「明確な違い」と「原点回帰」
休みの日に書店へ行きます。
チェーン展開している大型店へ足を運ぶと、同じような本が同じような場所で積まれています。棚差しまでチェックすれば「おっ」という発見もありますが、基本的にはさほど違いを感じない。
置いている本が一緒なら、売り切れている本も同じ。新潮文庫の「大江健三郎コーナー」はどこの店でも穴が開いていました。
よくレジで他の書店のポイントカードを出す方がいらっしゃいます。気持ちはわからなくもない。少なくないお客さんにとってそこは「大きな本屋」でしかなく、紀伊國屋か丸善かくまざわかは考慮の外。明確な色の差がないからです。
この点を突き詰めるうえで、清宮選手とジェイク選手のタイトル戦がヒントになりました。
彼らの闘いは、業界最大手である新日本プロレスとは明らかにテンポと趣きが異なりました。馬場さんと猪木さんが健在だった頃の全日本と新日本のように。
ねちっこいグラウンドの主導権争い、執拗なヘッドロック、8回に渡る押さえ込み。
さらに決まり手が串刺し式のフロント・ハイキック。WWEでサミ・ゼインがヘルヴァ・キックとしてフィニッシャーにしていますが、日本ではあまり見ない光景です。「え、これで終わるの?」と感じたファンもいたでしょう。
しかし192センチ110キロのジェイク選手が全力で走って顔を蹴ったら、相手はKOされて当たり前。繋ぎ技として簡単に消費される方がおかしいのです。今回の試合から「ファンのプロレスを見る目を変えていこう」「様々なスタイルがあっていいけど、本来はこういうものなんですよ」というメッセージを受け取りました。
すでに売れている本や話題になっている本を置くのも大事。でもお店の主導で仕掛け、あまり知られていない面白い一冊を紹介して是非を問う。それも書店本来のあり方のはず。
原点回帰。意識してやっていきます。