「何でもある」から「出会いやすさ」へ
今月1日に三省堂書店・神保町本店の仮店舗がオープンしました。
イチ書店員としてやっぱり気になります。さっそく行ってみました。平日の午後だったせいか、賑わってはいたけど「レジ前に長蛇の列」みたいな状況ではありませんでした。
フロアは6階まで。規模はだいぶ縮小していて、率直に言うと「ここに来れば何でもある」という従来のスペシャル感は薄れていました。諸々の事情を踏まえ、仮店舗の間は「広く、浅く」の「町の本屋さん」へ回帰するのでしょうか。
残念な気持ちがないわけではありません。でも「運命の一冊に出会いやすい空間」になったとも解釈できます。あまりにも広くて在庫が膨大だと、目的買いにはありがたい反面、どうしても棚の見方が斜め読みになりますから。
私がよく紹介する「読書のすすめ」や「新栄堂書店」がそうであるように、スペースが限られていると置かれたひとつひとつが目に留まりやすい。じっくり歩き回り、知的好奇心と場の雰囲気を噛み締める喜びも得られます。
幸いなことに神保町には「東京堂書店」という「何でもある」系のクールな新刊書店があります。特定ジャンルを深く掘り下げる「書泉グランデ」も健在です。古書店も含めて併用し、出会いや学びのチャンスを増やしていければ。
触れておきたいことがもうひとつ。レジは1階のみ。有人が2、セルフが3でした。
セルフレジを導入している書店は少なくありません。でもまさか有人との比率が逆転しているとは。
私の職場にもセルフレジは置かれています。でも有人の方が台数・稼働率共にだいぶ上なのが現状です。「本の街の総本山」たる三省堂書店・神保町本店がこのスタイルを打ち出すのは、業界全体へ向けたひとつのメッセージかもしれません。
いろいろ考えるヒントをいただきました。ありがとうございます。これまで通り定期的に買いに行きます!!