荒舩良孝

科学ライター/ジャーナリスト。科学の研究現場から科学と社会の関わりまで幅広く取材し、現代生活になくてはならない存在となった科学について、深く掘り下げて伝えている。最先端研究から身近なふしぎまで、幅広い分野で取材、執筆活動を展開。最近は、写真も勉強中。

荒舩良孝

科学ライター/ジャーナリスト。科学の研究現場から科学と社会の関わりまで幅広く取材し、現代生活になくてはならない存在となった科学について、深く掘り下げて伝えている。最先端研究から身近なふしぎまで、幅広い分野で取材、執筆活動を展開。最近は、写真も勉強中。

最近の記事

2024年のノーベル平和賞に思うこと

2024年のノーベル平和賞は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に贈られました。 日本被団協のノーベル平和賞受賞は、68年もの長い間、核廃絶運動を被爆者の援護を求める運動を続けてきたことが評価されたことはもちろんですが、ウクライナ戦争、中東での紛争で核兵器使用の現実感が増してる情勢を牽制することも視野に入れてのことでしょう。 被爆者の立場から核廃絶や世界平和を訴えることは、とても重いことです。同時に、被爆者、戦争体験者の高齢化も大きな問題です。それを乗り越えるにはど

    • 2024年 ノーベル化学賞受賞者予想

      今日は2024年のノーベル化学賞の予想です。 早速、昨年までの受賞分野を振り返りましょう。  2007年 固体表面の化学反応過程の研究  2008年 緑色蛍光たんぱく質(GFP)  2009年 リボソームの構造と機能の研究  2010年 有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング  2011年 準結晶の発見  2012年 Gタンパク質共役受容体の研究  2013年 複雑な化学系のためのマルチスケールモデルの開発  2014年 超高解像度蛍光顕微鏡の開発  2015年 

      • 2024年 ノーベル物理学賞受賞者予想

        今日はノーベル物理学賞の予想です。 まずは、最近の受賞分野のおさらいから。  2007年 巨大磁気抵抗の発見  2008年 自発的対称性の破れ、CP対象性の破れ  2009年 光ファイバー内光伝達、CCD素子  2010年 グラフェン  2011年 宇宙の加速膨張  2012年 量子系の計測、制御      (量子コンピュータを実現するための技術の実証)  2013年 ヒッグス機構(ヒッグス粒子)  2014年 青色発光ダイオード  2015年 ニュートリノ振動  2016

        • 2024年 ノーベル生理学・医学賞受賞者予想

          今年もまた10月がやってきました。そうです。ノーベル賞発表の時期です。 何年も続けてきたということもあり、今年も予想をやっていきたいと思います。正直言って、当たるも八卦、当たらぬも八卦という要素が強いのですが、この時期の1つのお楽しみとして気楽に読んでください。 ということで、10月7日発表予定の生理学・医学賞の予想をしていきましょう。 まずは、近年の受賞理由の振り返りから。  2007年 胚性幹細胞を利用したマウスの遺伝子改変技術  2008年 ヒトパピローマウィル

          interfm ラジオ番組「レコレール」に出演!

          今日、2024年9月12日にinterfmのラジオ番組「レコレール」にゲストとして生出演してきました!(パチパチパチ) 今年は1月につづき、2回目です。(ありがたい) 今回は、interfmをはじめ、JFN系列局で放送されているラジオ番組「レコール」です。前日にはXに告知ポストもされました。 この告知ポストでは、2時台のゲストと3時台のゲストが紹介されていまして、2時台のゲストは僕で、3時台のゲストはシンガーソングライターのあいみょんさんでした。なんと、僕の名前とあいみ

          interfm ラジオ番組「レコレール」に出演!

          今日の科学 9月7日 H-IIAロケットで2機の宇宙機が打ち上げられた日

          2023年9月7日は、X線分光衛星「XRISM」と小型月着陸実証機「SLIM」が打ち上げられた日。両機はH-IIAロケット47号機に相乗りし、2023年9月7日8時42分11秒に種子島宇宙センターから打ち上げられました。 X線分光衛星「XRISM」は2016年3月26日に運用ミスで空中分解してしまったX線天文衛星「ひとみ」の後継機として打ち上げられた衛星です。2024年1月5日にファーストライト画像が公開され、たくさんの研究者がその性能に驚きました。 小型月着陸実証機「S

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          今日の科学 9月6日 物理学者エドワード・アップルトンが生まれた日

          1892年9月6日は、イギリスの物理学者エドワード・アップルトンが生まれた日。地球の周囲には、窒素と酸素を主成分とする大気があります。それらの分子は基本的に電気的に中性です。しかし、アップルトンは大気の上層部分に、電気を帯びた分子や原子が存在する領域の電離層が存在することを示しました。 電離層は、地表から60~800kmほど上空にあるイオンの層です。電離層は、地上に近い順にD層、E層、F層の3種類あることが知られていて、わりと波長の長い電波を反射したり、吸収したりします。ア

          今日の科学 9月6日 物理学者エドワード・アップルトンが生まれた日

          今日の科学 9月5日 生物学者の利根川進が生まれた日

          1939年9月5日は、生物学者の利根川進が生まれた日。 生物を外敵から守るシステムを免疫といい、その主役の1つが抗体です。抗体は様々な種類のものつくられていたのですが、そのしくみは謎のままでした。利根川はその謎を解き、多様な抗体がつくられる理由を示しました。 生物にとって、外からやってきて免疫反応を引き起こす物質を抗原と呼びます。抗原となるものは、ウイルス、細菌、カビ、寄生虫、花粉など、たくさんあります。人間がつくった化学物質も抗原となる場合もあります。これらの抗原を体の

          今日の科学 9月5日 生物学者の利根川進が生まれた日

          今日の科学 9月4日 生物物理学者マックス・デルブリュックが生まれた日

          1906年9月4日は、生物物理学者マックス・デルブリュックが生まれた日。 彼は、ウイルスの研究をおこない、ウイルスの複製機構についての論文を発表しました。さらに、サルバドール・ルリア、アルフレッド・ハーシーとともに細菌に感染したウイルスが遺伝情報を交換することを発見しました。 デルブリュックは、もともと物理学を学び、オットー・ハーンの研究所でリーゼ・マイトナーの助手をしていましたが、2人が核分裂を発見する前に、アメリカへ渡り、生物学に転向し、生物物理学の分野を切り開いていき

          今日の科学 9月4日 生物物理学者マックス・デルブリュックが生まれた日

          今日の科学 9月3日 免疫学者フランク・マクファーレン・バーネットが生まれた日

          1899年9月3日は、オーストラリアの免疫学者フランク・マクファーレン・バーネットが生まれた日。生物には細菌やウイルスなどの侵入者から体を守る免疫というしくみを持っています。彼は、免疫が抗原を寛大に受け入れる「免疫寛容」を発見し、1960年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。 免疫は、自己と非自己を見分けるシステムだといわれています。免疫が自己の細胞を攻撃しないのは、免疫寛容によるものだといわれています。バーネットはピーター・メダワーとともに人工的に免疫寛容をつくり出す

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          今日の科学 9月2日 物理学者アーサー・アシュキンが生まれた日

          1922年9月2日は、アメリカの物理学者アーサー・アシュキンが生まれた日。 アシュキンはレーザー光を使って、100万分の1mmほどの小さな物質を正確に動かすことのできる光ピンセット技術を開発し、2018年にノーベル物理学賞を受賞しました。 私たちは、毎日、光を浴びて生活していますが、光を浴びたからといって、何かの力を感じることはありません。しかし、実際にはとても小さな力を受けているはずです。その力が小さすぎて、私たちにはわからないだけです。 光から受ける力は、素麺の乾麺1

          今日の科学 9月2日 物理学者アーサー・アシュキンが生まれた日

          今日の科学 9月1日 防災の日

          9月1日は、防災の日 1923年9月1日に関東大震災が発生したことに由来しています。関東大震災はマグニチュード7.9と推定されていて、近代化した日本の首都圏を襲った巨大地震で、災害対策の出発点になった出来事です。地震だけでなく、台風や豪雨などに対する備えも重要です。 日本は世界でも有数の火山大国であり、地震大国でもあります。人が感じないほど小さなものも含めると、日本とその周辺では、1年で10万回以上の地震が発生しています。マグニチュード6以上の地震も度々発生していて、202

          今日の科学 9月1日 防災の日

          今日の科学 8月31日 野菜の日

          8月31日は、野菜の日 8月31日の数字がや(8)さ(3)い(1)の語呂合わせになることから、野菜の日が制定されました。最近では、野菜の日に合わせて、野菜に関するPRイベントなどを実施する企業や団体が増えています。 野菜は、もともと自生していた植物を、人間が長い年月をかけて栽培しやすく、食べやすいものに変えていったものです。人間の三大栄養は糖質、脂質、タンパク質で、これらの栄養は体をつくったり、活動するためのエネルギーをつくったりするためのものです。 しかし、健康を維持す

          今日の科学 8月31日 野菜の日

          今日の科学 8月30日 物理学者アーネスト・ラザフォードが生まれた日

          1871年8月30日は、ニュージーランド出身の物理学者アーネスト・ラザフォードが生まれた日。ラザフォードはウランからアルファ線とベータ線の2種類の放射線が放出されていることを発見し、アルファー線の正体がヘリウム原子核であることをつきとめました。 ラザフォードは他にも、元素が放射線を出しながら、他の元素に変化する現象を発見しました。元素の放射性崩壊を発見したのです。多くの元素は半永久的に安定なものが多いですが、放射線を放出する放射性元素は、崩壊によって他の元素に変化することが

          今日の科学 8月30日 物理学者アーネスト・ラザフォードが生まれた日

          今日の科学 8月29日 H-IIAロケット試験機1号機が打ち上げられた日

          2001年8月29日は、H-IIAロケット試験機1号機が打ち上げられた日。 H-IIAロケットは日本の機関ロケットとして開発され、20年以上、日本の宇宙開発を支えてきました。後継となるH3ロケットが開発されたことに伴い、2024年度中に打ち上げ予定の50号機をもって引退することになっています。 日本は1994年に初の純国産ロケットのH-IIロケットの開発に成功し、7機の打ち上げをしましたが、1999年に打ち上げた8号機が失敗したことで、その後に打ち上げを予定していた7号機の

          今日の科学 8月29日 H-IIAロケット試験機1号機が打ち上げられた日

          今日の科学 8月28日 バイオリンの日 

          8月28日は、バイオリンの日 東京・深川で三味線職人をしていた松永定次郎が、1880年に初の日本製バイオリンを製作したことに由来しています。正教会のニコライ堂にあったバイオリンを見せてもらい、独学で製作したそうです。 楽器などを演奏し、音楽に親しむ科学者はたくさんいます。アルバート・アインシュタインは子どもの頃にバイオリンの指導を受け、公の場でも演奏をしていたことが有名です。日本の物理学者、寺田寅彦もバイオリンを演奏しました。科学と音楽には何かしらの関係性があるのかもしれま

          今日の科学 8月28日 バイオリンの日