バルドー姉さん

7000円だけ持って家出し、戦火を7年潜り抜け帰国し、ビジネスを立ち上げ1000億円を…

バルドー姉さん

7000円だけ持って家出し、戦火を7年潜り抜け帰国し、ビジネスを立ち上げ1000億円を稼いだ40歳違う会社社長と結婚。 波瀾万丈の人生から得た知恵が満載の小説書いてます 今なら作家デビューキャンペーンで お値打ち価格で読んでいただけます

記事一覧

おもいつき     

この5年間、いぼ痔を患い、この半年は座る事さえ儘ならぬ状態だ。 私は寺の坊主である。 職業柄、正直言ってほとほと困っている。 医者に言われた通り、肛門に塗りこむ2種…

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蚊と蠅の恋愛 後編

空き缶の僅かな溜まり水や、日照りが2日も続けば多少の雨水なんかカラカラに干上がってしまいそうな場所に、往々にして蚊は卵を間違って生み落とす。 例えば、竹の切り口…

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蚊と蠅の恋愛 前編

雌(めす)の蚊のほとんどは哺乳類や鳥類の血を、交尾を終えたら産卵の為に栄養補給しなければならない。 メスの成虫だと、約3、4週間と言われる寿命の間に平均4回か5回…

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3つの優しい嘘  

友人とランチに出かける。 ソワソワ、ゾクゾク、ワクワクする。 何故なら、そのランチタイムで、私は3つの嘘をつけるからだ。 3つより多くの嘘はつかない。  この数字…

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最高の結婚スピーチ  

【概要】  バルドー姉さんの実話に基づいたエッセイです。 余りにも面白いネタを、我が両親から頂いたので腕まくりして書いてみました。  サプライズ! こんな生々しい…

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小麦色の手   

【概要】  誰もが羨むほどの幸せを手に入れてるにも関わらず、その幸せが本物か否か?  何故か? 分からない。 惑う女を描いてみました。 陽の当たらない女。  暗渠を好…

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亀の子ちゃん   

一時期、友人2人から、私は亀の子ちゃんと呼ばれていた。 その友人達とは、会員制のホテルのスパに誘いあって行く間柄だ。 つまり、裸の付き合いと言う事になる。  30…

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って、言うか?  

我が家に、蛇が来た。 縁起を担ぐ人にとったら、燕が家の庇に巣を作るくらい吉報らしい。 蛇は、財  やみしろともいわれる。 天井を這う音が、毎週一回、同じ時刻に、同じ…

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夏の夕立 

私は、真夏の夕立が好きだ。 3Zに象(かたど)った稲びかり、雷鳴を伴う激しい夕立が、大好きだ。  蝉達は一斉に鳴き止み、山は、彼らの沈黙を静観する。 秋祭りに備え、和…

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夏のある日    

軽井沢を目指し、ボーイフレンドとドライブ。 2人は、互いを激しく求め合っていた。 山間の見知らぬ道を無言で走りながら、悪戯を仕掛ける私の人差し指を掴み、焦ったい顔…

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おもいつき     

おもいつき     

この5年間、いぼ痔を患い、この半年は座る事さえ儘ならぬ状態だ。
私は寺の坊主である。
職業柄、正直言ってほとほと困っている。
医者に言われた通り、肛門に塗りこむ2種類の軟膏を朝夕付けてはいる。
痛み止めの内服を一錠、食後30分したら胃に流し込む。
そして、気合いを入れて檀家の法要に出掛ける。

用意されている座布団に座り、腰と肛門の痛みと格闘しながら30分のお経を唱える。

 いぼ痔を発症する直前

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蚊と蠅の恋愛 後編

蚊と蠅の恋愛 後編

空き缶の僅かな溜まり水や、日照りが2日も続けば多少の雨水なんかカラカラに干上がってしまいそうな場所に、往々にして蚊は卵を間違って生み落とす。
例えば、竹の切り口に止むなく卵を産んだり、まさか植物が水を吸い上げるなんて知りもしないで、植木鉢の受け皿に大切な卵を産み付け、敢えなく150個相当の卵が干からびてしまうと言う悲惨な出来事が後を経たない。

 従兄弟の友人で、雀とおしゃべりが出来るスピーチー蚊

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蚊と蠅の恋愛 前編

蚊と蠅の恋愛 前編

雌(めす)の蚊のほとんどは哺乳類や鳥類の血を、交尾を終えたら産卵の為に栄養補給しなければならない。
メスの成虫だと、約3、4週間と言われる寿命の間に平均4回か5回程、一回につき、おおよそ1mg吸血する。
産卵期に血を吸わなければ、健康な蚊の赤ちゃんを産む事が出来ないのだ。

 ここ神戸は岡本にある閑静な住宅地に樹齢100年を超える立派な楠が聳え立っていた。
その大木に抱かれるように鎮座するお地蔵様

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3つの優しい嘘  

3つの優しい嘘  

友人とランチに出かける。
ソワソワ、ゾクゾク、ワクワクする。
何故なら、そのランチタイムで、私は3つの嘘をつけるからだ。

3つより多くの嘘はつかない。

 この数字こそ幸せと不幸せの境目、人間関係に最も必要な数字なのだ。

4つ、5つと、嘘をつく事は簡単だ。

 しかし、嘘に纏わりつく罪悪感は3を超えた時点で重力を持ち始める。
4つ目の嘘をついた途端、何故か?
得体の知れないヤバい生き物が、蠢(

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最高の結婚スピーチ  

【概要】 
バルドー姉さんの実話に基づいたエッセイです。 余りにも面白いネタを、我が両親から頂いたので腕まくりして書いてみました。 
サプライズ!
こんな生々しい結婚スピーチ、世界中探しても多分無いかもー?!
バック転3回覚悟してね!

享年95歳、主人はクシャミで息を引き取った。
大往生だった。
自宅にある8畳間の寝室で1週間だけ寝たきりになったが脳は極めてハッキリしていた。
床に就いても私の将

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小麦色の手   

小麦色の手   

【概要】 
誰もが羨むほどの幸せを手に入れてるにも関わらず、その幸せが本物か否か? 
何故か?
分からない。
惑う女を描いてみました。
陽の当たらない女。 
暗渠を好む女。
そう、絵本の中の不幸な主人公にいつの間にか憧れて陶酔してしまっている様な美しい女性。
あなたの近くにもそんな女の人いませんか?
えっ、もしかして?
貴女も?

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亀の子ちゃん   

亀の子ちゃん   

一時期、友人2人から、私は亀の子ちゃんと呼ばれていた。
その友人達とは、会員制のホテルのスパに誘いあって行く間柄だ。
つまり、裸の付き合いと言う事になる。

 30歳くらいだった頃からの気の置けないママ友だ。
1人はスレンダーで肌は浅黒く、キュートでお洒落なA子。
爪のケアは無論、アンダーヘアのお手入れにも余念がない。
V字型の永久脱毛を寸分の狂いなく見事に施していた。
最初見た時、その斬新なデザ

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って、言うか?  

って、言うか?  

我が家に、蛇が来た。
縁起を担ぐ人にとったら、燕が家の庇に巣を作るくらい吉報らしい。
蛇は、財 
やみしろともいわれる。
天井を這う音が、毎週一回、同じ時刻に、同じ場所から聞こえてくる。

 初夏、縁側の庇に、赤色の金魚が二匹だけ、華麗な尾鰭をたなびかせているシンプルな模様の入った白を基調とした伊万里焼の風鈴を吊るした。

 風がやや強めに吹く時、風鈴も、天井裏の蛇同様、何かの原理に基づいて、同じ

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夏の夕立 

夏の夕立 

私は、真夏の夕立が好きだ。
3Zに象(かたど)った稲びかり、雷鳴を伴う激しい夕立が、大好きだ。

 蝉達は一斉に鳴き止み、山は、彼らの沈黙を静観する。
秋祭りに備え、和太鼓の練習に精を出す若者達の飛び散る汗をバチが弾けさせ、その気高い音が体育館に高らかに響き渡る。
半端ない熱量を放出する大太鼓の音さえ、誰の耳にも届かなくさせてしまう呪文塗れの "魔法の雨"

 街の喧騒も、工場の軋む機械音も、喧嘩

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夏のある日    

夏のある日    

軽井沢を目指し、ボーイフレンドとドライブ。
2人は、互いを激しく求め合っていた。
山間の見知らぬ道を無言で走りながら、悪戯を仕掛ける私の人差し指を掴み、焦ったい顔を向け狂おしく舐めた。
山道の路肩を見つけた彼は、その場所に車を止めた。

 私の手首を素早く掴み、山の中へと連れて行く。
彼の歩幅は私より長い。
引っ張られる形で足早について行った。
枯葉や雑草を踏みつけながら、2人だけで旅立つプラット

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