はじめまして。 発達支援相談所「ゆらいばな」の阿久根たかしと申します。 まずは,自己紹介をさせていただければと思います。 【障害のある方々との初めての出会い】 大学は,横浜国立大学 養護学校教員養成課程 を卒業しています。 大学時代には障害のある方々と触れあうボランティアサークルに所属していました。 私自身,障害のある方々と接するのは初めてでしたが,入学した頃は正直,偏見や差別がかなりあって,周りの先輩や同期がこの方々と一緒に活動しているところを見て,「こんなこと
学校で問題行動を起こす子どもに対して、その問題行動をおさめ るための対応はどれも基本的には「対処療法でしかない」と私は思 っています。問題行動に対する対応よりももっと大事な支援があり、 それは「その子どもの今置かれている状況(背景)」と、「この問題 行動を取らざるを得ない状況に至るまでの、これまでの歩み(生育 歴)」を押さえておく必要があります。 「24時間サイクルで子どもの置かれている状況を把握することが 大事です」と研修会の中でよくお話していますが、学校
3歳までに現れ、3つの行動特徴があるとされています。 支援については以下の通りです。 高機能自閉症は、知的発達の遅れがないとされています。 自閉症やアスペルガー症候群のある子どもの特性です。 ☆友だちづきあいが苦手でも、友達とけんかするなど、トラブルになる頻度 は少ないとも捉えられます。 仲良くしたいけど、自分から声が掛けられない(声を掛けた経験が少ない)。 なので、ソーシャルスキルトレーニングを積んで声を掛ける経験を積んでいけばいいのです。 ☆会話が一方的で
① 医学的な診断及び診断名の伝達 一番大きい利点としては、「障害があるかどうかを判断してもらえる」と いうことです。 診断を受けることで、手帳を取得することができたり、関係機関へ繋がりや すくなります。 また就学においても、診断があることで、より適切な学びの場の提供が図ら れるようにもなります。 さらに、診断名が様々な関係機関に伝達されることで、個別の支援計画の作 成や関係者が集まっての会議を行うことが可能となります。 ② 診断書の発行 診断書が発行さ
「特別支援教育は高い専門性が求められるから難しい」という声 をあちらこちらでよく聞きます。 確かに、学習や生活の課題を改善させるための活動をはじめ、社 会性を養う様々なトレーニング法や保護者に向けた相談方法やトレ ーニングなど、専門的な知識・技能は多く存在する世界です。 しかし一方で、あなたが尊敬する先生を一人思い浮かべてみてく ださい。 その先生はきっと、特別な支援が必要な子どもと初対面でも、適 切な関わりや指導ができるのではないでしょうか?
☆ 愛着障害とは ○ 不適切な養育環境に置かれた子どもは、その後の対人関係に深刻な 課題を抱えやすい ○ 無秩序・無方向性については虐待や明らかな養育不全と関連がある ○ 抑制型・・・他者に対してひどく内気で警戒心が強く、苦痛があっても大人に安心を求めない、素直に甘えられず腹を立てたり嫌がるなど両価的な態度を示しやすい ○ 脱抑制型・・・慣れない大人にもためらいなく関わり、無警戒で誰にでも甘えたがる ○ 「家庭で問題がなく園・学校では対応に苦慮している」「発達
「支援が必要な子どもの今の問題行動をなくしたい」 「できないことが多すぎるから、一つでも多くのことができるようにしたい」 「もっと言うことを聞く子どもにしたい」 様々な思いをもって、私たちは日々子どもたちと対峙しています。 この思いのほとんどは「子どもを変えたい、変わってほしい」という願いから生じています。 療育や教育は、子どもが変えるために行うものなのでしょうか? 「子どもを変えたい」ということが目的になっているから、うまくいかないのではないでしょうか? 他人
5歳の生まれつき(先天性)眼の見えない女の子からの「見えるってどういうこと?」と質問されたときに、どのように答えるでしょうか? 「見えるってどういうこと?」という質問に対して、視覚のない子どもに説明するには、視覚以外の感覚や経験に基づいて「見る」という行為をわかりやすく説明する必要があります。 ここでは、視覚を直接感じたことのない5歳の全盲の女の子に、彼女の持つ他の感覚や感情に寄り添いながら、視覚の概念を伝える方法を提案します。 1 触覚や感覚を通じて説明する
全盲の子どもに「赤・青・黄色の3色をどのように伝えたら良いか」について 視力が全くない子どもに対して「赤・青・黄色」といった色の概念を伝える際には、視覚以外の感覚や感情を通じて、その色がもたらす印象や意味を体感させることが効果的です。 ここでは、色を温度や感情、音、質感など他の感覚と結びつけて説明する方法を提案します。 赤(あたたかさ・力強さ・情熱) 温度や感触: 「赤はとてもあたたかい色だよ。まるで火や太陽のように熱いものを感じることができる色なんだ。」たとえ
前回までの続きです。 愛着障害のある子どもたちの中では、生活リズムが不安定だったり、見通しがもてなかったりすることで、情緒が乱れやすいケースもあります。 そのため、家庭と連携を図りながら、生活リズムを安定させたり、学校生活では見通しがもてるようにしたりすることが大切です。 具体的には、朝起きる時間、朝食を食べる時間、学校に行く時間、宿題をする時間、お風呂に入る時間、寝る時間など、本人が見通しをもって安定して過ごすことができるようなスケジューリングをすることです。 また
前回までの続きです。 これまで、愛着障害のある子どもたちへの様々な対応方法をお伝えしてきました。 繰り返しになりますが、こうした子どもたちへの対応は多大な時間と労力が掛かります。 まずはそれを覚悟していく必要があります。 よくなってきたと思うと、また元に戻ったかのような問題行動を起こすことも頻繁にあります。 自分の対応方法は間違っているのかと疑心暗鬼に陥ることも少なくないです。 私もこうした子どもたちと対峙して、このような気持ちにさいなまれることは今でもあります。
前回までの続きです。 これまでのお話の中で、愛着障害のある子どもたちへは「一人で対応しない」ということを伝えてきました。 それに加えて、もう一つ大切なこととしては「支援者間で支援のバラツキがないようにする」ということです。 子どもが取った一つの行為に対して、ある支援者は認め、別の支援者は認めないといった、支援のバラツキがあると、子どもは次にどんな行動を取ればよいのか混乱してしまうからです。 また、「この先生はこんなことをしても許してくれるからいいや」「これをやったら怒
前回までの続きです。 これまでの人生における様々な成長を、丁寧に確認していくことの大切さについてお話しました。 それと同じ、それ以上に大事なのは、「これからはより一層の成功体験の充実を図っていくこと」です。 失敗体験あるいは失敗していないにもかかわらず理不尽な対応を取られ続け、心に大きなダメージを受けていると、それを元に戻すことは相当な時間と労力が掛かります。 そうした覚悟をもちながら、日々成功体験を積み重ねていくことが求められます。 朝起きられたこと、朝ご飯を食べ
前回までの続きです。 愛着障害のある子どもたちは、これまでの人生でたくさん傷ついてきたため、自己肯定感が相当低下している場合が多いです。 これからの長い人生を考えると、低下している自己肯定感を取り戻すためには、「成功体験の充実を図ることに尽きる」と思います。 そのきっかけとしては、「これまででできるようになったことを確認すること」です。 昔の自分に比べたらどんなことができるようになったか? すべての子どもは、この世に誕生してから数え切れないくらい成長しています。
前回までの続きです。 「今まで辛かったこと」「これまでの悲しかったこと」など、愛着障害のある子どもたちのネガティブな体験を、丁寧に聞き取ることの必要性について以前お話しました。 それに加えて、「今までの人生で楽しかったこと」「嬉しかったこと」なども丁寧に聞き取っていくことも大切です。 もしかしたら、「そんな経験はしたことがない」と吐き捨てる場合もあるかもしれません。 そういった子どもに私も出会うことがありました。 しかし、そういった子どもにも楽しかったこと、嬉しかっ
前回までの続きです。 愛着障害のある子どもへの対応として「一人で対応しない」ということです。 前回は「同じ土俵に上がらない」ことをお伝えしましたが、感情を子どもに引っ張られないようにするためにも、一人で対応しないということが大事です。 「こんな対応をしたけどうまくいかなかった」「こんなことを言われた」「こんなことをされてしまった」など、起こった出来事を誰かに伝えられる環境を整えることが重要です。 そのためには、特別支援教育の世界と同様、「チームで、組織で対応する」とい