徒然日記~松園を追い掛けて
なぜ、松園は謡曲(能楽)の中に自分の突破口を見いだしたのか。その答えを求めて、1日悩み、仕事の後は、能楽に関する本を三冊ほどめくって、答えを探した。
......能楽は、「演劇」で、限られた表現の枠の中で、喜びや悲しみ、怒りなど様々な感情を表す。詰め込むのではなく、決まった枠組みの中だからこそ、余計なものはおのずと排除され、最低限必要なものーーー「本質」だけが抽出されて残る。
この日本文化全般に共通する「引き算」の手法を、松園は、謡曲に触れ、その世界を表現することを通して、改めて見つめ直したのかもしれない。
そう思うのは、穿ち過ぎだろうか?
私は、物語であれ絵であれ、何かが生まれる瞬間とそこに至るまでのプロセスに興味がある。情報を集め、可能な限り作者や、作品が生まれる瞬間に肉薄することが、私自身のスタイルだと自覚したのは割と最近の話だ。
それが私らしい、ということなのか。
迷いながらも、今は上村松園を書きたい、という火のような熱い衝動に、しばし身を任せるとしようか。
さて、記事はどんな全体になる?