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日々是好日・心理学ノート

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#大学

イギリスの心理学者たちの研究業績を評価する

研究者の業績を判断するための指標には,複数のものがあります。心理学を専門とする研究者の業績評価は年々厳しくなっていて,10年前,20年前と同じような研究業績では就職することが難しい印象もあるくらいです。 業績評価指標研究者の研究業績を評価する指標には,どのようなものがあるのでしょうか。 ◎出版実績:論文や書籍の出版数,また内容。 ◎被引用数:出版物が他の論文で何回引用されたか,また平均して1出版物あたり何回引用されたか。 ◎インパクト指標:h指数(h-index: h本の

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大学の研究倫理の文章を比較すると

倫理的な態度や倫理的な行動は,研究活動においても非常に重要な役割を演じます。研究の詳細を明らかにして,透明性を確保し,不正行為の疑惑を回避するという点でも,研究倫理は重要です。 研究機関世界中の研究機関が,研究をおこなう上での倫理的な指針を策定しています。心理学のように人間を対象とした研究をおこなう場合には,研究に参加する人びとの権利,尊厳,健康,安全,プライバシーを保護するためにも研究倫理を念頭に置くことが重要です, 戦略的な政策方針の策定,健全な規制の提供,倫理基準の

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外向的な大学生は大学に所属している感覚を抱きやすい

「自分が何かに所属している」という感覚は,多くのメリットをもたらすようです。生徒たちや学生たちにとっては,「自分はこの学校(大学)に所属していて,一員である」と感じるだけで,成績も向上するとか。たしかに,仕事でもそういう一面はあるかもしれません。 所属意識所属することというのは,自分とある環境との適合性の質に関する手がかり,出来事,経験,関係性から導き出される推論だとされます。これは,「受け入れられている」「含まれている」「尊重されている」といった感覚として実感されるもので

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スタンフォード大学の心理学の躍進

今日は少し趣向を変えて,とある本に描かれていたスタンフォード大学の様子を見ていきたいと思います。 ホットハンド書かれていたのはこちらの本,ベン・コーエン著『科学は「ツキ」を証明できるか:「ホットハンド」をめぐる大論争』です。バスケやテニスなどなんでもいいのですが,続けて点が入ると「流れが向いてきましたね」と表現することがあります。この「流れ」が本当に起きるのかどうかは,心理学のなかでも研究されてきたことなのですよね。 ホットハンドの誤謬ホットハンドについては,Wikipe

[質問]早稲田大学は好きですか?[回答]

Peingにあった質問に答えてみようと思います。 何か質問のある方はこちらへどうぞ→[Peing] 今回の質問は,「早稲田大学は好きですか?」です。 「ええ,好きですよ」と答えれば終わってしまう質問です。基本的な回答はこれでおしまいなのですが……せっかくなので,2012年に早稲田大学に来てからの印象や,面白いと思ったことなどについても書いてみたいと思います。

2023年に読んだ本(2)

2023年に読んだ本のシリーズ第2回目です。 今回は,『傷つきやすいアメリカの大学生たち:大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体』という本を紹介したいと思います。 目次この本の目次は次の通りです。アメリカの大学で近年,特徴的な学生たちの様子が見られる様子がこの本の中で多面的に描かれています。

成績の男女差に関係してくる性格要因

アメリカの大学では,次のような現象が見られるそうです。 ◎大学入学共通テスト(SATやACT)では,女性よりも男性の方が平均得点が高い傾向が見られる。 ◎一方で,大学入学後のGPAについては,男性よりも女性の方が平均得点が高い傾向が見られる。 日本の大学ではどうでしょうか。 入試と入学後アメリカの大学入試ではSATなどの学力試験が用いられています。その理由のひとつは,SATなどの試験が大学入学後のGPAを予測することにあります。実際,SATの得点と大学入学後のGPAとの

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ダークな学生の学部選び

さて,今回も,パーソナリティ特性と大学の専攻選びとの関連について検討した研究を見ていきましょう。 先入観ドラマや映画をみると,特定の職業と特定のキャラクターが結びついているように思えます。アメリカのドラマなんかを見ると,弁護士や実業家は自分の利益のために他人を利用して,出世やお金を得るためには手段を選ばないようなキャラクターとして描かれます。このようなキャラクターはいけすかない人物だとして描かれるのですが,どこか魅力がある人物でもあります。 マキャベリアニズム(人を自分の

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大学教員はよく表札を盗まれていた?

最近読んだ本の中で,面白かった一節を紹介したいと思います。 読んだ本というのは,『家相の科学 21世紀版:一戸建て・マンションの選び方住まい方』(清家清,2000年,光文社)です。 家を探したり建てたりするときに,多くの人が気にするのが「家相」や「風水」です。この本では,実際にどのような記述が行われているのかを示しながら,現在(といっても家の構造や性能の話も数十年前のものなので,そこは割り引いておく必要はありますけれども)の家でどのようなことが言えるのかを,わかりやすく示

人を操ろうとする人が選択する学問

大学の中にいると,どうも学部や専攻によって,人となりに違いがあるのではないだろうか?という直感を抱くことがあります。 これは受験制度も影響しますし,時代の影響もあるでしょう。大学を受験するときに,どのように選んでいくかという問題です。十分に考えながら専攻を選んでいく時代や地域と,とにかく大学に入ればいいという時代や地域とでは,専攻を選ぶことの背景の要因は大きく変わりそうです。 性格と専攻これまでにも,大学の専攻と性格(パーソナリティ)特性との関連は検討されています。学生た

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なぜ理系に女性が少ないのか

世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数」という指標を発表しています。2022年に発表された数字が,内閣府の男女共同参画局のHPに掲載されています。 日本は……なんと「146か国中116位」だそうです。 大学の場合大学も大学院も,男性に比べて女性の比率が低い,というのが日本の特徴です。 早稲田大学の場合,学部生全体の女性比率は約37から38%くらい,教員の女性比率はわずか19%です。職員の女性比率は41%となっていますが,下のリンク先の表の欄外に書かれているように

どうして「〇〇大学を出たのに役に立たない」という話がなくならないのか

さて,表題のような疑問を抱く人がいるかもしれません。その理由というのは,「必ず役に立たないと評価される人が存在するから」であり「全員が役に立つと判断されることなどないから」でしょうね。 今回はこんな問題について考えてみましょう。 広く薄く予測するこれは知能でもパーソナリティでもなんでもいいのですが,世の中で「役に立つ」とされるものは,将来を「広く薄く」予測します。 どういうことかというと,これまでの研究結果によれば,知能検査の結果が良い人というのは,学校の成績が良くなり

2021年によく読まれた記事の振り返り(2)

今日も,2021年を振り返って,よく読まれた記事をピックアップしてみたいと思います。 大学の入学者数 まずは受験シーズンを迎えると言うこともあり,こちらの記事『大学の入学者数を知っておこう』です。 この記事は,大学について考える際に,ごく基本的な数字について知っておくと,より的確に考えることができるようになるのではないか,ということを書いたものです。ある問題が大問題のように思えても実は全体の一部だったり,大したことがない問題だと思っても実は全体の問題だったりすることもあり

専攻する学問で性格は違うのか

授業をしていてとてもよく尋ねられる質問の一つです。 ◎ある学部に入学してくる学生は,別の学部に入学してくる学生と性格が違うのですか? これです。みなさんは何かそれぞれの学問を学ぼうとする人々との間に,何か違いがあると思うでしょうか。 職業と性格ある性格の人たちが,ある特定の職業に向いている傾向があるのではないか,という仮説も昔からあります。いわゆる「職業適性検査」と呼ばれるものは,そういった考え方にもとづいて作成されてきた歴史があるのではないでしょうか。 以前にも,R