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「幅を広げる」or「新選組」

7月31日で閉店とのこと。

行ったことはありません。でも「ちくさ正文館書店」のお名前は名古屋出身の同僚から聞いていました。

↑のサイトで「新刊案内」の「文学評論(国内)」をチェックしてみました。出版社の名前を見るだけでお店の姿勢が伝わってきます。夏葉社、作品社、書肆侃侃房、亜紀書房、ボーダーインク……

1961年の創業から続いてきたということは、お店の選書を支持し、買いに来てくれるお客さんが途切れなかった事実を意味します。書店員が好きな本を並べるだけでは商売として成り立ちません。

紹介させていただいた記事によると、古田一晴店長は大学生だった1974年にアルバイトで入り、ずっと勤務してきたそうです。納得しました。現場の末端からの叩き上げ。なおかつ同じ店舗で長年働き続けたことで、お客さんの求める本の短期的傾向や揺るがぬ普遍的嗜好を感じ取るセンサーが磨かれたのでしょう。

大手書店の正社員には異動があります。契約社員が近隣店舗へ移るケースも見られます。それはそれで仕事の幅を広げてくれるはず。かくいう私も(必ずしも望んだ結果ではないけど)いくつかの本屋を渡り歩きました。各々のやり方や考え方に触れ、様々なジャンルを任される過程で得られたものは少なくありません。

しかし一方で、ひとつの店にずっと留まる社員がひとりかふたりはいてもいいのでは、と感じます。そうすれば、たとえば新しく来た店長とベテランの非正規社員で教えることが違っていてアルバイトが戸惑うなんて事態が少なくなります。経験の浅い従業員に選書に関する有効なアドバイスもできる。

同じ棚を長期間担当することにも意味があります。ひとつの技を徹底的に鍛え、絶対的な武器へ昇華させた新選組みたいな書店員がいれば、お客さんは問い合わせでより有意義な情報を得られるはず。

こういう本屋にもっと足を運びたいです。

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