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#読書感想

【読書メモ】『しずけさとユーモアを 下町のちいさな出版社センジュ出版』(吉満明子、エイ出版社)

【読書メモ】『しずけさとユーモアを 下町のちいさな出版社センジュ出版』(吉満明子、エイ出版社)

北千住にある、いわゆるひとり出版社「センジュ出版」の代表・吉満明子さんの仕事人生である。

『モモ』との出会い、ボランティアに励んだ学生時代、スーパー仕事タイムな20代ー30代、出産、起業……時に苦しく大変な思いをしなぎらも心のままに生きている人の文章は読んでいてどうしたって心打たれるものがある。

情緒をうまく表現できない僕からするととても羨ましい文章で泣かされてしまう箇所が何個もあった

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【読書メモ】『続・ゆっくり、いそげ』(影山知明、クルミド出版)

【読書メモ】『続・ゆっくり、いそげ』(影山知明、クルミド出版)

クルミドコーヒー、というかフェスティナレンテには生き残って欲しいのでECで珈琲豆を購入し、そういえばまだ読んでいなかったのでこちらも買った。

クルミド出版の新レーベルcallsの一作目。内容は前作『ゆっくり、いそげ』の考えを進めたもの、ではあるのだが実はまだ途中で、読者からの反響を元にして調整・変更していくというあたらしい出版の形を目指している。音楽の世界で言うコール&レスポンスのように本を

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【読書メモ】『情報環世界 身体とAIの間であそぶガイドブック』(渡邊淳司・伊藤亜紗・ドミニクチェンほか、NTT出版)

【読書メモ】『情報環世界 身体とAIの間であそぶガイドブック』(渡邊淳司・伊藤亜紗・ドミニクチェンほか、NTT出版)

2020.4.15 #読了

BOOKSHOP TRAVELLER 間借り店主・ぼくはきみできみはぼくさんからご紹介いただき読む。

この前、アップした『世界はなぜ存在しないのか』にもチラッとだけ出てきたし、まだメモを書いていない『人工知能のための哲学塾 東洋思想編』にも出てきた概念「環世界」。

元はユクスキュルの『生物から見た世界』(岩波文庫)で提唱された概念みたいだけど、つまりは

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【読書メモ】『なぜ世界は存在しないのか』(マルクス・ガブリエル、清水一浩(訳)、講談社)

【読書メモ】『なぜ世界は存在しないのか』(マルクス・ガブリエル、清水一浩(訳)、講談社)

2020.4.13読了

タイトルが最高なので買う。久しぶりの思想書なので肩肘張って読み始めたが話し言葉なので読みやすいのが嬉しい。

が、やはり思想書は思想書であり、字面を追ってはいるものの理解できているかと言えばかなり怪しい……。「新しい実在論」を紹介しているのだけれど、自分の理解できた範囲でものすごく簡単に要約(できないから本になっているのだけれど)すると……

全てのものを包摂する

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【読書メモ】『日本発酵紀行』(小倉ヒラク、D&DEPARTMENT PROJECT)

【読書メモ】『日本発酵紀行』(小倉ヒラク、D&DEPARTMENT PROJECT)

小倉ヒラクさんのことは注目していてだから買う。どこで買ったかは忘れた。

発酵デザイナーの小倉ヒラクさんが全国の発酵食品を求めて旅をしたその記録である。さすがに47都道府県全てを取り上げるのはページ数的に難しいのか一部載っていない地域もあり、また本番中でも急に違う地域に行くので他の場所にワープしているような不思議な気持ちになる。

前著の『発行文化人類学』のときよりも読みやすく、時折挿入さ

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【読書メモ】『ねじとねじ回し』(ヴィトルト・リプチンスキ・春日井晶子(訳)、早川書房)

【読書メモ】『ねじとねじ回し』(ヴィトルト・リプチンスキ・春日井晶子(訳)、早川書房)

サイエンス関係の本は読みたいなーと思っていてどこかで買った。フェア科学道100冊にも入っている本。

話は、著者がニューヨークタイムズ紙の編集者から「21世紀を控えてミレニアム特集をするからここ一千年で最高の道具について書いて欲しい」と依頼されたことから始まる。

自分で家をイチから建てるくらいなDIY好きな著者が、頭の休憩にちょうど良いと安請け合いしたのだが、実はこれがなかなかの難題で…

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【読書メモ】『あの本は読まれているか』(ラーラ・ブレスコット・吉澤康子(訳)、東京創元社) 4/21発売予定 サンプル

【読書メモ】『あの本は読まれているか』(ラーラ・ブレスコット・吉澤康子(訳)、東京創元社) 4/21発売予定 サンプル

縁あってご恵贈いただく。

全編にわたって静かな印象だが所々ハッとさせられるような文章があって、寂しいような悲しいような愛しいような複雑な気持ちになる読後感。

それにしても一冊の本を、しかも思想書ではなく物語を、兵器として考えてバラまくということが実際に起きた。それを真面目に考えて、真面目に実行した人々がいたということに驚く。

言葉が異常に軽く扱われるいまの日本にいるとそんな世界が

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『hibi/どこにいても本屋』(松井祐輔)

『hibi/どこにいても本屋』(松井祐輔)

イズマイで『hibi/どこにいても本屋』を読み終わったのだった。

そういえば最近、松井さんと会っていないなあなどと考えながら読んでいたら頭の中をそのまま取り出したようなダラダラした文章が、ようやく元気を取り戻しつつある脳味噌にちょうど良く染み渡っていって滋養が得られたのだった。

あとアタリだったみたいで #nowreading ステッカーが付いてきた。どこかに貼ろう。

【読書メモ】『ホホホ座の反省文』(山下健二・松本伸哉、ミシマ社)

【読書メモ】『ホホホ座の反省文』(山下健二・松本伸哉、ミシマ社)

京都のホホホ座で山下賢二さんにサインをしてもらい購入。ホクホクである。

取材後、かつ『ガケ書房のころ』(こちらは取材前に読んだ)を読んで間もない時に読んだので「あーこれはあれのことね」と始終納得したり思い出したりしていた。

「自分のことを棚に上げない」をテーマに店ができるまでの経緯やできてからのことが書かれている。面白いのは山下さんとは違うホホホ座のもう一人メンバー松本伸哉さんの文章が

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【読書メモ】『dancyu March 2020 いまの酒を知る。日本酒2020』

【読書メモ】『dancyu March 2020 いまの酒を知る。日本酒2020』

去年から『ダンチュー』の日本酒特集は買うようにしていて。なので今年も買う。

去年は旨味とか芳醇とかそういう言葉に驚いたけど今回は「磨かない酒」に驚いた。精米歩合の数字が低いほど磨いているだけ雑味がなくなるという認識だったけど、もういまはそんなことないんだなあ。技術の進歩は凄まじい。今度飲んでみよう。

酒屋だとSake Baseの活動がハンパない。自分たちで酒造りも体験すれば米まで作ると

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【読書メモ】『あとは野となれ大和撫子』(宮内悠介、角川書店)

【読書メモ】『あとは野となれ大和撫子』(宮内悠介、角川書店)

いつかの本屋大賞にノミネートされていたのかな何なのかなそんな感じでなんとなく記憶に残っていたのでどこかの取材時に購入(なんて情報のない文章w)

期待はしていたけどもまさかの1日で読み切ってしまった。登場人物たちのキャラクターとか、架空の国なのにうまく現実の政治的な話を持ってくる感じとか、話も強引さを感じさせない程度にトントンと進んでいくところとか、やーこれは良かった!

ひとつ気に入った

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