「○○○○」で働いてみたい
「リアル書店は『偶然の出合い』以外にネット書店に勝る利点を見出せていない」
この指摘は重要です。いや率直に言います。書店員のひとりとして焦りを覚えました。気づかれてしまったかと。
「思考停止は良くない」「危機感を持ってアップデートしないと時代に取り残される」みたいな記事をnoteに書いています。にもかかわらず、私自身が「リアル書店は衝動買いを楽しみ、新しい自分を見つけられる空間」という見解のもっともらしさと耳触りの良さに安住していました。
今村翔吾さんは、大阪府箕面市で町の本屋を経営しています。だからこその切実で赤裸々な分析。刺さりました。
たしかにリアル書店と同じく自由に棚を見て回り、衝動買いを楽しめるネット書店は近い将来に実現しそう。しないわけがない。その時になって焦っても遅過ぎます。
ただ今村さんの言う「地域の人との繋がり」という解決策は、私の職場では正直難しい。顔見知りの常連さんはいます。でも本をオススメするほどの関係性には至っていません。特に週末や祝日はかなり混むので様々なお問い合わせに対応し、レジをミスなくこなすことで精一杯。
本当はひとりひとりのお客さんをもっと大事にしたい。たとえば選んでくれた本を分析して「次はこういうのを読みたいかな」と考えて発注するとか。人手不足のうえに大量の荷物が連日入ってくる都会の大型書店では、そんな繊細な仕事はできません。売れ筋をドバっと追加して置けないものはストック。売れなかったらドバっと返品。その繰り返し。
もちろんできることはあります。「こんな本もあるんですよ」の良書を担当する棚のあちこちに1冊ずつ差しています。時々売れているので、それで己を納得させてきました。
でも本音はやはり町の本屋で働いてみたい。数年前から考えていることです。
コンシェルジュ機能と地域性。お客さんとの繋がり。意識してみます。