比呂暇太郎(5)広島の武家茶道「上田宗箇流」とモーニングセット
モーニングセット
元気しとった?
わしじゃーや
比呂暇太郎 じゃあや
お久しぶりじゃのう!
こないだのう
ガロの「学生街の喫茶店」の話をしたじゃろうが
昔 千田町やら皆実町やらは
広島の学生街じゃったってやつィね
ほいたらの
「あんたあ 鷹野橋商店街も学生街じゃったやろが!」
いうての
友達から言われてしもうてからの
ほうじゃったィや
鷹野橋(たかのはし)にはの
「ルーエぶらじる」いう喫茶店があるんじゃィや
日本で初めて「モーニングセット」を出したと言われる
有名な喫茶店じゃけえのう
ほいじゃが 日本で最初の「モーニングセット」を出したんは
広島じゃのうて
愛知県の一宮市じゃ いいや 豊橋市じゃあ 言うての
いろんな説があるけえね
愛知県や岐阜県ではの ピーナッツも出るし
あんこの挟んだトースト てんこ盛りのフルーツなんかも出て
ぶち豪華な「モーニングセット」なんじゃけえのう
一宮市はの 繊維業が盛んでからの
商売人のひとたちが 朝から喫茶店で
えらい商談しとったらしいで
それで喫茶店が コーヒー以外にも いろんなのつけて
「モーニングセット」を出すようになったんじゃと
そう言えば広島でも そがいな習慣があったィのう
わしがの 若い頃の
新天地やら 流川やらで
えらい営業しよったらの
「よう 来ちゃったのう ほなら ちょィ行こーか!」いうて
店の社長さんに誘われての
よう喫茶店へ 行きよったィね
そんでの タバコ吸うてから ようしゃべっとったィね
「来ちゃった」
ああ それから 広島弁で「来ちゃった」言うんは
「have + 過去分詞」の「現在完了」じゃあないんで
それじゃったら「(またコイツが)来てしまった……」
いう意味になるじゃろうが
そうじゃのうて 広島ではの
「来ちゃった」は 敬語なんよ
共通語で言うたら「いらっしゃる」言うことじゃあや
山口弁で言うところの「おいでませ」と同じよの
今のう これ見とるひとには わかるまあが
リビングでの うちの孫が
テレビの子供番組 観とるんじゃけどの
「おいで おいで おいで おいで パンダ!!」
って 歌うとるんじゃ
あの歌を 山口弁で歌うたら 大変じゃの
「おいでませ おいでませ おいでませ おいでませ パンダ!!」
2歳の子供じゃったら とてもじゃなーが 呂律が回らんで
広島弁なら どねえなるんかいのう?
「来んちゃい 来んちゃい 来んちゃい 来んちゃい パンダ!!」
ちいたあ 可愛ゆうなったような気もするのう
上田宗箇流と 鷹野橋と 和菓子
はー カバチたれとらんで 話しを戻すで
えっ? どけえ戻るんかって?
鷹野橋商店街ィや!
この「鷹野橋」言うんは
地図に載っとる正式な町名じゃあ無いんで
あのへんらーは 正式には「大手町」じゃあや
じゃあなんで「鷹野橋」言うんかいうとの
広島藩の家老で「上田主水(もんど)」というひとがおったんじゃ
「必〇!シリーズ」の「主水」じゃないんで
「上田主水」は 武勇の誉れの高い武将でからの
「上田宗箇(そうこ)」とも称する「宗箇流」の茶人なんでェ
「へうげもん」で有名な「古田織部」の弟子じゃったひとでの
浅野家に召し抱えられて
広島に「来ちゃった」んよ
広島の茶道は この「宗箇流」という「武家茶道」なんよ
「名勝 縮景園(しゅっけいえん)」でのお茶会とかは
大概これなんじゃあや
「上田宗箇流」の「和風堂」というお屋敷が 西区の古江にあるんで
その家老である上田主水の お屋敷の
角のところにの
鷹狩の野原 つまり「鷹野」に通じる「土橋」があっての
そっから「鷹野橋」いう地名ができたんじゃ
広島電鉄の停留所の名前にもなっとるし、商店街の名前もそうなったんじゃ
じゃけえ 広島は茶道が盛んな城下町じゃったんじゃの
お茶も珈琲も みんな よう飲むんじゃィや
日本全国 だいたい城下町は茶道が盛んなんで
茶道が盛んなら 当然「お茶菓子」も要るじゃろうが
じゃけえ 和菓子屋さんも ようけあるんじゃの
広島市内にある 大手の和菓子屋さんが
創業した年を 調べてみたらの
大正8年 ~ 昭和7年ころの 創業の老舗が
4つもあったんじゃ
やっぱり 戦前から ようけあったんじゃの!
そんな話しをしよったら
なんか はら減って来たけえ
「たちまち」 お茶でも淹れてから
もみじ饅頭でも食おうかの!
あっ たちまち 言うとくけどの
広島弁で「たちまち」言うたら
「とりあえず」言う 意味じゃけえの!
尚、表紙の写真は、もこみ|note さんのものをお借りしました。誠に有難うございました。