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「職場が閉店した書店員」の心境

5フロアに約400坪。

小規模な「独立系」書店のオープンが続く一方で「何でもある系」の大型店が次々に閉店しています。

家や学校、職場からすぐ足を運べる範囲にこういうお店があると助かります。きっと多くの人たちから必要とされていたはず。

「ジュンク堂書店」の蔵書量に対する信頼はかなり高いです。特に池袋本店は、いまや最後の砦みたいな位置付け。行く度に「こんなマニアックなものも置いていてくれるのか」と頭が下がります。他のリアル書店はもちろん、アマゾンや楽天などのオンラインサイトですら在庫なしの本に出会えたことも一再ではありません。

働いてみようと思ったこともなくはない。でも募集要項を見て愕然としました。遅番のシフトが「14:30~22:30」で、さらに早番も勤務可能であることを求められている。「遅番翌日の早番マジしんどい」は書店員あるあるのひとつですが、これはさすがに。

前の職場では21:00の閉店後、レジ締めが終わってから翌日発売の雑誌を棚に出していました(雑誌が前日午後に入る店だった)。22:00までかかることもザラです。ただ基本的に遅番固定だから、まだどうにかなった。これより帰るのが30分遅くて次の日が早番だったら。。。

豊富で目の行き届いた選書は、そういう厳しい環境に日々耐えている従業員たちの奮闘の賜物。私の職場も人手不足で理不尽な状況が続いていますが「ジュンク堂書店・池袋本店」はもっと大変なはず。地下1階から9階までありますから。

ワンフロアの店でしか働いたことがないので、5フロアの大分店の過酷さも想像できません。

かつて閉店を経験した書店員として言わせてもらうと、職を失うとか寂しいとかの前に「ああ、やっと解放された」みたいな心境に至ったことを否定できない。大分店の皆さまには心の底から「おつかれさまでした」と伝えたいです。

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