ピアノの指導 日本とウィーンとの違い①学校教育とメンタリティ
ピアノの指導に関しては、とても長い間教えて来ましたので色々なテーマでの話がありますが、先ずは日本と私が住んでいるウィーンをざっくり比べてみたいと思います。あくまで私個人の体験談からの私感です。
日本人は外国から来る文化に対して先ず「頭で理解」しようとする傾向にあります。音楽や言語についても同じで、言語の学習においては、会話よりも文法をしっかり学ぶことに重点が置かれます。
授業 試験 評価: 日本
日本の学校教育では、先生が一方的に話をし、生徒は受け身で聴いたり、ノートを取ったりすることが多いです。ペーパー試験による問答形式が中心で、考えたり調べたり、よりも暗記が重要視されます。
評価は正解か不正解(間違い)かのどちらかになります。その結果、日本人は「間違える」「人と違う」ということに敏感になる傾向があります。
欧米
一方、欧米では自己表現やコミュニケーションが日常的に行われており、何をするにしてもまずはコミュニケーションが始まります。
授業 試験 評価: ウィーン/オーストリア
義務教育では、定期的にレポート提出やクラスでの研究発表などがあります。試験はある場合もありますが、記憶して答える形式よりも、自分で考え、興味を持って調べ、そして自己表現することが重要視されます。
外国語の授業でも、例えば英語の本を読んで英語でレポートを提出することがあり、その中で文法や単語、表現の違いを添削されます。
授業でテーマに沿ってクラスで様々な意見を言い合い、議論することがよくあります。そのため「人と違うこと」は自分の個性であり、当たり前のことです。
表現する事
日常的に表現する事やコミュニケーションを持つ事が当たり前に過ごしている欧米人にとって、音楽の演奏表現もまた難しい事もなく思い思いストレートに表現します。
日本の音楽教育では、楽譜を正確に読み、指使いや指の練習に時間をかけ、熟慮して分析します。プロの演奏家になるには、これらの基礎的な学習が必須であり、また習得できる年齢に限りがあるため、子供の基礎学習は非常に重要です。
音楽を表現する際、日本人は感情をストレートに表現することができない傾向があります。これは、一般教育やメンタリティの影響が大きいだけでなく、勉強の仕方にも問題があるからです。
新しい曲をどのように始めるかが重要ですが、この内容については別の機会に書きたいと思います。
どちらが良いのかという問題ではなく、両方には長所と短所があります。偏った教育ではなく、目的を明確にし、良いバランスで指導することが重要であり、その際に指導者には全体を俯瞰して見る力、本質を見抜く能力、多様な経験が求められます。
私自身も、日々子供たちから多くのことを学んでいます。
日本でのボランティア演奏活動に使わせていただきます。 宜しくお願い致します。