【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】いちじくは女性にとってスーパーフード!?
鍼灸治療では、症状の改善に役立てる、日常的な養生の方法のひとつとして、食生活上で気を付けることをお話することがあります。
今回は、そんな食養生の中から、『いちじく(無花果)』をとりあげ、いちじくのヒミツ、いちじくパワーのすごさをご紹介していきます。
『5.いちじくレシピ』では、この秋、わたしが実際に作ってみてとっても美味しかった簡単いちじくレシピ【いちじくのリンゴジュース煮】をとりあげています。
では、最後までお楽しみください。
1.いちじくの由来
いちじく(無花果)は、クワ科の植物で、原産地はアラビア南部、日本には江戸時代に伝わったとされています。
いちじくは漢字では『無花果』と書きますが、なぜこのように表記されるのか知ってますか?
いちじくの名は、一日に一つずつ身が成熟すること(一熟)からつけられました。また、いちじくはクワ科で、その果実の中に花があり外から見えないため『無花果』と名付けられた、といわれています。
2.栄養学としての効能
いちじくは、ビタミンB1、B2、Cなどのビタミン類や鉄分、カルシウムをバランスよく含んでおり、フィシン、食物繊維、アントシアニンといった栄養素を含むことが、その特徴です。
フィシンは、いちじくの皮をむいた時に出る、白い乳液に含まれている成分で、タンパク質の消化を促進する作用があります。
いちじくに含まれる食物繊維は、クチンという水様性食物繊維で、整腸して便通を良くすることから、便秘の解消に役立ちます。
アントシアニンは、いちじくの果肉、皮の赤色の成分で、視力の向上、靭帯や腱の強化にも作用します。
また、植物性エストロゲンを多く含んでいるということでも、近年注目をあびています。
食物性エストロゲンは、有名なものとしては大豆イソフラボンがあげられます。
体内で、女性ホルモンであるエストロゲンと同じ様な働きをすることから植物性エストロゲンと呼ばれています。
ホルモンバランスによる乱れを整えて自律神経を安定させる働きがあることから、特に更年期障害で悩んでいる女性にはおすすめである、と言われています。
そのほかにも、血糖値を降下させる、血圧を下げる、抗がん作用、免疫力を高める効果が、いちじくにはあります。
3.東洋医学的な効能
東洋医学的には、いちじくは以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 平、潤、甘
【関連する臓腑経絡】 肺・胃・大腸経(肝)
①健脾益胃(けんぴえきい)
胃腸の調子を整え、胃腸を丈夫にします。
脾胃虚弱、食欲不振、消化不良、下痢、痔、脱肛、便秘改善、母乳不足、高血圧の改善に役立ちます。
母乳不足は、出産後、育児を始めたばかりの女性にとって悩みとなりがちです。食生活にいちじくを取り入れることで、胃腸の調子を整え、消化吸収をよくすることから、体内における栄養吸収力がアップして母乳が良く出るようになります。
②潤肺止咳(じゅんぱいしがい)
肺を潤し咳を沈めます。
咽頭痛、声のかすれ、喘息、空咳、慢性の咳の改善に役立ちます。
③解毒消腫(げどくしょうしゅ)
炎症を収めて炎症によるむくみを解消します。
慢性の下痢の改善に役立ちます。
また、解毒作用があることから、「いちじくには抗がん作用がある」と注目をあびたこともあります。
④瀉下(しゃげ)
腸を潤して便秘の改善に役立ちます。
※注意事項
内臓が冷えがちな人、糖尿病を患っている人は、いちじくの摂取は控えたほうが良いです。
4.いちじくの上手な選び方
スーパーで買ってきたいちじく、冷蔵庫に入れっぱなしで何日も保管していませんか?? いちじくの果実は甘くて鮮度が落ちやすく、完熟をしたら、二日以内に食べたほうが良いです。
熟した良い状態のいちじくの選びかたとしては、甘い香りがして、果実の頭部(丸い大きいほう)が少し割れて中がみえている状態のものを選ぶようにしましょう。
また、鮮度の良いいちじくは、表面の皮が潤い、ペタペタとした感触がします。
水道で軽く洗う時には、茎の部分をつまんで、流水をかけるようにします。
そうすることで、頭部の割れ目からいちじくの中に水分がはいるのをさけて、いちじくが水っぽくなるのを避けることができます。
鮮度の良いいちじくは、皮をむかずに食べることもできます。
赤い皮の部分にはアントシアニンが多く含まれています。アントシアニンはポリフェノールの一種です。美しい赤みを出す天然色でぶどうや赤しそなどにも含まれます。ポリフェノールは活性酸素を取り除き、酸化の働きを抑える抗酸化物質としても知られています。
ぜひ、おいしいいちじくを選ぶときの参考になさってください!
5.いちじくレシピ
いちじくを買ってきたけど、生のままでは食べきることができなくて困ってしまう人、案外多いようです。
そんな方へ、とっても簡単でおいしい、いちじくを使ったレシピをご紹介します。
【いちじくのリンゴジュース煮】
1.下ごしらえ
いちじくを綺麗に洗い、水分をよく拭き取っておきます。
イチジクの皮を剥き、軸の部分を包丁で切っておきます。
※皮は完全にむいてしまわなくても、ある程度は残しておいてもよいです。
2.煮る
鍋にいちじくを並べ、ひたひたになる程度のリンゴジュースを入れえて、キッチンペーパーで落し蓋をして、好みの硬さになるまで煮ます。
3.レモン汁を入れる
火を止め、レモン汁を数滴加えると変色を防ぐことができます。
そのまま粗熱をとり冷やして完成です。
冷蔵庫で冷やしてそのままデザートとして食べるほか、柔らくなったいちじくを食パンの上にジャムのようにのせたり、ヨーグルトのソースとして食べたりしてもおいしいです。また、温かいままでたべるのも案外おいしいですよ!!
リンゴジュースを使うとお子様にも安心ですが、赤ワインや日本酒に変えると、大人向けのデザートになります。スーパーや八百屋さんの店先でいちじくを見かけたら、ぜひ一度簡単レシピをお試しくださいね。
そのほか、インターネット上には、いちじくを使ったたくさんのレシピが出回っています。
それらを活用して、いちじくを上手に食生活にとりいれて元気になりましょう!
いかがでしたでしょうか?
『いちじくは女性にとってスーパーフード!?』はお楽しみいただけましたでしょうか?
このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸ほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!
鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
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参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』