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「中邑真輔の教え」&「不自由の海で自由を掴む」
「プロレスっていう不思議な世界は、いろんなところに自由が詰まってるんですよ。自分のなりたい自分にもなれる。だけど、今すぐじゃない。いつか。そこに必要なものがたくさんある」
SHINSUKE NAKAMURA選手のコメントです。
2002年に新日本プロレスでデビューし、2016年からは最高峰のWWEで輝きを放つ中邑真輔。変化に満ちた半生をファンとして見続けている身からすると、発する言葉に宿る説得力と重みが半端ない。
たとえば彼はマイケル・ジャクソンやフレディー・マーキュリーが大好き。ゆえに両者の動き及びヴィジュアルを自身に合った形へ変換し、プロレスに落とし込みました。最初は嗤われたり馬鹿にされたりしていましたが、試行錯誤と微調整を繰り返し、肝心要である試合のクオリティーを上げていった結果、いまや世界中から称賛されています。
もうひとつ彼のレスリングを語るうえで欠かせないのは、各種の格闘技を経験し、心身の激痛と引き換えに身に着けた真の強さ。それをエンターテインメントにおける一瞬のナイフとして使いこなす腕を秘めているからこそ、ここまでの地位を築けたと思っています。
おそらく中邑選手の言わんとすることは、スティーブ・ジョブズの「コネクティング・ザ・ドッツ」に近い。目の前の現実に全力を尽くす。やがてそれらが繋がり、その人だけの星座を形作る。すぐには難しい。でもいつか。
プロレス界に限らず、人生そのものにも我々が考える以上の自由が詰まっているのかもしれない。しかし活用するには時間がかかる。武器をかき集め、磨くことを通じて力を付けていく必要がある。その過程で不自由に耐えること、不自由の中で自由を拾い集める感覚が求められてくる。
なりたい自分になる。書店員として物書きとして。
不自由の海でもがくことを通じて自由を掴む。そんな旅を続けていきます。中邑選手、ありがとうございました。
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