【140文字小説】娘
その日、別れた妻が十歳になる娘を連れてきた。
会うのは二年ぶりだ。
娘の好きなケーキを駅前で買い
二人で誕生日を祝った。
甘さ控えめの上品なケーキを器用に切り分け、
大胆に頬張る娘。
感想を求めると
娘は小さな喉仏をこくりと弾ませ、
私の目をまっすぐ見据えながらこう答えた。
「罪と罰の味がする」
水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。