本棚:『私たちの特別な一日』
冠婚葬祭アンソロジーというのも珍しいなと思いました。成人式、結婚式、葬式、祭事。日常的なものではないから、確かに特別な一日です。
はじめのお話は、飛鳥井千砂さんの『もうすぐ十八歳』。成年年齢が18歳に引き下げられたというのは、知識としては知っていても、いまだにピンときません。昨年、同僚のお子さんが18歳の誕生日に「成人のお祝いとして」何か好きな食べ物を用意しようと思って、との話を聞いて「そうか…」と思いました。
私にとっての成人式の思い出は、雪。前日の夕方ぐらいから、ドカドカと降り始めてしまって。着付けのために、当日は朝早く家を出る予定だったものの、そもそも雪が積もった状態で辿り着けるかどうか…。母は、出かけるまで雪かきをし、車にチェーンをつけ、「行けるかどうかわからないけど、行くよ」と。当初の時間よりもだいぶ早い時間に出発。なんとか着付けの場所にたどり着きました。そこでは雪にもかかわらず、着付けやメークなどが行われていました。こういう仕事の人は、天気によらず働かないといけないんだなと思った記憶があります。
今となってはもう昔のことですが、成人式は親のためでもあるかもしれないなと寺地はるなさんの『ありふれた特別』を読んで思いました。