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愛着障害への対応方法⑤
前回までの続きです。
「今まで辛かったこと」「これまでの悲しかったこと」など、愛着障害のある子どもたちのネガティブな体験を、丁寧に聞き取ることの必要性について以前お話しました。
それに加えて、「今までの人生で楽しかったこと」「嬉しかったこと」なども丁寧に聞き取っていくことも大切です。
もしかしたら、「そんな経験はしたことがない」と吐き捨てる場合もあるかもしれません。
そういった子どもに私も出会うことがありました。
しかし、そういった子どもにも楽しかったこと、嬉しかったことは必ずあります。
本人の好きな食べ物、得意なこと、好きな人、好きな場所、好きな遊びなどなど、ポジティブな質問を繰り返し行っていきます。
すると、ポッと一つ、「そういえばこんないいことがあったな」と言える瞬間があります。
それを聞き取ることができれば、そこから「それはいつ、どこで、だれと、どんなことをやった瞬間だったのか?それに対して、またしたいなと思ったりしなかったか?そう思ったら、それを今からやっていこう」みたいな感じで人生を肯定的に掘り下げていくことが大事です。
これまでは辛かったけど、いいこともあったな。
それをこれからは積み上げていけるといいな。
このように、これからの人生を肯定的に捉えられるような働き掛けを、丁寧に繰り返し行っていくことが最も大事なことです。
「この人にまた相談したいな」
「これからのことを一緒に考えていきたいな」
そのように思えるような心をゆっくりと育てていきます。