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本棚:『アンソロジー 舞台!』

コロナ前に、何度かミュージカルを観に行ったときのことを思い出しました。映像で見るのとは違って、生ってすごいなと思いました。夢のようなひとときで、さすがに頻繁に行く余裕はないけれど、「また観たい!」と思うとともに、「演じている人は、普段どんな暮らしをしているのだろう?」と思いました。
5編からなるアンソロジー。私が気になった、演じる側の視点も垣間見ることができました。立場が違うわけですから、日常と非日常も逆転しているわけで、なんだか不思議な感じです。
以前、同じ職場の若手が2.5次元が好きだと聞いて、分かったような分からないような感じだったのですが…、本書で少しわかったように思います。普通って言っていいのか分かりませんが、私の知っているミュージカルとは違う演じる側の難しさとか、ファンの心理とかあるんだなと知りました。
私が一番印象に残ったのは、白尾悠さんの「おかえり牛魔王」です。舞台がと言うよりは、主人公の岩間の職場での立場とかに、いろいろ考えさせられたというか。無期雇用派遣の岩間を社員はいいように使っているのですが、そのあたりが気になって。
ひとときの夢を見させてくれる舞台を楽しみに日々頑張るのもいいけれど(昔はそういうふうにも思っていたけれど)、日々のストレスはその日のうちに解消できるような暮らしがいいなと今は思います。現実逃避じゃなくて、ただ純粋に観たいから観る。他にも楽しいこと好きなことはあるけれど、選択肢の一つとして観劇があるといいなと思います。


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