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ヴェルデ@歴史・美術ライター
2024年1月6日 21:58
浮世絵で美人画、といえば誰が思い浮かぶか?この質問に対し、多くの人は歌麿の名前をあげるだろう。バストショットで捉えられた女性たちの様々な仕草や表情は、まさに彼の観察眼の賜物、とも言えようか。歌麿が数多くの画家の中でも抜きん出た存在となっているのは、このバストショット、つまり「大首絵」を取り入れ、美人画の新たな境地を切り開いた「パイオニア」としての功績もあるだろう。そんな歌麿と同時期に活躍し
2022年8月31日 20:45
「甘かった……」 東京芸術大学美術館の地下二階、若冲の<芍薬群蝶図>の前で、私は苦い思いを噛みしめずにいられなかった。若冲と言えば、鶏。そのイメージは、私の中に強く根付いていた。しかし、『日本美術を紐解く 皇室の至宝』展の展示室に飾られていた数点の中で、まず私の目に入り、そして圧倒したのは、この<芍薬群蝶図>だった。 若冲の作品の実物を見るのは、今回が初めてではない。 が、記憶とは
2022年5月17日 20:46
長谷川等伯について書きたいと思い、メモを書き出してみたら、そのライバル狩野永徳について、ふと思い付くことが出てきた。狩野永徳は、ご存知、絵師集団・狩野派の四代目頭領にして、信長・秀吉に仕えた絵師。「天下一の絵師」と言っても過言ではない。何が、彼をそうなさしめたのか。もちろん本人の才能もあった。幼い頃から、次代を担う「ホープ」として期待を寄せられ、最高の教育のもとに、才を磨いた。狩野家
2021年10月1日 14:11
今日は、SOMPO美術館の川瀬巴水展の内覧会へ。「新版画」については、先日、吉田博を知ったばかりであまり詳しくなかったが、それだけに余計内容の濃さに圧倒された。新版画とは、一言で言えば、江戸時代の浮世絵技術のリバイバル。江戸時代と同じく、版元を中心に、絵師、彫師、摺師の分業で制作する。しかし、伝統をただ守るだけではない。絵師の方で洋画の技法を取り入れたり、摺る際には、バレンの跡をあえて残す
2021年9月2日 11:10
執筆協力させていただいた、『教養として知っておきたい名画BEST100』(永岡書店)の献本が到着!発売は、9月10日から。 私にとっては初めての紙の本。何もかも、初めて尽くしと言って良い。良い仕事をすれば、それが新しい仕事を連れてきてくれる。どうか、今回の仕事が次の機会につながりますように
2021年4月24日 21:41
緊急事態宣言に伴い、美術館や博物館の多くが休館になった。今日から開催されるはずの、「北斎と広重」展も、明日からは見られない。何でこんなことに……。(ちなみに私のいる図書館は、期間中のイベントは全て中止だが、他は通常通り……正直イラッと来るが、その苛立ちを書く方に向けていきたい)北斎の「富嶽三十六景」を中心に据えながらも、同時代に生きた後輩絵師・広重の視点から展覧会の流れを組み立てて