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週刊ヴェルデ

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短めのエッセイを、週一回を目標に更新。
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#日記

徒然日記~ターニングポイント

昨日の夕方、転職エージェントと電話面談したのだが、その中で「ライター業」についてどうするか聞かれた。
「副業」を認めてくれる会社は増えているが、Wワークで疲弊して、どちらの仕事もできなくなる、という本末転倒の事態にならないか。
それが問題だと。

私にとって、ライターの仕事、実績は1から自分の手で積み上げたもの。
ワンコインライターに始まり、少しずつ自分の書ける範囲も増やしてきた。
最初はなじみ深

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方眼ノート中毒

方眼ノート中毒

私はマイノートとして、無印の方眼ノートを使っている。
記事のアイディア出しや下書き、日記など、とにかく頭に浮かんだことは何でもここに放り込む。
このマイノートも、最初は手近にあった、使いかけの横罫ノートを利用していたが、「方眼ノートが使いやすい」と雑誌か何かで読んだのをきっかけに、切り替えた。
以来、無印の方眼ノート一筋だ。
天から地まで、びっしりと方眼で埋まっているのが良い。上下に余白があると、

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徒然日記~女三の宮のこと

最近、原稿を書く際のウォーミングアップも兼ねて、円地源氏の『若菜上』を書き写している。

毎朝、最低でも10分間の時間を取って、写経を進めているが、ちょうど新ヒロイン女三の宮の婿探しと、彼女の裳着(成人式)が行われたところまで来たところだ。
女三の宮は14歳。
朱雀院の3女で、母は今は亡き藤壺の女御(源氏の永遠の憧れ・藤壺女院の異母妹)。女御は院から寵愛されてはいたものの、弘徽殿の大后方の推す朧月

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徒然日記~松園を追い掛けて

なぜ、松園は謡曲(能楽)の中に自分の突破口を見いだしたのか。その答えを求めて、1日悩み、仕事の後は、能楽に関する本を三冊ほどめくって、答えを探した。
......能楽は、「演劇」で、限られた表現の枠の中で、喜びや悲しみ、怒りなど様々な感情を表す。詰め込むのではなく、決まった枠組みの中だからこそ、余計なものはおのずと排除され、最低限必要なものーーー「本質」だけが抽出されて残る。
この日本文化全般に共

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徒然日記~TSUTAYAのこと

今日、出先で見かけたTSUTAYAが8月31日で閉店するとの告知を見た。
最近、どんどんレンタルのできるTSUTAYAの店舗が街から消えていく……。
何となく、ドラマや映画で何か良い物がないか、と店の中をぶらつくのは楽しみの一つだったのに。
新作コーナーを眺めながら、「お」と思う一枚を見つける。あるいは、沢山あるDVDの中から、古い名画と呼ばれる作品を発掘する。店員のおすすめに手を伸ばして見る。

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2026年大ゴッホ展!

2026年大ゴッホ展!

2026年、大ゴッホ展が上野に来る!
大が冠せられているだけあって、今までにないスケールのものになりそうだ。
福島でやるとは聞いていたが、東京に来てくれるか!
現時点での情報で、楽しみなのはあの〈夜のカフェテラス〉に会えること。

ゴッホ作品の中でも大好きな一枚で、初めての20枚シナリオにも登場させている。(ギリギリまで、〈星月夜〉と迷った)

その本物に会える!
昔のリベンジができる。
絶対に会

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過去の自分を超える

過去の自分を超える

4年前、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展に寄せて書いた、この記事が、私にとってはライターとしての出世作になった。

この記事が、その後の『名画BEST100』を含む紙媒体の案件を連れてきてくれた。
私も、この記事の執筆を通して、ゴッホ、それも理想に燃えていた時分のエネルギーに充ち溢れる彼と、真っ向から組み合い、戦った。
ゴッホに関する展覧会があると、ほぼ毎回書いているが、どうしても〈ひまわり〉の

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徒然日記~原田ひ香さん『ランチ酒』

最近、原田ひ香さんの『ランチ酒』シリーズを写経しているが、やはり彼女の短編には20枚シナリオの手法に通じるものがあるような気がする。
主人公・祥子の職業を「見守り屋」に設定し、職業も年齢も様々な人と出会い、数時間の間、間近に接し、彼らとの抱える問題や、これまでの時間の積み重ねを垣間見する。
それは時に主人公自身の抱える過去(妊娠したのをきっかけに結婚したものの、うまく行かず、最終的には娘を置いて離

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徒然日記

昨日、原稿を一本仕上げたことで、少し俯瞰して考える余裕ができた。
最近、とにかく案件をこなすことに執着しすぎていたような気がする。
文を書いていく途上、何かパーツを欠いたまま、無理やり機械を稼働しているような感覚もあった。
それが何なのか。今日一日考えてみた結果、「ストーリー性では」と思い至った。
とにかく、正確な情報を、読める形に並べ、整えなければ、と思いつつも、気がつけば情報を詰め込みすぎたり

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徒然日記~これまでに執筆した本と、これからの目標

用事があって出掛けた際に、アトレの中の書店に寄ってみたら、執筆協力した『名画best 100』が平積みされているのを発見。

私にとって、最初の紙の仕事だったこの本に関しては、もっと担当箇所を増やしたかった、など思うところもある。
が、最初に提示された時には、「宗教画、肖像画など、ジャンルごとのベスト10を10本分」だったのに対して、「ジャンルや時代に関係なく1位~100位にする」よう提案したのは

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考えるな、感じろ~私のモットー

テコンドーを始めてからしばらくは、型や技を覚えること、それを間違えずに出すことで頭がいっぱいだった。
「練習中はいくら間違えても良いから、頭でごちゃごちゃ考えるな」
とは師範にもよく指摘された。
が、こちらとしては「無理な話」だった。
とにかく、師範の手本を再現しようとするも、何か違う。それが頭の中に渦を巻いて、体を重くする。そのせいで、また動きがぎこちないものになる。
師範からすれば、一つの動作

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読書日記~湊かなえ『落日』

湊かなえ『落日』を読了。昨日今日の二日で読んでしまった。
湊かなえといえば、イヤミス。後味が悪い話はどちらかと言うと苦手なのだが、中毒性と言うのだろうか、時々手を伸ばしてしまう。
最後に読んだ彼女の本は、『ブロードキャスト』だったか。こちらは、「イヤミスの女王」という名前から想起されるにしては珍しい、青春小説だった。(一気読みした)

さてこの『落日』は、過去の事件を軸に据えた、新進の映画監督と売

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浮世絵展の切り口

北斎、広重、歌麿、写楽、国芳、春信… … 
浮世絵師のビッグネームといえば、こんなところだろうか。
浮世絵についての展覧会といえば、だいたい彼らの作品が集まる。
北斎の〈神奈川沖浪裏〉を、私はこれまで
いくつの展覧会で見てきただろう。

たが、絵師一~二人に焦点を当てたものにせよ、有名どころを集めた大規模なものにせよ、展覧会の主役となるのは、絵師であり、商品として完成され、江戸に流通していた彼らの

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徒然日記~生き続けるコンテンツ

創作物、そしてその作者の名が、同時代だけでなく、百年、二百年、と時を越えて残り続け、なおかつ人々から愛される、というのは奇跡に近い。
例えば、「歌川」と名のつく絵師といえば、広重や国芳の名が思い浮かぶだろう。
彼らの作品は、時間も国境も越えて愛され続け、その名は燦然と輝いている。
と言っても、彼らとて最初から順風満帆だったわけではあるまい。
特に広重は、下級とはいえ武家に生まれ、13歳で家長として

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