「至高の虚像」&「哀しき実像」
少し前に出た↓の売れ行きが好調です。
出版社は河出書房新社。「新資料を中心に、秋霜烈日の裏の生身のあたたかさに迫る」との紹介文に惹かれました。ドラマや小説でお馴染みの「鬼の副長」像しか知らないので。
同じ著者による↓は読了済み。
斎藤一といえば、やはり和月伸宏「るろうに剣心」の印象が強いです。同作における斎藤は「悪・即・斬」という己の信念を貫く孤高の狼。実際はどうだった? 忠誠を捧げた対象は幕府か、同志か、信念か、それとも。
興味のある方はぜひ。
ところで新選組のファンはいまも多いのでしょうか? なんとなく人気の高さでは土方と斎藤、そして沖田総司が三強だと思っています。私は読んでいないのですが、土方は野田サトル「ゴールデンカムイ」の影響もありそう。どんなキャラクターなのか気になります。
三谷幸喜さんが脚本を書いた大河ドラマ「新選組!」を見ていた人なら、あるいは山南敬助や芹沢鴨がイチオシかもしれない。かくいう私も「土方くん…」という山南のセリフを酒の席で物真似のネタにする程度には好きでした(スイマセン)。そしてなんといっても佐藤浩市さんが演じた芹沢。カッコ良すぎました。
最期の場面をずっと覚えています。
酒を大量に飲み、大いびきをかいているところへ土方ら四人が飛び込み、刃を突き立てる。しかし寝床はもぬけの殻。部屋の隅で芹沢が「ずいぶん待たせやがる」と不敵に微笑み、瓢箪を傾ける。
新選組の実情に詳しくない私でも、あれがフィクションであることは百も承知。しかしそんな史実云々が気にならぬほど心に残りました。北方謙三さんが「三国志」で創り上げた呂布と並ぶ至高の虚像が。強さの裏に寂しさを隠す哀しき男の実像が。
土方歳三の「哀しき実像」にも触れてみたい。いつか第三弾として芹沢鴨の生涯を描いた本を出してほしいです。