「業界改革」と「なりたい書店員像」
蔦屋書店を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブと紀伊國屋書店、そして大手取次の日本出版販売が新会社を設立し、業界改革に向けて動き出すようです。
AIを活用して効率的な仕入れを実現し、売り逃しを避けると共に返品率を下げる。さらに本屋の粗利率を30%に上げる取引を増やし、持続性の高い労働環境を整える。
↓で提言してきたことが実現しそう。ジュンク堂や三省堂、八重洲ブックセンターなどもぜひ参加を検討してほしいです。
では改めて現状はどうなのか。
まず注文していない本が大量に入る。バックヤードまでパンパン。あまり売れないけど大人の事情で返せない。棚卸(毎年7月~8月末ぐらい)が近づくと今度は返品指令が出る。棚も下のストックもスカスカ。
不毛とはこのことです。
ベストセラー作家の新刊や話題書の発注、そして売れ筋の補充に関してはAIに数を決めてもらう方がいい。しかし仕入れを悉く本部やAIの決定に委ねたら意外性が出ない。さらに数字からは見えにくいけど、日々同じ店で働く担当者だから気づけることもあります。
たとえば私の受け持つ棚だと、禅の本が定期的に売れます。だからといってドカドカ置いてもダメ。選書を通じて「この本の次はこちらをいかがですか?」というささやかな提案を伝えるわけです。
まず入門書として↓を積む。
次に↓を棚に差す。どちらかが売れた数日後にもう片方も売れることが多いです。
さらにラスボスみたいな感じで↓を。
「読書のすすめ」の選書がヒントになりました。ありがとうございます。
色の異なる他店の優れた目利きに触れてアイデアを掴み、アレンジして職場の棚へ落とし込む。毎回上手くいくわけではありませんが、まずまずの成果を挙げています。
本が好きで本をたくさん読み、様々な書店を訪れて本を買い、いただいた知恵を商売に活かす。業界がどう変わろうとそんな書店員であり続けます。