フラッドスムージー
フラッド(flood)、直訳で洪水。
3日前にインスタグラムでムキムキの海外お兄さんがスムージーを作っていた。筋トレをしている人なら誰でもみたことがあるであろう、海外トレーニーだ。彼らの筋肉は凄まじい。分厚い胸板に、丸いメロン肩、腕は大根2本分、足は小型冷蔵庫、しかし腹筋はバキバキ。もう同じ人間とは思えない。彼らの投稿ではあり得ない重さのダンベルやバーベルをスイスイ上下させている。ランニンングシーンもえぐい。筋肉で重くないのか、そういう先入観を見事に裏切り、爆速で道路を走る。もちろん、上半身は服を着ていない。かっこいい。
ある日、というか3日前、流れてきた投稿ではスムージーを作っていた。
僕はあらゆる海外トレーニーをフォローしていて、毎日うっとりしつつ彼らの最強ボディに近づくために日々筋トレに励んでいる。彼らの投稿を見すぎたせいで翻訳機能を使わなくてもある程度英語、スラングが理解できるようになってしまった。思わぬ副産物だ。ハングル文字をプロフィールに載せる韓流大好き女子もそうなのかもしれない。
逸れまくった。
スムージーだった。
緑黄色野菜を刻み込み、ミキサーに。
りんご、バナナ、キウイ、パイナップル、あと謎の果物をミキサーに。
ヨーグルト、牛乳、そしてプロテインパウダーを1スクープをミキサーに。
絶対に日本には売っていなさそうなサイズのミキサーでギュイーーーーーーンとした。ぶち込まれた食材はみるみる形を失う。ヨーグルトと牛乳に飲み込まれ、一体化する。ものの数秒で緑色の液体になった。
満足げな表情をした彼はミキサーのスイッチをオフにして容器を外した。
コップに入れるのか、そう思っていたが、彼はそのまま飲み出した。
ダイレクトに飲んだ。規格外だ。いや、そもそもコップに入れるという固定観念がよくないのか、世界は広い。ワールドワイドだ。というか、ワイルドだ。見習いたい。
僕はとりあえずスムージーを作ることにした。
レシピが載っていたのでスーパーで買い揃えた。どれも1番安いものを選んだのに結構な金額になった。幸い家にミキサーがあった。材料をレシピ通りぶち込んだ。そしてギュイーーンして、そのまま、ではなくコップを用意した。
そして気がついた。
コップ1つじゃ収まらない。
アメリカンサイズで作ったからそりゃそうだ。洪水状態。
僕はコップを5つも使う羽目になった。
というかミキサーが大きいから気が付かなかった。
あれ、一人分ではないのだ。
でも美味しかった。