい生き物で、乗り心地も悪くない。砂漠の気候は少し肌寒いくらい。砂は手に残らないほどサラサラでした。砂漠の中のキャンプ場に宿泊しましたが、シャワーやトイレがちゃんと使えて、テントは暖房がなくても暖かい。コガネムシが灯りを求めて集まってきてしまうのは仕方がないですが、贅沢すぎる一泊でした。
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ラクダ引きの青年たちは、みなノマド出身。ノマドたちには誕生日がないらしい。学校へ通っていないため、言葉は全て観光客から独学で覚えたのだとか。イフランの私大に通う学生らとは大きな差があります。
生まれ落ちてからずっと、空を読み、自然の摂理の中で生きてきた彼らにとって、人生は我々が感じるよりも短い。その中でどう生きるか、砂漠に佇み、禅を学んでいるように感じられました。