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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】三叉神経痛・帯状疱疹と鍼灸

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

今回は、『三叉神経痛』と『帯状疱疹』をとりあげます。

この2つの疾患は、身体におこる『疼痛=痛み』を共通した症状としており、生活に支障をきたしてしまうほど、その痛みが深刻化するケースもあります。
帯状疱疹に関しては、最近では、ワクチン予防のテレビCMでも広報がされていることから、広く認知されている一方で、かかった後から長期にわたってその痛みが改善されずに、このまま一生その痛みと付き合っていくしかない、とあきらめている人もいるようです。

そこで、2つの疾患に関して、東洋医学的な原因と鍼灸でのアプローチについてみていくことにしましょう。

それでは、どうぞ最後までお付き合いをお願いいたします。

1.三叉神経痛とは

三叉神経痛の主な症状は、以下のとおりです。

・顔面におこる痛み
・ナイフで刺されたように鋭く、耐えがたい
・痛みは、稲妻のように発作的に繰り返される
・期間をおいて再発する

三叉神経痛は、どの年齢層の成人にも起こりえますが、通常は中高年層、男性よりも女性に多くみられます。

原因は、顔面にある、三叉神経(第5脳神経)の機能不全にあります。
三叉神経(第5脳神経)は、顔面の感覚情報を脳に伝えたり、咀嚼をする筋肉を制御する神経であり、異常な位置にある動脈が三叉神経を圧迫することで症状を引き起こすと考えられます。
また、外傷、中毒、膠原病、代謝異常などによって三叉神経の炎症が原因となることもあり、特に帯状疱疹(ヘルペス)ウイルス感染による三叉神経痛もよくみられるようです。

治療は、投薬を主として行われますが、時に、神経圧迫の原因を取り除くための外科的処置が必要とされることもあります。

2.帯状疱疹とは

帯状疱疹の症状は、その経過に伴って、皮膚の状態と痛みが変化します。

①体の片側の帯状の皮膚領域に、痛み・チクチク感・かゆみが起こる
②患部に周囲が赤くなった小さな水疱がかたまって発生する
③患部はどんな刺激にも敏感に反応し、激しく痛みを感じる
④通常、5日ほどすると水疱が渇き、かさぶた状態になる
⑤皮膚状態の回復後も慢性痛が継続する(帯状疱疹後神経痛)

帯状疱疹はどの年齢でも起こりますが、50歳以上でよくみられ、発生確率は加齢とともに上昇するといわれています。

帯状疱疹の原因は、水痘を引き起こす水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することで生じる、といわれています。
水痘(水ぼうそう)と帯状疱疹は、どちらも水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる病気です。
初回感染では、水痘になりますが、その後、体内に潜んでいたウイルスが再活性化すると帯状疱疹になり、これは通常、初回感染後何年も経過した後に生じます。
ウイルスが再活性化する原因ははっきりと分からないことが多いのですが、病気や薬によって免疫機能が低下したときに起こる場合があります。

治療は、抗ウイルス薬の投与を主として行われますが、時に、痛みの緩和のために鎮痛剤が必要となることもあります。

3.東洋医学における痛みの原則

東洋医学では、あらゆる痛みに関して二大法則があり、どちらかの法則により痛みがおこると考えられます。

3-1.不通即痛

通ぜざれば則ち痛む。
さまざまな要因で身体に循環障害がおこり、気・血・津液(東洋医学における身体の構成要素)がスムーズに巡らなくなることで痛みが発生する。

3-2.不栄即痛

栄えざれば則ち痛む。
気・血・津液が不足することで、臓腑や経絡、組織、器官が栄養不足の状態となり、痛みが発生する。

では、次に、この二大法則がどのようにして発生して、今回のテーマである、『三叉神経痛』や『帯状疱疹』をひきおこすのか、タイプ別に分けてみていきましょう。

あなたはどのタイプにあてはまりそうでしょうか?

4.東洋医学的にみる三叉神経痛の原因

東洋医学で、三叉神経痛にあたる病名には『面痛』、『偏頭痛』、『偏頭風』といったものがあり、以下のような原因によりおこり、と考えられています。

<体外、自然界からの影響によるもの 外感病>

4-1.風寒凝絡型

風寒邪(冷えや寒さ)が身体に入り込み、気血の鬱滞(体内循環の停滞)がが原因となって、『不通則痛』により痛みを発症します。
このタイプの場合、寒気やゾクゾクしたり、首筋がこったりする感じがした後に発症をして、発作性激痛が発症することが多く、寒冷刺激により増悪し、温めると軽減する、といった特徴があります。

4-2.風熱傷絡型

風熱邪(風邪と熱邪が合わさった病邪、夏の暑さや暖房など)が口や鼻を通じて身体に入り込み、気血の鬱滞(体内循環の停滞)が原因となって、『不通則痛』により痛みを発症します。
このタイプの場合、熱がなくても熱っぽく感じ、咽にチリチリとした痛みを感じやすくなった後に発症をして、焼けるような顔面痛を特徴として、冷やすと軽減する、といった特徴があります。

4-3.風痰阻絡型(外感+内傷型)

胃腸の弱りにより消化吸収力が低下して、体内に湿痰(老廃物のようなもの)が溜まりやすくなった状態に、先にご紹介をした風邪(いわゆる風邪)が入り込むことで、『不通則痛』により痛みを発症します。
このタイプの場合、発作性の痛みがして、しびれや張ったような感じ、頭重感・めまいを伴う、といった特徴があります。

<体内環境が原因となるもの 内傷病>

4-4.胃火上攻型

辛いもの・脂っこいもの、アルコールなどをとりすぎたことにより、胃に余分な熱が発生して、その熱が陽明経絡(ちょうど身体の中央あたりを顔面部から足先まで流れる気血の通り道)にそって顔面部まで上昇して、『不通則痛』により痛みを発症します。
このタイプの場合、普段から異常なほどの食欲があり、便秘、口内粘膜、唇、歯肉に焼けるような痛みがして、患部に熱感を伴う、といった特徴があります。

4-5.肝胆欝熱型

過度の憂鬱、考えすぎ、精神的ストレス、情緒変化などにより、体内循環が停滞して、過緊張な状態が続くと体内に邪熱(過剰な熱)が生まれます。
この邪熱が顔面部まで上昇して、『不通則痛』により痛みを発症します。
このタイプの場合、発作性の焼けるような痛み、情緒変化で増悪、いらいらしやすい、煩躁(ざわざわそわそわして落ち着かない)、といった特徴があります。

4-6.陰虚陽亢型

体内の水分や血液などが不足して身体を潤う作用が低下することで、体内に邪熱(過剰な熱)が生まれやすくなり、その熱が顔面に上昇して、『不通則痛』により痛みを発症します。
東洋医学の用語では、肝と腎の機能低下により体内の水分や血液などが不足した状態となることを『肝腎陰虚』、それによる邪熱の上昇を『肝陽上亢』といいます。
このタイプの場合、顔面に張痛、筋肉のチック、しびれ、いらいら、ほてり、のぼせ、顔面の潮熱、めまい、耳鳴り、煩悶、不眠、腰や下肢の脱力感、といった特徴があります。

4-7.気血両虚型

病が長引いて身体が弱ると、気血両虚(身体エネルギーや血が不足した状態)となり、顔面の経脈を影響できないことから、『不栄則痛』により痛みを発症します。
このタイプの場合、顔面の痛みが長引いており、悪化はしないがなかなか治らない、疲労で悪化、休息で軽減する、といった特徴があります。

4-8.瘀血阻絡型

血流の悪さにより血液に滞りがうまれた状態となり、血流の悪さにより、経脈の気血の運行をふせぎ、『不通則痛』により痛みを発症します。
東洋医学の用語では、血流の悪さと血液の滞りのことを『瘀血』といいます。
瘀血生成の原因は、気滞瘀血(身体の循環停滞)、気虚瘀血(エネルギー不足)、血虚瘀血(血の不足)、寒凝瘀血(冷えによるもの)など様々です。
このタイプの場合、刺すような痛み、痛みの発作が頻発して、治りにくい、固定性の痛み、押さえると悪化、夜になると悪化する、といった特徴があります。

5.東洋医学的にみる帯状疱疹の原因

東洋医学で、帯状疱疹にあたる病名には、『蛇串瘡』、『纏腰火丹』、『火帯瘡』、『蛇丹』、『蜘蛛瘡』、『蛇纏瘡』、『蛇纏虎』といったものがあり、以下のような原因によりおこり、と考えられています。

5-1.肝胆火盛型、肝胆欝火型

普段から、過度の憂鬱・考えすぎ・イライラなどの精神的ストレスをためやすいと、体内循環が停滞しやすくなり、結果、気血の巡りが悪くなります。
それが長期化すると、体内の余分な熱を身体の外に発散させずらくなり、その過剰な熱が体内に溜まり、肝胆の経絡にそって皮膚に停滞して『不通則痛』により、疱疹や痛みが出現します。
おもに、急性期にみられることが多く、疱疹の色は鮮やかな紅、壁面は硬い、灼熱痛、刺痛がある、といった特徴があります。
また、身体的な特徴としては、口苦、咽乾、目弦、顔面紅潮、目の充血、煩躁、イライラ・怒りっぽい、便秘、小便の色が濃い、といった症状を伴いやすいです。

5-2.脾胃湿熱型

本来、食べ物や飲み物は口から摂取されて消化管に入り、体内に栄養として取り込まれ、その過程で発生した老廃物(食べ物のカス)や余った水分は、汗・尿・便などによって体外に排出されます。
しかし、刺激の強い物、脂っこい食べ物、甘い物、生もの、アルコール、水分等を摂りすぎることにより、消化吸収するのに負担がかかり余分な熱が発生します。
また、その過剰な熱は、湿熱(消化の過程で生まれる老廃物や水分の余りとくっついた状態)を形成して、それが皮膚に停滞することで『不通則痛』により、疱疹や痛みが出現します。
疱疹の色は薄紅色、黄白色、水疱から浸出液が出て、びらん化膿することもある、痛みは比較的軽い、といった特徴があります。
また、身体的な特徴としては、食不振、腹部膨満感、軟便、疲労感、といった症状を伴いやすいです。

5-3.気滞血瘀型

高齢・慢性病・性生活の乱れ・過労などによって体力が低下すると、身体の様々な機能が低下しやすくなり、気虚、血虚、肝旺といったような、東洋医学的な病的状態がおこりやすくなります。
また、身体のバリア機能が十分に働かなくなることから、自然界からの影響を受けやすくなり、寒さ、冷え、熱さの影響により体内の気血津液の巡りが悪くなります。
これらの結果、身体の弱りからくる気血津液の停滞がおこり、『不栄則痛』⇒『不通則痛』により、疱疹が無くなったあとも痛みが長引くことになります。
このタイプは帯状疱疹後の神経痛にみられることが多く、痛みの種類は刺痛・アロディニアといた激しい痛みで、疱疹の色は赤黒色、血疱あるいは血痂および色素沈着がみられる、といった特徴があります。
また、身体的な特徴としては、イライラ、不安感、両脇の張った痛み、不眠、胸脇苦満、といった症状を伴いやすいです。

5-4.寒湿滞絡型

手足・腹部・腰などがもともと冷えやすい、こういった冷え性タイプの場合には、身体を温める機能の低下が原因となって、帯状疱疹後の神経痛を改善しずらくさせることがあります。
帯状疱疹になった患部は、発疹・水疱・ケロイドの状態となり、正常な皮膚の状態と比較すると、気血津液の巡りが悪く、それらが停滞している状態にあります。
身体の冷えは、体内の気血津液の巡りを悪くすることから、患部の気血神経の停滞をもより一層悪化させて、『不通則痛』により、疱疹が無くなったあとも痛みが長引くことになります。
このタイプの場合、神経痛が激しい、寒さによる増悪、といった特徴があり、普段から四肢が冷えやすく、寒がりである、といった症状を伴いやすいです。

6.鍼灸によるアプローチ

「三叉神経痛や帯状疱疹の治療が鍼灸により可能なのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これら神経痛や皮膚疾患の症状にも鍼灸によるアプローチは可能です。
その効果は、世界保健機関(WHO)も認めています。
参考リンク:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会

病院で一般的な治療を受けている方の中には、『繰り返し、何度も症状に悩まされている』、『服薬で一時的には良くなったが、だんだん効果を感じなくなってきた』、『服薬をしても症状が変わらず、他に治療法がなく悩んでいる』と考えていらっしゃる方も多いかもしれません。
また、あちらこちらの病院や民間療法を渡り歩き、現代医学的に様々な検査を行っても改善がなく、自分にあった治療法がみつからないために、症状を抱えたまま日々を生活している、という方も中にはいるかもしれません。

一方、鍼灸施術による三叉神経痛や帯状疱疹の治し方は、先にご紹介したような「症状を引き起こしている東洋医学的な根本の原因」をみつけだし、それを正すことによって、悩ましい症状を取り除くとともに、再発しない身体づくりをしていきます。

病院と鍼灸の併用について、病院での抗ウイルス剤等の服薬治療と鍼灸治療は併用することが可能です。
医師の指導どおりに服薬をしながら、鍼灸治療を行っていくことで、長引く症状の改善と再発防止に役立てることができます。
なお、発症をした後、できるだけ早めに鍼灸治療を開始したほうが、症状をより早く取り除くことが可能です。

7.まとめ

いかがでしたか?
今回は三叉神経痛や帯状疱疹について、症状ごとのタイプや原因、治療方法について解説をしました。
東洋医学、鍼灸においても、三叉神経痛や帯状疱疹に対する治療が可能なことはご理解いただけたでしょうか。
今回の記事が、三叉神経痛や帯状疱疹で悩んでいる方の助けとなれば幸いです。

これを機会に、鍼灸治療に興味をもった方は、ぜひ近くの鍼灸院に一度相談をしてみてくださいね。

今回はここまでとなります。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『痛みの中医診療学』、『中医皮膚科学』

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