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わたしの本棚

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わたしの読書記録です。
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#アンソロジー

本棚:『キッチンつれづれ』

アミの会によるアンソロジー。キッチンが舞台なので、家族とのつながりの話が多いかなと思います。キッチンというと家の台所を思い浮かべますが、大崎梢さんの「春巻きとふろふき大根」は公民館で開かれている男の料理教室が舞台。そして福澤徹三さんの「限界キッチン」は、(ぼったくり)居酒屋。他人様のお宅の台所にお邪魔することは滅多にないので、自分にとっての当たり前が、実はそうではないということもあるかもしれないなぁ。 永嶋恵美さんの「お姉ちゃんの実験室」に登場するお姉ちゃんは、レシピ本マニ

本棚:『ミステリなスイーツ』

本日はバレンタインデー。かつては職場の方にチョコを配ったこともありますが(遠い目…)、やらなくなって早数年。今年もチョコは準備しなかったものの、逆にチョコもらいました。美味しかった~。 『ミステリなスイーツ』とあるように、美味しそうなスイーツが出てくるアンソロジー。「和菓子のアン」と「3時のアッコちゃん」は既読でしたが、再読もいいものですね。 ちなみに「和菓子のアン」の坂木司さんの作品で「切れない糸」というクリーニング店が舞台の作品があります。こちらの本を読んだとき、読書メ

本棚:『時の罠』

辻村深月さん、万城目学さん、湊かなえさん、米澤穂信さんによるアンソロジー。図書館で本書を見つけたとき、「あれ?以前に読んだことあったかしら?」と思ったものの、まぁ、覚えてないし、初見と変わらない感じで読めるだろうと借りました。一作目が辻村深月さんの「タイムカプセルの八年」で、あぁ、読んだことあった!と思ったのですが、残りの3作品は記憶になく…。たぶん、辻村深月さんの作品は別の本で読んでいて、本書を読んだことあるかも?と思ったのは、『神様の罠』と勘違いしたのだと思います。 米

本棚:『アンソロジー 舞台!』

コロナ前に、何度かミュージカルを観に行ったときのことを思い出しました。映像で見るのとは違って、生ってすごいなと思いました。夢のようなひとときで、さすがに頻繁に行く余裕はないけれど、「また観たい!」と思うとともに、「演じている人は、普段どんな暮らしをしているのだろう?」と思いました。 5編からなるアンソロジー。私が気になった、演じる側の視点も垣間見ることができました。立場が違うわけですから、日常と非日常も逆転しているわけで、なんだか不思議な感じです。 以前、同じ職場の若手が2.

本棚:『おひとりさま日和 ささやかな転機』

おひとりさまの(老後の)暮らしも悪くないかなと思える第2弾。きっと親も心配しているんだろうなとは思うのですけど、自分自身も漠然とした不安は抱えつつも、なんとかなるんじゃない?と楽観的に考えているところもありまして。 数年前までは「お金の心配」が一番でした。でも、子どもの頃から物欲が少なく、よく言えば倹約家、悪く言えばケチで、昔は「貯蓄が趣味」なんて冗談で言ったこともあるけれど、今は「あまりお金に依存せずに暮らしたい」というのがピタッとくる感じ。お金に依存したくないといいつつ

本棚:『ミステリな食卓 美味しい謎解きアンソロジー』

アンソロジーだと、いろんな作家の作品が読めるのでお得!という気がします。碧野圭さんのは『菜の花食堂のささやかな事件簿』から、近藤史恵さんのは『ときどき旅に出るカフェ』からの作品で既読でしたが、いい感じに結末も忘れていましたので、初めて読んだかのように楽しめました。 本書が気になったのは、太田忠司さんの作品で、『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』の人だよね?他にどんな作品を書いているんだろうと思いまして。太田忠司さんの『和菓子迷宮をぐるぐると』は、私が勝手にそう思っているだけですが、

本棚:『僕たちの月曜日』

働く男性が主人公のアンソロジー。ちなみ女性が主人公のものは『私たちの金曜日』となっておりまして、こちらは既読でした。働く男性が主人公の話というと、ここ最近で読んだことがあるのは奥田 英朗さんの『マドンナ』かな。あまり意識してないですが、たぶん、女性が主人公のものを読むことが多いんだろうなぁ。男性と女性で、そんなに違うのか?、同じところも結構あるんじゃないの?と思いつつも、世間や取り巻くものは色々違うはずで、でも戦っている何かは同じような気もして。 そうなんだ…と思ったのが、

本棚:『今夜は、鍋。温かな食卓を囲む7つの物語』

本格的な夏はまだ先なのに、暑いな…と思う日が多くなってきた今日この頃。鍋の季節ではありませんが、好きな作家さんの名前があったので、「おっ!」と思って手に取りました。そういえば、クリスマスのアンソロジーを夏ごろに読んだこともあったっけなぁ。 私が一番好きだなと思ったのは清水朔さんの『初鍋ジンクス』。7つの物語のそれぞれの扉の絵の中でも、これが一番好き。だって、具がアレだから。 それから、角田光代さんの『鍋セット』も、じんわりと「いいな」と思いました。どこかで読んだことあるんだよ

本棚:『私たちの特別な一日』

冠婚葬祭アンソロジーというのも珍しいなと思いました。成人式、結婚式、葬式、祭事。日常的なものではないから、確かに特別な一日です。 はじめのお話は、飛鳥井千砂さんの『もうすぐ十八歳』。成年年齢が18歳に引き下げられたというのは、知識としては知っていても、いまだにピンときません。昨年、同僚のお子さんが18歳の誕生日に「成人のお祝いとして」何か好きな食べ物を用意しようと思って、との話を聞いて「そうか…」と思いました。 私にとっての成人式の思い出は、雪。前日の夕方ぐらいから、ドカドカ

本棚:『時ひらく』

表紙のデザインで気づく人もいるのでしょうか。三越を舞台にしたアンソロジーです。著者は、辻村深月さん、伊坂幸太郎さん、阿川佐和子さん、恩田陸さん、柚木麻子さん、東野圭吾さんの6名。なんか好きな作家さんがそろってる!と手に取りました。 三越といえば日本橋三越なのだと思うのですが、伊坂幸太郎さんの作品では仙台の三越でして、思わずニヤリ。でも振り返ってみれば、仙台に住んでいたけど、仙台の三越に行ったことないかも…。今はないですが、千葉の三越には何度か行ったことがあって、それは世界ネコ

本棚:『おいしい旅 しあわせ編』

『おいしい旅』は「想い出編」と「初めて編」があり、それに続く「しあわせ編」。アミの会によるアンソロジーでして、アミの会とは女性作家による集団で、メンバー以外の作家がゲスト参加することもあります。 本作で私が一番好きだなと思ったのは、ゲストの三上延さんの『美味しいということは』。三上延さんといえば、一時期『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズを読んでました。話題になった時期よりだいぶ遅れてましたが。 美味しいということがどういうことなのかは、人によって答えはさまざまだと思いますが

本棚:『おひとりさま日和』

6人の作家による書き下ろし短編集。主人公はいずれも一人暮らしの女性。他人事とは思えず手に取りました。大崎梢さんの「リクと暮らせば」は84歳の女性が主人公。リクというのは、私の同僚の愛犬の同じ名前なので、犬かな?と予想していましたが、犬は犬でも、ただの犬ではありませんでした。猫派ですが、私もリクと暮らしたいなと思いました。 別の話で、一人で映画を見るのが好きな女性が登場するのですが、自分自身を振り返ってみれば、学生の頃は友人に誘われて行く程度で、一人で映画を見に行ったことがあり

本棚:『ほろよい読書 おかわり』

アンソロジーの第2弾。お酒を飲む理由はいろいろあるだろうけど、全体的に、ちょっとほろ苦~い感じが心地よいお酒で浄化されていくような印象を持ちました。お酒の飲めない方も読書なら。 父はほぼ毎晩飲んでますし、母は結婚前、冬場は実家がとても寒かったので、寝る前に一杯飲んでいたと言ってましたし、私も飲めない体質ではありません。でも、子どもの頃から父の酔っぱらう姿を見てきたので、飲み会ぐらいでしか飲まず…。そして、睡眠ファーストの今となっては、飲み会でも飲まず…。 と言いつつ、入社3年

本棚:『私たちの金曜日』

働く女性たちのアンソロジー。恩田陸さんの『茶色の小壜』は、ゾクッとしました。有川ひろさんの『ファイターパイロットの君』は再読でしたが、おそらく前回と同じところで涙。田辺聖子さんの『美女山盛』は、今はそういう時代じゃないよね…と言い切れないかもとも思ったり。桐野夏生さんの『神様男』には、「ぜったい神様じゃないし!」と憤りを覚えたり。 仕事で自己実現しなきゃいけないとは思わないし、毎日変わり映えのない日々を過ごし、これをあと何十年も続けるのかと思うと空しくもなるけれど、それでも