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読書日記

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記事一覧

ことばの背筋力を鍛える

『ことばを深呼吸』川口晴美,渡邊十絲子 詩のワークショップでのレッスンを通して言葉の不思…

やどかり
18時間前
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芥川賞を読む

『文藝春秋 2025年3月特別号』 芥川賞関連しか読まないのだが、眺めてみると現代詩から短歌、…

やどかり
3日前
18

内輪もめの保元・平治の乱。その間に平家が権力を徐々に握っていく。

『双調平家物語8 - 保元の巻(承前) 平治の巻I』橋本治 (中公文庫) 少納言入道・信西は、藤…

やどかり
5日前
9

詩の言霊降霊術

『詩を書くということ』谷川俊太郎 (100年インタビュー) NHKで放送された番組の書籍化のよう…

やどかり
5日前
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トラウマと向き合う精神科医

『樹をみつめて』中井英夫 『樹をみつめて』は精神科医が書いたエッセイで読みやすいのだが、…

やどかり
6日前
22

世界文学は読書体験だ

『世界文学をどう読むか』ヘルマン・ヘッセ(訳)高橋健二 (新潮文庫) 最初に津村記久子『や…

やどかり
8日前
22

幸せな子供時代から子供でいられなくなった哀しみ

『ある子供』トーマス・ベルンハルト、(訳)今井敦 自伝五部作の最後の自伝。最初に戻って(翻訳ではこれが最初に出したのはわかりやすく、五部作で巡回していく形になるとか)子供時代の自伝なのだが、絶望的状況の中にも子供時代は幸福に感じることもあったのだ。その思い出は心温まる話が罵詈雑言の中で光っている。 ベルンハルトという名字は、実際に親でもない人が当時母とお腹の息子(当人)と住んでいたのでそう名乗っているが親戚にもそうした名字の人はいない。普通母親は息子の名字を戻すと思うのだ

石を投げる距離の問題

『増補新版 韓国文学の中心にあるもの』斎藤真理子 「高橋源一郎の飛ぶ教室」で紹介されてい…

やどかり
9日前
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愛の形からの信仰

『古井由吉翻訳集成: ムージル・リルケ篇』ロベルト・ムージル,ライナー・マリア・リルケ(訳…

やどかり
9日前
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Geminiに反抗する爺春を詠む

腹痛。昨日は胃がむかついていたのだが。昨日続きを書いたのだけど忘れた。そうだAIの俳句批評…

やどかり
10日前
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ハン・ガンノーベル賞受賞の理由

『ユリイカ 2025年1月号 特集=ハン・ガン ―傷を照らし、回復を導く灯……ノーベル文学賞受賞…

やどかり
11日前
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詩人で辿る中国史

『中国詩人伝 』陳舜臣(講談社文庫) 前半は屈原から魯迅までの中国を代表する詩人とその詩を…

やどかり
12日前
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ダンテ「地獄」温泉で李白と一杯

『ダンテ、李白に会う 四元康祐翻訳集古典詩篇』四元康祐 詩の言葉は他者の言葉として神に近…

やどかり
2週間前
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ノスタルジーだけの短歌は後味が悪い

『昭和遠近: 短歌でたどる戦後の昭和』島田修三 『短歌で読む 昭和感情史 』と同時に借りたのだが、感情というのが単なるノスタルジーに伍するとあまり面白くないと感じる。その時代のリアリティよりも昔懐かしいという歌が多くて、途中で飽きてきた。戦時のリアリティを求めるものではないが、何か今の生活が安定して上で、昔の貧しさを懐かしむようなそんな昭和のアンソロジーのように感じる。その時代に作られた短歌はけっこう驚きがあるのだが、ノスタルジー短歌は、ありきたりなイメージでしかないように