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愛着障害への対応方法⑨

前回までの続きです。

これまで、愛着障害のある子どもたちへの様々な対応方法をお伝えしてきました。

繰り返しになりますが、こうした子どもたちへの対応は多大な時間と労力が掛かります。

まずはそれを覚悟していく必要があります。

よくなってきたと思うと、また元に戻ったかのような問題行動を起こすことも頻繁にあります。

自分の対応方法は間違っているのかと疑心暗鬼に陥ることも少なくないです。

私もこうした子どもたちと対峙して、このような気持ちにさいなまれることは今でもあります。

でも逆に、うまくいかないことが毎回続くわけでもありません。

一緒に学習をしたり、コミュニケーションを図ったりする中で、素晴らしい意見を言ったり、課題に超集中して取り組んだり、優しい言葉を掛けてくれたり、友達を思いやる言葉が出たり、家族を大事にする姿が見られたり、自己をコントロールして適切な行動が取れたりとよい姿が見られることもあります。

こうした望ましい姿を引き出すためにも、「継続して切れ目なく支援していくこと」が大事です。

仮に私が愛着障害のある子どもたちの担任なら、毎朝登校してからまず本人としっかり向き合う時間を設けます。

周囲の協力を得ながら、できるだけ静かな空間で、二人で対話ができる環境を作ります。

そこで、「今日もよく学校に来られたね。今日も先生はあなたに会えて嬉しいよ」と言葉を掛け、その後昨日の家での過ごし方を聞いて、そこに喜びを共感できる要素がないか、本人の頑張りが潜んでいないかどうかを探っていきます。家でのことを話してくれることも本人の頑張りなので、そこも丁寧に評価していきます。

今日の学校でのスケジュールを示し、どの授業が楽しみか、あるいは逆に受けたくないかも確認します。特に、受けたくない授業では行動が乱れる可能性が高いので、自分を守るための約束事(問題行動を起こすのではなく、気持ちが不安定になったらすぐに自分にSOSを出すといったことなど)を確認します。

嫌な活動の直前にももう一度約束事を本人と確認し、それが守れるかどうか、本人の行動に最大限の意識を向けます。

頑張れている姿が見られたら随時評価し、残り時間を示し、見通しをもって約束事を守れるように支援を続けます。

授業終了後は、約束事が守れたら最大限ほめ、本人が達成感・成就感を味わえるようにしていきます。

これを繰り返し、「次も守れる自分」を育てていきます。

非常に根気がいる活動ですが、これからの人生を肯定的に前進していく意欲と態度を育てるためには、こうした時間と労力のかかることを「継続して切れ目なく行っていく」ことしか解決策はないのだと私は思っています。

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